機能は場に依存している.場とは, 設計目標に対するヒト, モノ, 環境における各要素, およびそれらすべての要素間の関係である.一般に, モノが使用される場は多様である.しかしながら, モノの設計の多くは, 平均的な場を想定して行われているのが現状である.そのため, 場の多様性から一部のヒトや環境において, 評価が極端に低くなるという問題が発生している.このような問題を解決すべく, 本研究では, 多様場においても安定した評価が得られる方法論の構築を目的とする.まず, 設計方法として, 多様場対応型ロバスト設計方法を提案した.本方法は, 平均と分散を評価関数に含むロバスト設計方法をさらに拡張したものであり, 場のモデル化とそれをもとにしたシミュレーション解析の実行を折り込んだことを特徴としている.つぎに, 本方法の有効性を確認するために, 鉄道車両用シート設計への適用を試みた.その結果, 本方法による設計解が従来までの方法によるものより, 多様場に対してロバストな解が得られ, 本設計方法が有効であることが示された.
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