デザイン学研究
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46 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 金 正周, 内藤 郁夫, 鈴木 信康, 金子 かつこ
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 1-8
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    日韓の視覚的に近似した伝統紙を14種類選択し, 両国において伝統紙に対する質感をSD法で調査した。被験者は日本人と韓国人, 30歳代と60歳代それぞれ25名ずつの4グループ計100名である。調査した質感は, 視覚や触覚に基づく基本的素材質感と嗜好や判断に基づく総合的質感の合計11項目である。これより物性値と基本的素材質感との関係, 基本的素材質感と総合的質感との関係を単回帰直線の傾きと相関係数を使用して検討した。(1)日本人は触覚より基本的素材質感を評価するが, 韓国人は視覚的に評価していた。(2)基本的素材質感における弁別の能力は, 両国の両世代間でほぼ一致した。(3)総合的質感では日韓両国人で大きく異なっていた。日本人の〔好感度〕は〔使用期待感〕と一致し, 繊維組織が細かく・平滑で軽く, 薄く柔らかい伝統紙を好む。一方韓国人の場合, 〔好感度〕は〔艶感〕・〔粗密感〕と〔平滑感〕と強い相関関係が成立し, 密度が高く艶の有る伝統紙を好むことが明らかとなった。
  • 田村 良一, 森田 昌嗣
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 9-18
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    本論は, グラウンドマンホール表面デザインの作成プロセスにおける特徴や問題点から, 造形イメージをデザインや評価の指標として用いることを提案し, その妥当性を検証するとともにデザイン構成要素との関係を把握することを目的とした。社内デザイナー5名を対象とした調査から, 表面デザインの構図の観点からみた造形イメージをあらわすことができる7個のイメージ用語を抽出した。また, 社内デザイナー同5名と, 実際に表面デザインを作成している外注デザイナー6名を対象として, デザインモチーフを幾何形態に置き換えた表面デザインの模式図8案に対するイメージ評価を行い, その評価結果から造形イメージとしての妥当性を検証した。また, 両者の造形イメージの捉え方に差がないことから, これらの造形イメージが共通した指標と成り得ることを明らかにした。さらに, 造形イメージとデザイン構成要素との関係を数量化理論I類を用いて把握し, 今後の表面デザイン作成における指針を得た。
  • 赤松 明, 高山 英樹, 山手 正彦
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 19-24
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究は, 一段的に用いられている12種類の安全標識を取り上げ, フレーム形状と認識評価との関係について一対比較法を用いて検討した。フレームの形状は, フレームレス, 円形フレーム, 三角フレーム及び四角フレームの4種類である。その結果, フレームの有効性ならびにフレームの形状が安全標識の危険評価・適切評価・識別評価に影響を及ぼし, 安全標識をより危険と認識させるためには円形フレーム, 安全標識を見つけやすくするには三角フレーム又は四角フレームが適していることが明らかになった。さらに, 使用目的(禁止・注意・指示)によってフレームの形状を選択し, 禁止標識には四角フレームを, 注意標識・指示標識には, 危険又は識別のどちらを優先するかによってフレーム形状を選択する必要があり, 危険を優先して安全標識を認識させたければ円形フレーム, 識別を優先して安全標識を認識させたければ三角フレームか四角フレームを用いればよいと考えられた。
  • 池田 岳史, 材野 博司
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 25-32
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    街路空間における人間の視覚情報は移動行動に伴い, シークェンシャル(連続継起的)に展開される。そこで本研究では, 空間を構成する要素を連続的表記法(CONTINUOUS RECORD)を用いて表記することにより, 印象に残る空間構成要素を抽出した。代替視野画像を用いた実空間と表記の比較から, 空間構成要素別の表記傾向, 空間構成の変化と表記の関係, さらに, 街路空間構成の差異による表記の傾向について明らかにする。調査の結果, 人間の移動に伴う視覚情報の変化は, 空間構成変化が少ない時, 突出要素的オブジェクトが優先表記されるが, 同じオブジェクトでも, 対象空間の特性により表記傾向が変化することが明らかになった。空間の開放度が高い空間への移動時には, 実空間に比べ表記が先行する傾向が見られ, 開放度の変化する区間においては, 表記数が低下する傾向も明らかになった。また, オブジェクトが一様に存在する場合も同様に, 表記数の低下する傾向が確認できた。
  • 萩原 祐志
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 33-38
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    これまでに形状案の原型となる図形を出力するデザイン支援システム(MSCS_2D, MSCS_3D)を構築したが, 色に関する支援については考慮していなかった。MSCS_2D, MSCS_3Dでは, システムの中枢にファジィ推論が用いられているが, これまではファジィルールの同定は感覚的に行われており, その方法は科学的といえなかった。そこで, ここでは, 色に関するファジィルールを同定するために, ファジィニューラルネットワーク(fuzzy neural network)の利用を試みた。その結果, 色に関する適切なルールを得ることができることを確認できた。よってMSCS_2D, MSCS_3Dに用いるファジィルールを同定するための手段として, ファジィニューラルネットワークを利用することが妥当であることが分かった。
  • 田村 良一
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 39-48
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    本論は, 冷蔵庫を対象に, 過去20年間における主要4メーカーの商品ラインアップの構造を明らかにしたものである。冷蔵庫の商品開発で重視されている各部屋の「機能」とその「レイアウト」から冷蔵庫を分類した。その結果, 機能の組合せは22種類あり, レイアウトの違いを加味すると冷蔵庫は48タイプに分類することができた。各メーカーの商品ラインアップを48タイプの有無により把握し, 数量化理論III類を用いて時系列的観点から分析した。その結果, 各メーカー独自の商品ラインアップが展開されていることが確認できるとともに, 商品ラインアップの展開はある期間ごとに区分してとらえることができた。また各期間内では商品ラインアップは連続的に変化しているが, 期間から期間への展開では「連続的変化」と「断続的変化」の2種類があることがわかった。さらに各タイプは時系列的観点からみた特性により「基本商品タイプ」「時代商品タイプ」「期間商品タイプ」の3種類に分類してとらえることができ, これらの組合せにより商品ラインアップは構築されていることが明らかになった。
  • 久山 宏
    原稿種別: 本文
    1999 年 46 巻 3 号 p. 49-58
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2017/07/21
    ジャーナル フリー
    マーク・シンボル類, 特に商標やCIなどは, 急速に国際的となり数を増し内容が豊富となり, そのデザインや同一性新規性などの管理検討の必要性が増大した。この分野を対象として, ある図形が既存のサインマーク群の大きい母集団全体の中で占める, 各形態特性の相対的な位置を把握する試みを行った。先ず注目したい二指数を, XY座標として解析し該当図形を座標面に布置する。これにより二指数が変動する時, 図形の形状が変化する模様を座標上で観察出来る。本報告では線量に重点を置いた。その上で図記号類について汎用画像処理機を用いて形状特徴量を測定し, 規準値を決めて正規化し形状指数群を求め, これを用いてデータベースとした。提案された方法によれば, 当該分野の大量の資料を集積し, その資料について統計検索等の研究を行う事が出来るほか, ある図形が既に記録されているか否かが正確に判定出来る。希望する図形の性状を, 指数群の数値で表現して検索する事により, その条件を充足する図形群を見出しマーク・シンボル類の設計の資料とする事が出来る。
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