デザイン学研究
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41 巻, 6 号
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  • 田 慕玲, 森 典彦
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 6 号 p. 1-10
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    デザインを支援することを目的として,イメージ概念から実際の形態要素へ逆推論するシステムが考えられるが,この場合多くの解を得られることが望ましい。本論文は逆推論関係を一連の多点捜索と順推論で表現するという考え方に立って,ジェネティックアルゴリズムとニューラルネットワークを導入して,製品形態要素の組み合わせを逆推論する新しいモデルを提案した。モデルを検証するために,C-システムによるプログラムシステムを開発して,モデルの収束性と有効性についての数項の実験を行った。提案のモデルの応用として乗用車の外観の形態要素の組み合わせを目標イメージから逆推論的に探索するシステムを構築し,例題を設定して探索の実験を行った。これらの実験の結果,このシステムにより与えられた目標イメージに適する複数の形態の解が得られることが判明し,デザイン支援システムとして有用なことが分かった。
  • 李 健杓
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 6 号 p. 11-16
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    形態分析法(Morphological Chart)は,多様で数多くのアイデアを短時間内に作り出すことが可能であるため,デザインの手法として広く応用されてきた。しかしながら,この手法には多数の代案を評価して最も良い解決案を選定することにはまだ問題点がある。本研究は,このような問題点を解決するために,コンジョイント分析法を応用することによって事例研究を行い,その可能性について考察したものである。問題点としては,(1)代案の中から取扱うことのできるセットを選ぶ,(2)最適な組み合わせを探し出すことの以上2点が挙げられる。そこで,この問題点に対処するためにコンジョイント分析を導入し,コンピュータを使ったコンジョイント分析による評価プロセスの記述と,コンジョイント分析の有効性について考察した。
  • 田中 奈美
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 6 号 p. 17-26
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本論文を含む筆者の一連の研究は,現代の多様な余暇とそれを活用して行われるレジャーに着目し,レジャーをめぐる人々の意識や行為特性とそれが行われる場としての空間的環境,これらの関係を明らかにしようとしている。その最終的な目的は,レジャー環境計画に関する基礎的知見を得ることにある。本論文では,レジャー環境を物理的空間特性から把握する事を目的とし,空間特性を捉える指標の選定,現地測定調査,調査結果の分析,物理的空間特性指標によるレジャー環境の類型化を行った。その結果,(1)多様な実際の空間で測定可能な11の指標が得られた。(2)49ケ所を対象に行った現地測定調査結果の主成分分析結果から,11指標群の妥当性が確認された。(3)主成分得点を用いたクラスター分析結果から,レジャー環境は「広がりタイプ」,「囲みタイプ」,「覆いタイプ」,「稠密タイプ」の4タイプに類型化された。(4)レジャー環境タイプは物理的な空間特性にもとづく類型で,従来の空間類型とは異なることが確認された。
  • 梨原 宏
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 6 号 p. 27-36
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    高齢者らが屋内で使用する車いすを木製化し,生活環境に相応しいものに高めようとする筆者らの試みは成形合板技術の応用によって実用化の段階に来ている。本研究はこの車いすの形態の生成過程を科学的に解明することを目的としている。本報告は,車いす使用者の身体寸法と装置,設備との適合性の算定評価結果から適合性を向上させるための木製車いすの設計仕様と構造概念を明らかにし試作機による検証を行っている。高齢者,車いす使用者の差尺は平均250mmであり,望ましいテーブル高さは建築標準化設計仕様の提案寸法700mmより低くなることを指摘し,一般的に提示されている建築標準化設計仕様は必ずしも適切な提案ではないことを明らかにした。適合性を向上させるためには車いすの座の高さを430mmに統一し,折り畳み機能を持たせず姿勢保持性を高める,室内の水平面の移動に関する適合性を高めるために車幅,車長さを最小に詰める等の設計仕様,構造概念を与えた。その設定は試作機の設計,試作,試用評価により適切であることが確かめられた。
  • 古屋 繁, 壽美田 與一, 渡辺 誠, 武者 祐司, 井上 教子
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 6 号 p. 37-46
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    今日,デパートの利用客にわかりやすい商品配置が望まれている。本研究では,利用客の商品間の概念の関連性に着目し,これを心理的距離関係に置き換えて商品配置を行えば,わかりやすいものになると考えた。そこで,これらの関係を類似性の判定によりMDAを用いて空間上に布置した。この結果から,5つのグループと1つの項目の商品カテゴリーを得た。この商品カテゴリーとその空間上の位置関係からゾーニング案を作成し,これを「わかりやすい商品配置」という観点からAHPにより評価し,最も妥当性の高いゾーニング案を選定した。この結果,デパートに代表される複数フロアで構成される大型店舗では,利用客の心理的距離から得られた商品カテゴリーにもとづいてバーチカルゾーニングを行い,さらにその位置関係および構成軸を利用したフロアゾーニングを行うことによって,利用客の位置関係の認識を高め,売場のわかりやすさに貢献できることがわかった。
  • 近藤 朗, 清水 忠男
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 6 号 p. 47-54
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    オフィスにおける創造的問題解決の重要性の増加とともに,コラボレーションの「場」を構築する様々なツールが開発されている。ツールの使用に伴い,コラボレーションにおけるツール操作上の負荷,およびコミュニケーション環境も異ってくる。その結果コラボレーションの過程も変容することになると思われる。本小論では,時間軸は共有することとし,空間軸を共有する条件を3種類,空間軸を共有しない条件を3種類の合計6種類のコラボレーションの「場」を実験的に設定し,それぞれの「場」におけるコラボレーションの過程がどのように変化したかを,観察調査,およびプロトコル調査の手法で明らかにした。その結果,コミュニケーションについては,非言語情報を活用できる空間共有条件においてスムーズな展開がはかれていた。また,空間軸を共有する条件では,ことの情報表示ツールを共有する場合,視線が同じ方向を向き,課題に集中した問題解決過程が得られることが明らかになった。コンピュータツールは,操作の負荷が大きくコラボレーションの進行を阻害していた。
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