南フランス・プロヴァンスの独立住居におけるテラス空間への緑の関わり方,およびその空間の使われ方について調査を行った。快適性を得るための伝統的手法である,テラスの空間構成に植物を導入し,季節に沿って陽光の調節を行う方法は,住民から高く評価され,現在の住宅にも受け継がれている反面,テラス空間におけるその緑陰のあり方には変化がみられた。テラスでは様々なアクティビティが展開されており,それは主に生活のゆとり・社交に関わるアクティビティが中心となっている。このようなテラス空間を,住民は日常生活において欠かせない存在として捉えている。テラス空間において,緑は単なる鑑賞の対象に留まらず,緑陰を提供する能動的な緑として,住宅屋内・外をつなぐ中間領域的な場の形成に寄与している。このような緑と関連を持ちながら生み出されるテラス空間の多機能性は,屋外生活を支援する装置として働くと同時に,豊かなライフスタイルの形成に貢献しているといえる。
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