電子レンジ加熱における食品の加熱むらが,食品の(1)誘電特性,(2)形状,(3)体積の三つのパラメータによって規定されることに着目し,食品の昇温特性を理論的に解明することを試みた。検討は,マイクロ波照射により食品中に誘発される電力分布と温度分布との間に対応関係が存在すると仮定して実施し,加熱初期状態における昇温理論の提案を試みた。また,モデル食品を選定し,実際の上昇温度を測定することにより,比電力と上昇温度との間に比例関係が成立することを明らかにし,提案した昇温理論の妥当性を検証した。さらに,電子レンジ指数を設定し,この値により加熱のされやすさが表現できることを明らかにした。提案した昇温理論を電子レンジ用容器の形状設計に適用することにより,加熱むらの軽減,さらには均一加熱を目的とした容器形状を設計できる可能性が存在することを示唆した。
抄録全体を表示