本論は, 印刷媒体における文字の奥行き表現について, 「イメージ測定」と「表現と文字の意味に関連した知覚効果」の2つの実験を通して, 文字表現の効果を調べたものである。まず, 文字の奥行き表現を立体, 主観的輪郭, サイズの変化, シャドー, パースペクティブ(パース)の5つに分類した。ついで, 「BIG」, 「SMALL」という, ボリューム感に関して反対の意味を持つ単語を選定, この2つの単語をそれぞれ, 分類した5つの奥行き表現とした10種類のサンプルを作成した。実験の被験者は, 日本人41名と韓国人53名, 合計94名である。その結果, 日本人はパースの表現に高いインパクト度, 主観的輪郭に高い好感度をみせた。韓国人はパースの表現に対し, 高いインパクト度を好感度をみせ, サイズ変化の表現を一番好まない傾向をみせた。文字の意味と関連して, 「BIG」のパースによる表現が一番適合しており, 意味伝達の効果も高い。今日, 文字の奥行き表現が増加している。本論は, 文字による視覚コミュニケーションの理解を増進させるものと考える。
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