デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
40 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 吉岡 徹, 市原 茂, 須佐見 憲史
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1993/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    同形同大の正方形の縦縞と横縞では,前者は横長に,後者は縦長に見える。これを,ヘルムホルツの正方形錯視というが,この錯視は分割線錯視の一つといえる。今回は,縞柄パターンを用いて,縞の空間周波数及び縞の白黒の面積比がヘルムホルツの正方形錯視に与える影響を調べた。刺激としてCRT画面上に縞を提示し,実験の全体的な制御はコンピュータで行った。縞の空間周波数は4条件,白黒比は3条件,縞の方向は2条件で,これら4×3×2=24条件を全て組み合わせたものを提示した。その結果,従来と同様に横縞の正方形は縦長に,縦縞の正方形は横長に見えた。空間周波数と錯視量の関係では,横縞条件において2c/degの時に最大の錯視量が得られ,縦縞条件の場合には0.5c/degの時に最大の錯視量が得られた。白黒比については,白の面積が減少すると錯視量も減る傾向がみられたが,有意ではなかった。
  • 馬上 奈美
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 1993/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    レジャー環境整備における景観コントロールの必要性は,全体の雰囲気を特色づける上で大きいといえ,その際,デザインガイドラインと呼ばれる整備・開発上の指針が用いられる。本研究は,カナダにおけるデザインガイドラインを事例として取り上げ,その構造的なあり方について考察を行ったものである。調査した9地区のデザインガイドラインから景観行政の仕組み,現状を把握し,内容を検討した上でガイドラインを構成している規定項目を全体的項目,部分的項目に分けて抽出し,分析を行った。部分的項目については現地調査により,規定項目の有効性についての評価・考察も行っている。この結果,ガイドラインはその規定項目の特長から「全面的規定・建築重点型」「全面的規定・環境重点型」「部分的規定・建築重点型」「部分的規定・環境重点型」の4タイプに分類されることが明らかになり,この分類は,ガイドラインの適用される環境上の特長とも関係があることが明らかになった。また,項目の有効性もタイプによって異なることが考察できた。
  • 竹田 直樹
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1993/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    公的空間に設置される美術作品としての彫刻作品は,作品内容と存在意義が乖離しやすいという特有の性質があり,この性質が市民に彫刻作品の存在意義を認識しにくくする要因になる。本報では,この性質をふまえ,作品内容がどのようなものであるべきなのかという点について考察した。まず,公的空間に設置される美術作品としての彫刻作品の存在意義を,1)良好な景観形成を目的とするもの,2)地域の個性の表現を目的とするもの,3)文化振興を目的とするもの,という3つに類型した。各類型および類型に入らない「母子像」の類に関して,存在意義と作品内容の間に具体的な関連性を見出せる事例を抽出しながら,両者の関係を論じた。具体的な事例を上げにくい場合,両者の関係について定性的な整理を行なった。いずれの類型においても,存在意義と作品内容の間に関連性を確立するのは可能である。しかし,設置場所との関係,作品内容決定のプロセスの活用に対する配慮が重要である。
  • 寺内 文雄, 青木 弘行, 大釜 敏正, 久保 光徳, 鈴木 邁
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1993/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,生活に関わる11種類の材料を対象に,これらの材料の「材料らしさ」を構成する要因を抽出し,理解しやすい形で整理することを目的とした。材料イメージを直感的に理解するために,グラフ理論を用いて,材料イメージの(1)階層構造モデル,(2)2次元構造モデルを作成し,検討を行った。その結果,階層構造モデルによって,イメージの連想過程やその流れをわかりやすく表現できた。そして,これらを構成するイメージ項目から材料を,1)感覚項目主導型,2)機能項目主導型,3)両項目共存型の三種類に分類することができた。また二次元構造モデルから個々の材料の特徴か容易に理解でき,そのパターンから,1)イメージ収束型,2)イメージ分散型,3)中立型に分類することができた。これらの構造モデルを併用することで,材料イメージの理解がより一層容易になり,そのイメージによって,材料は天然有機材料,天然無機材料,人工合成材料,その他に分けられて認識されていることが明らかとなった。
feedback
Top