デザイン学研究
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51 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大森 峰輝
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 1-6
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、バークレー市の中心市街地計画について概観した。加えて、どのような中心市街地像が思い描がれ、その実現のためにどのような考え方を基に政策が立案されたのかを探った。1)バークレー市では、歴史的・地理的特性といった独自性を再認識するとともに、歩行者・公共交通志向、職と住のバランス等を総合的に勘案した中心市街地計画を立案・推進している。2)中心市街地計画の目標は、特有の社会・文化的特性の表現と高揚、魅力的・安全な市街地環境の創造、経済の多様化・活性化である。これらの達成に向けて、政策等を具体的な形で示しているところに特徴がある。3)中心市街地では、建築デザイン等に関するデザイン・ガイドラインが適用される。これは、歴史的・地理的資産を活かしたデザインが中心市街地の活性化に必要不可欠であるという考え方が根底にあるためである。
  • 大森 峰輝, 藤谷 幸弘
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 7-12
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、バークレー市中心市街地のデザイン・ガイドラインについての調査報告である。地域社会がどのような形で歴史的資産を活かしながら魅力的な都市環境を創造し、デザイン規範に関する知識を共有しているのかを考察した。結果は、以下のようにまとめられる。1)デザイン・ガイドラインは、歴史的資産や文化的資産といった地域固有の価値を再認識し、中心市街地の将来像を見据え、魅力的な環境を中長期的に形成していくツールである。2)中心市街地計画では、店舗が都市的な魅力を高める上で欠かせないものと位置付けられている。歴史的資産の保全と新旧建築物の連続性、小売店舗やレストランのデザインに重点が置かれているところにデザイン・ガイドラインの特徴がある。3)デザイン・ガイドラインは中心市街地計画を推進していく上で欠かせないものであり、建築デザイン等の規範が具体的かつわかりやすく示されている。
  • 大森 峰輝
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 13-18
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、バークレー市テレグラフ・アベニュー沿道地区の抱える問題がどのように変化し、その結果、いかなる活性化策が立案されたのかを調査した。また、街路景観や建築デザインに関する政策の基本的な考え方を探った。1)活性化策は、住民、商店主、市、カリフォルニア大学の連携によって立案された。建築デザインや街路景観がその魅力を高める重要な資産と位置付けているところに特徴がある。2)テレグラフ地区では住宅付置が義務付けられている。また、地区の活気と多様性・独自性に貢献するような小規模ビジネスを奨励・支援するクオウタ・システムが採り入れられている。3)歴史的な建築特性を維持・反映しながら快適な環境を創造していくことを目的として、建築物等に関するデザイン・ガイドラインが整備されている。
  • 内藤 郁夫, 昇 愛子, 車 政弘
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 19-28
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    庄内地方(鶴岡と酒田)・会津若松市・長岡市は絵蝋燭の産地として知られている。これらの地域で絵蝋燭業者や技術者に聞き取り調査を行い、伝統的絵蝋燭の図案を中心にその歴史や製造における特徴や利用法を研究した。絵蝋燭は18世紀中頃に庄内地方と会津で開発された。会津若松には3つの絵蝋燭のタイプがあった。一つは、牡丹や菊の絵が描かれた日本画タイプ、一つは、筆・笥・巻物の形に似せた細工蝋燭、あと一つは蒔絵タイプである。庄内の伝統絵蝋燭は御所車の図柄で代表される日本画タイプである。ー方長岡の絵蝋燭は会津若松より伝播したといわれ、牡丹・菊・甕・台の図柄で特徴すけられる。この中で、甕と台は会津若松で忘れられた図柄である。いずれの産地の伝統的絵柄は花篭模様が多<、磁器の影響が示唆される。これらの地域では、江戸時代より仏事に絵蝋燭が使用される。これが絵蝋燭製造の統いた理由である。
  • 金 惠蓮, 三宅 孝典, 寺澤 勉
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 29-38
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は展示会の計画段階で廃棄物の量と質を予測し、減量化のための新たな設計システムを構築することを目的とする「廃棄物アセスメント」関する研究である。本稿は小間展示の設計図面から「廃棄物量」が算定できる展示会独自の積算モデルを提示したものである。積算モデルを提示するために、展示会現場での実測調査を行い、設計の構成要素である(1)壁面、(2)床面、(3)展示台・カウンター、(4)支柱、(5)パラペット・サイン、(6)その他、それぞれの特性を明らかにした。そして、構成物の重量測定と構造・寸法分析、素材の種類について調査を行なった。その結果、小間展示の構成物の基本構造が把握でき、それぞれの単位重量が得られた。そこで得られたデータを用いて、構成要素ごとに積算モデルを完成した。それは設計段階で「量」の把握できる「定量的評価」の基準となった。また、積算モデルによる計算と実測量を比較して検証を行った結果、その誤差は±5%〜7%であり、その実用性を確認した。
  • 千代田 憲子, 森田 昌嗣
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 39-48
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    公共沿道空間の状況と歩行者の行動を把握するために,公共沿道空間の構成要素の分類調査を行ない,その結果から調査地点を選定して,行動観察調査を行なった。滞留の時間が長くなる程,滞留の種類が増えることが確認され,行動観察の結果と滞留の発生する状況から公共沿道空間を景観型,連続型,分節型に再構成した。また,構成要素の増加にともなう行動観察調査を行なって,構成要素による利用度の違いと,構成要素が増加すると滞留の種類が増えることを確認することができた。長い滞留の時間に出現した多様な滞留の種類を快適な行動と捉えて,快適な行動には街路景観エレメントの充実と関連性が必要であることを導き,公共沿道空間の構成と歩行行動の関連性を明らかにした。
  • 高梨 武彦
    原稿種別: 本文
    2004 年 51 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    アカマツ林の後退・照葉樹林の拡大をレビューによって時系列に示すことができた。1960年代の高度経済成長を境に人々の求める森林像が、薪炭林という直接的な森林から、風景・環境という間接的な森林へと変化した。森林は放置され、山麓部は照葉樹林の単純な森林へと推移し、人工林は衰弱し風害箇所も散見されるまでとなった。緑豊かで美しい外観からは想像できないほど東山の森林は危うい状況にあることを示した。風景林・環境保全林として整備するには東山全域としてとらえることが求められ、京都市行政のイニシアティブの発揮と、風景デザインの作成が必要と考えた。
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