街路空間における人間の視覚情報は移動行動に伴い, シークェンシャル(連続継起的)に展開される。そこで本研究では, 空間を構成する要素を連続的表記法(CONTINUOUS RECORD)を用いて表記することにより, 印象に残る空間構成要素を抽出した。代替視野画像を用いた実空間と表記の比較から, 空間構成要素別の表記傾向, 空間構成の変化と表記の関係, さらに, 街路空間構成の差異による表記の傾向について明らかにする。調査の結果, 人間の移動に伴う視覚情報の変化は, 空間構成変化が少ない時, 突出要素的オブジェクトが優先表記されるが, 同じオブジェクトでも, 対象空間の特性により表記傾向が変化することが明らかになった。空間の開放度が高い空間への移動時には, 実空間に比べ表記が先行する傾向が見られ, 開放度の変化する区間においては, 表記数が低下する傾向も明らかになった。また, オブジェクトが一様に存在する場合も同様に, 表記数の低下する傾向が確認できた。
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