デザイン学研究
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44 巻, 1 号
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  • 日比野 治雄
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    現在, 標準観測者には2°視野(CIE1931標準観測者)と10°視野(CIE1964補助標準観測者)との2つが存在する。前者の等色関数とその基礎をなす錐体分光感度との関係は, ほぼ定式化されているが, 後者の等色関数と錐体分光感度との関係は, まだ定説がない。そこで, 本研究では, 過去の周辺視色覚の心理物理学的実験によって得られた知見を基に, 2°視野と10°視野の両方の標準観測者の色覚特性を統合的に説明しうる色覚モデルの構築を試みる。その結果, i)三種の錐体は, 黄斑色素の影響を受けるが, 正味の分光感度特性は網膜位置にかかわらず不変である;ii)S錐体には黄斑色素濃度の変化に対する反応補正機構が存在する : という単純な2つの仮定を導入することによって, 定式化されている2°視野の等色関数と錐体分光感度との関係を基に, 10°視野の等色関数を非常に正確に予測することができることが判明した。
  • 尹 亨建
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 9-14
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    第1報では韓国と日本の両国の伝統工芸品を対象に, 韓・日両国の20代を中心とした若者の美意識を把握するため因子分析を行ない, イメージ構造を明らかにした。第2報では, 韓国と日本の伝統工芸品に分け, 親密度による両国の人のイメージ構造の相違を明らかにした。本報では, 伝統工芸品の造形要素が両国の人のイメージ構造の相違にどのように寄与しているかを調べた。伝統工芸品の造形要素として重要と思われる「色彩」「材料」「形」「模様・装飾」を中心にして比較分析を行なった。「色彩」では, カテゴリー「材料自体の色+別な色」に対して日本人の反応が大きく, 「多彩な原色」「黒色+別の色」においても両国の差がみられた。「材料」については, 金属材料に対して違いが見られ, 日本人は人工的, 派手という評価を示し, 韓国人は, 軽快という評価を与えた。「形」では全般的に韓国人より, 日本人が大きく反応した。「模様・装飾」では, 韓国人より日本人は全体面積に対し模様・装飾の面積比が小さいものに高い評価を与えた。
  • 守本 智美
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 15-22
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 若い女性に好まれる住まいのイメージの相関関係と空間に対するイメージ構造を分析することである。実験では, 150名の被験者に, 居間, 寝室, キッチンという住まいの空間を描いた21枚の絵をSD尺度上で評価させた。SD法の結果から, 若い女性が好む住まいのイメージは, くつろぎやすい, 親しみやすい, 落ち着いた, さわやか, 上品, 広々とした, 柔らかい, 軽いという8つのイメージと強い正の相関関係があることが明らかになった。因子分析の結果から, 住まいの空間は, 「派手-地味」, 「暖かい-冷たい」, 「現代的-伝統的」という3因子で構成されていることが明らかになった。暖かいイメージには, 「好き」というイメージが含まれていた。さらに, 各因子軸に分布するサンプルの分析から, 各空間とも現代的, 派手というイメージは, 好まれる空間のイメージに対して重要なものではなかった。また, 若い女性の好きな空間は, 例外なく暖かいイメージを含んでいた。
  • 曹 永慶, 山内 陸平
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 23-32
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 日本・中国・韓国の3国のものの形態に対するイメージの差異を明らかにしようとすることにある。その基礎的研究として, 基本的形態(幾何学的立体)と道具的形態(機能を持つ形態)のそれぞれについて調査サンプルを作成し, アンケート調査を中心に考察を行なった。その結果, 次のようなことが明らかになった。(1)基本的形態に対するイメージは, 日本・中国・韓国の3国間に微細な差異はあるもののそれほど顕著な差異がない。(2)生活文化を反映する道具的形態に対する使い方のイメージは, 3国の生活文化とプロポーション, ディテールが相関し, それぞれ固有のものとなる。(3)好ましい形態には, その明確な使い方のイメージを持つものが多い。
  • 松岡 由幸
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 33-42
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    製品開発において, 外観設計や機能設計などの各工程を同時進行で行うサイマルティーニアス・プロセスの導入(サイマル化)が図られている。サイマル化は, 的確な設計解を短期間に求め, タイムリィーな新製品の市場投入, 開発費の削減などの方策として推進されており, 今後の課題としては, 外観設計と機能設計間のサイマル化の推進が必要とされている。本研究では, まず, 外観設計と機能設計間のサイマル化の方法として, 両設計方法を定性的方法から定量的方法へ変換するとともに, 階層構造グラフを用いて両設計間のサイマルティーニアス・プロセスを構築する方法を示した。次に, そのサイマル化の方法について, シート設計を事例に適用を試みることで, その方法の有効性を確認した。また, シート設計のように, 外観のみならず機能(座り心地)が人間の感性評価に依存する特性である場合においては, ニューラルネットワークを用いた外観と機能の同時予測モデルの構築が可能であることを示し, さらなるサイマル化推進の方法を提示した。
  • 青山 智津子
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 43-52
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    バウハウスは1919年にワイマールに設立された, 芸術とテクノロジーの一体化を目指した運動であり, 20世紀の芸術, 文化, 教育, 科学技術などの多面的な展開を予言的に示したものということができるだろう。しかしながら実際にはグロピウスの指導のもと, 産業合理化, 労働負担の軽減を目指した近代デザインの到達すべきモデルという姿が, バウハウスの基本的なイメージとして歴史的に総括されつつある。本稿ではバウハウスが生命力を持つに至った原動力は, そうした主流の「機能主義的な」デザインの実現という側面のみならず, 「芸術家がデザインという現実的実際的な領域に合流しようとした」という, もうひとつの水脈にあったという点を特に強調したい。ヨハネス・イッテンやオスカー・シュレンマーら「もうひとつの水脈」を自ら体現した芸術家の目指した方向性を詳細に検討することによって, 20世紀のデザインが抱えるさまざまな問題についての新たな問いかけがようやく可能になるのではないだろうか。
  • 石村 真一, 田中 みなみ
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 53-62
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本論は我が国において発達した桶・樽の造形文化を追究する第3報で, 14世紀前半という桶文化の草創期における造形的特徴を絵画資料を通して抽出することを目的とする。考察する対象は『遊行上人縁起絵』の系統本である『真光寺本』『金光寺本』『東京国立博物館本』『藤沢道場古縁起模本』の同一場面に限定し, 桶の形態, 構造, 使用方法を比較した。この結果をさらにヨーロッパ, 中国の事例と比較し, 次のことが明らかになった。(1)現在使用される4斗樽以上の容量を持つ大型の桶が既に出現している。(2)桶の形状, 箍, 運搬方法にはヨーロッパと共通する部分もあり, 中国大陸を通して我が国に伝えられた可能性が高い。(3)中国大陸の中南域で発達した桶文化が深く関与し, 今日見られないタイプの桶も当時は使用されていた。
  • 田中 みなみ, 趙 英玉, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 63-72
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 異なる文化的背景を持つ国の間における味覚のイメージの相違について調査したものである。色彩と形態の組み合わせによってもたらされる味覚のイメージと, 色相環を用いた味覚のイメージの範囲について調査を行った。結果は次の通りである。1)カイ自乗検定を行った結果, 色彩と形態の組み合わせの場合と, 色相環を用いた調査の場合との両方について, 国による差が認められ, 性別による差は認められなかった。2)色彩と形態の組み合わせに関する実験の結果, 味覚語のイメージに際して, 色彩が関与している味覚語と形態が関与している味覚語を明らかにした。また, 形態と味覚語との結びつきに関し, 味覚と触覚との関連について示唆した。3)色相環を用いた味覚語によってもたらされる色彩のイメージ範囲に関する実験の結果, 四つの反応パターンを明らかにした。また, 色彩と味覚語との結びつきに関し, 文化的な背景について示唆した。
  • 釜池 光夫, 渡辺 誠, 古屋 繁, シャクルトン ジョン, 川崎 晃敬
    原稿種別: 本文
    1997 年44 巻1 号 p. 73-82
    発行日: 1997/05/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 軽自動車を対象に, モデルチェンジの構造化と次期軽自動車をシミュレートするシステムの構築を行ったものである。本研究では, 1977年以降の830の軽自動車のデータを利用しシステムの構築を試みた。モデルチェンジの構造では, 「社会環境」「クルマ環境」「当車」に関する99項目と, 「評価」に関する8項目を設定した。これらの項目をニューラル・ネットワークを用いて構造化した結果, 「評価」について推論可能なモデルが構築できた。さらに, 本研究では, 次期軽自動車をシミュレーションするシステムを遺伝的アルゴリズムを用いて構築した。本研究では遺伝的アルゴリズムを用いることで, 先に構築したモデルチェンジの構造をそのまま利用している。このシステムによる次期軽自動車のシミュレーション結果は, 今後の軽自動車の方向性として妥当性のある結果を得た。またこのシステムは, 専門家からも高い評価を受け, 軽自動車の商品企画やデザインにおける支援するシステムと成りうることを確認できた。
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