近年,チャールズ・レニー・マッキントッシュの評価は世界的にたかまりつつあるが,そのデザインの本質は未だ明らかにされたとは言い難く,史的評価においても問題は残されている。マッキントッシュはジャポニスムの視覚的性格の強い空間表現の影響を受け,時代にさきがけて革新的な空間のデザインを発展させたが,この空間デザインは強い視覚的特質の故に,1890年代に雑誌等で紹介されるとモダン・デザインにおける空間構成の重要性を示すものとして,ヨーロッパ大陸各地に衝撃的な反響を呼びおこした。それにもかかわらず,その後は後継者が見出されることも,モダン・ムーヴメントに発展させられることもなく,一時はマッキントッシュの名前さえも忘却されてしまった。この理由もまた,ジャポニスムの影響を受けて発展させられた,視覚的性格の強いその空間デザインが,ヨーロッパの伝統的な触覚的,機能的空間感覚から余りにも遠く隔たっていたことに求められる。
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