現在, 曲線設計に用いられている形状情報は, 曲線形状の全体的な特徴との関係が不明確である.このため, 全体的な形状特徴の把握, 制御が重要となる曲線設計においては, 巨視的な形状情報が新たな設計指標として望まれている.前報において, 筆者らは, 巨視的形状情報として提案した曲率エントロピーが, 製品レベルの自由度を有する曲線形状に対して適用可能であることを示した.しかし, 曲率エントロピーは曲線の連続性を考慮しておらず, 形状認知に適応しない場合があった.そこで, 本研究では, マルコフ過程を導入することにより曲線の連続性をモデル化し, 形状認知に適応した形状情報を提案した.その結果, 曲率2次エントロピーが, 規則性を有する基本的な曲線形状および自動車サイドビューのアウトラインにおいて, 全体的な形状特徴を表現し得ることを確認した.また, 同形状情報は, 形状生成の自由度を増しても, 全体的な形状特徴を制御するうえでの有効な設計指標であり, 同形状情報を用いた形状生成システム開発の可能性を示した.
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