本稿では,鉄道駅における音情報の提示複合的な状況について,その現状を把握したうえで,プラットホームでの音情報の提示状況に対する時々刻々の印象評価について検討した。まず現状調査では,利用者の利用経路を設定し,そこで聴取可能な音情報とその提示状況を把握した。続いて,プラットホーム上で提示された音の状況に対する利用者の評価を,連続評価法を用いた実験によって得た。その結果,音情報が重なり合う時には,概ね「うるささ」は上昇し,「明瞭度」は低下するが,その変化の度合いは,(1)利用目的に直接関連しない,(2)提示方法が同じである,という条件下ではやや少なくなっていた。ただし,エスカレータ案内アナウンスのように,利用者の利用目的に対して必要の度合いが低いと考えられている音情報が重なる場合は,その提示方法や鳴動時間によっては,変化の傾向は大きくなる。また,音情報の重なりがない場合でも,ある音情報が提示される前の状況によっては,「明瞭度」の低下に大きく影響を与えることが分かった。
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