新聞本文に最適な文字組みはどのようなものかを,読み取り量とイメージの観点から検討した。調査用のサンプルとして,4タイプの文字(N字:朝日新聞の1990年現在の文字,S字=N字より約20%大きく偏平の度合いの少ない文字,Y字=全国紙で使用されているものの中で最大の文字に近似させたもの,56正体=縦横56ドットの正体)と,4通りの字詰め(12,14,15,18字)を組み合わせた13種類の文字組みで印刷された文章を用意した。10〜80代の男女313名からなる被験者に対して,各サンプルごとに,読み取り調査およびイメージ調査を行なった。その結果,12字詰めと56正体は読み取り量の点で劣ること,18字詰めは信頼性の点で劣ること,S字は信頼性,読みやすさの印象ともに優れていることなどが判った。これらの結果から,S字を1行当たり15字詰め,行間2分のiで組んだ文字組みが最適であると結論した。
抄録全体を表示