デザイン学研究
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42 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 尹 亨建
    原稿種別: 本文
    1996 年 42 巻 6 号 p. 1-8
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    20代を中心とした韓国・日本の若い世代を対象とし,24種の伝統工芸品をサンプルに,各人の美意識を統計的な手法で比較・分析した。大部分の人がこのサンプルの評定尺度によって,両国の若者の多くは各国独自の美意識を持っていることが示された。若い世代においても,同じ地域・文化の中で暮らすことによって同質的な美意識の性向を持っていることが分かった。韓国人の伝統工芸品の表意性と視覚的なイメージについて因子分析により評価をした結果,「精緻-単純」,「快-不快」,「大胆-貧弱」の3因子のイメージ構造を持っていることが分かった。日本人は「地味-派手」,「優美-野暮」,「軽-重」の3因子のイメージ構造をとらえていることが分かった。
  • 井上 勝雄, 土屋 雅人, 安斎 利典
    原稿種別: 本文
    1996 年 42 巻 6 号 p. 9-18
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    デザイン評価をデザインプロセスの観点から捉えたあり方を提案する。アンケート調査の結果から,次の点が示された。「デザイン評価はデザイナーが各種の意思決定を行うにあたって必要な情報を提供する」という評価と意思決定を分離した本稿の定義と,デザイン評価は協同作業であるという主旨が支持された。さらに,発散から収斂への過程でデザイン評価が行われるというもうひとつの仮説に対して,モックアップの選別やアイデアスケッチの検討という収斂過程では認められた。しかし,デザインプロセスの川上のデザインコンセプト作成という収斂過程での認識は明確には示されなかった。多くのデザイナーがデザイン評価と認めているモックアップの選別とアイデアスケッチの検討過程において,ファジィAHPを用いた測度論的方法と,直交配列にもとづいた数量化類によるプロセス論的方法の2つの新しいデザイン評価法を提案した。実際の事例を通じてその方法の有効性をある程度検証できたと考える。
  • シャクルトン ジョン, 杉山 和雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 42 巻 6 号 p. 19-28
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    小論は,過去15年間の日本のRV車と,その先行車種群のスタイリングに関する属性データの数量化分析を通して,RV車のタイプ分け,スタイリングの変遷ならびに新しいRV車がどのように市場に出現したかを見たものである。具体的には,いわゆるオフロードタイプのジープから,RV車は領域を拡大し,今日,RV車としての属性を有しつつもコンセプトの違いによる二つのグループに分かれつつあることを示した。更に,この車種の市場における四大メーカーの傾向を図表にした。これは,客観的分析による商品のポジショニングを戦略的に検討する新しい方法となりうることを示した。
  • 松本 誠一, 川上 秀人, 松岡 高弘, 飯田 一博, 坂本 久子
    原稿種別: 本文
    1996 年 42 巻 6 号 p. 29-38
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    幕末から明治期には,開港地を始めとする日本各地に多くの洋風建築が建設された。建物内に据えられた家具は初期にはヨーロッパや中国,例えば香港や上海から輸入されていたと思われる。しかし,それらは次第に日本でも製作されるようになった。本研究の目的は,近代の建築と家具を包括的に捉え,洋家具が日本に導入された後どのように変化していったのか,その製作技術の変遷過程を明確にしようとするものである。本論文はその第1稿で,まず1908(明治41)年に建設された三井港倶楽部の建築について述べた。次いで,同倶楽部に残存する約70種の家具の中から特に重要な4点の卓子,即ち円形卓子・D形卓子・壁置脇卓子・角形卓子を取り上げ,甲板の構成・脚部の構成・甲板と脚部の接合方法に注目して,製作技術の特徴を明らかにした。更に,旧松本家住宅の家具と比較することによって,同倶楽部の家具には構造面での配慮が欠如している点と木材の物性に関して製作者の理解が低い点を指摘すると共に,変遷過程を知る上で重要な家具であることを指摘した。
  • 吉田 澄美男, 深水 義之, 伊藤 明, 白石 照美, 小谷津 孝明
    原稿種別: 本文
    1996 年 42 巻 6 号 p. 39-46
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    景観デザインの設計寿命は数百年にわたることがある。最先端技術の強度計算と,時代の感性によってデザインされたものが数百年の後の評価に堪えるかどうか疑問がある。これに対して,人間の視覚の本質的な構造や機能は不変と考えられる。このような普遍的な要因による評価基準として,我々は横瀬の心理ポテンシャル場理論に着目した。しかし,横瀬の理論はビオ・サバールの法則を流用したことに理論的な疑問があり,我々の再現実験とも一致しなかったことから,心理ポテンシャルを表現するのに適切でないという結論に至った。そこで我々は磁場を記述した彼の式に対して静電場の理論の流用を試みた。最初にラプラスの微分方程式を用いて計算を行ったが,ここでも再現実験の結果とは一致しなかった。次に,"図"には特徴の強いところに特定の電荷を与える異方構造と"背景"には非等質な場を仮定し,ポアッソンの微分方程式を用いて解析した。その結果,完璧とは言えないが,実験結果を良く説明できる新しい近似式の候補を得た。
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