デザイン学研究
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52 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 桐谷 佳恵, 内藤 正志, 内田 和宏, 赤司 卓也, 杉山 和雄, 渡邊 誠, 小野 健太
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    災害時や渋滞時には、交通情報を可変的に表示できる情報板が必要となる。本研究は、現状の高解像度LED式道路交通情報板の半数以下のLED数で迂回路を表示できる可変情報板のデザイン指標を得ることを目的としている。具体的には、地図構成要素の形状と色彩に関する指標である。直交表による実験計画法を用いて、「表示板の見やすさ」、「迂回路表示のわかりやすさ」など、表示板の見やすい表現を模索し, デザイン要件を決定した。その結果、道路形状、迂回路形状と表示方式、地名表示、ルートマーク、現在地表示、文字表示の仕方、文字や道路及び背景の色彩、などについての基本指標が明らかになった。本研究から得られたデザイン指標は、新しい道路情報提供を実現する情報板作成に貢献し、従来よりも低コストの可変情報板作成の可能性を示すものとなる。
  • 面矢 慎介
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    19世紀から20世紀中期にかけてのイギリスの鍋を事例として、近代家庭機器の成立・発展過程およびそのデザイン変遷をめぐる諸要因について考察した。19世紀末から1930年代にかけて、大容量の鍋が徐々に減少する一方、鍋タイプの細分化が進んだ。1910年代までの英国において、鍋の形態は非常に保守的・固定的であった。特に胴の中央部が膨らんだ「ベリード・タイプ」の鍋は、長年にわたって鍋形態の定型となり、家庭の台所のシンボルとなっていた。19世紀から1910年代までのベリード・タイプに代表される鋳物鍋から、1920年代以降のアルミ鍋への転換(主たる鍋材質および鍋形態の典型の交代)は、各素材に特化した鍋メー力ーの盛衰、ひいては金属加工工業の構造的変革と深く関わっていた。この時代における鍋のデザイン変化(典型の交代)を促したのは、調理器の熱源の変化に加えて、日常の料理法の変化、調理器の外観の変化、家庭生活における台所の位置づけと台所空間のデザイン変化であり、これらが、互いに関連しつつ鍋のデザインに影響していた。
  • 金 尚泰, 合原 勝之, 高橋 淳也
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は、プロジェクタによる投影に不向きな凹凸や模様のある建築物などの壁面に、文字をコンピュータ制御によって投影し、かつ、文字を動かすことで判読性を高め、屋外における情報表示の可能性を図ることが目的である。この場合、プロジェクタで投影するには壁面の状態、限られた面積、文字の大きさなどを考慮しなければならない。しかし、実際には白い平滑な壁面があるとは限らない。ここでは、文字メッセージの効率的伝達方法の可能性を広げるため、その判読性に関する実験を行った。実験の結果、判明した主な点は以下のようである。1) 640×480ピクセルの動的文字表示のシミュレーション画面上、文全体に対して文字が隠れる部分の比率が11%であるような場合の文字の大きさは、58ポイントを超えても、判読性はそれ以上向上しない。2) 文字を動かすことによって、壁面の条件を選ばず、情報を容易に伝える可能きが示された。
  • 望月 敦, 菊池 司, 小野塚 達也, 工藤 崇伸, 岡崎 章
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    ネットワーク技術の進歩に伴い.特定のグループ間でコラボレーションを行う協調作業支援システムとして, グループウェアが注目されている.そこで本研究は, Webグループウェアにおける視覚情報によるアウェアネス支援のための要素の抽出と, その有効性を確認することを目的とした.まず, WebグループウェアとしてNTT東日本が開発したWebコラボレーション用サイトを利用し, 現状の問題点を抽出するためにフローチャートの作成を行った.次に, サイトユーザによるカードソートを行い, ユーザがサイトをどのように構造化しているのかを把握した.これらのフローチャート作成から得られた問題点とカードソートによるサイト構造化の結果から.ユーザの構造概念を利用したコンテンツ, およびリンクの再構成と3次元的サイトデザインによる位置アウェアネス支援などを行った新しいサイトデザインが.定性的, 及び定量的評価からアウェアネス支援に有効であることが明らかになった.
  • 朴 燦一, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, これから解決していくべき博物館バリアフリーの諸課題を把握・考察するとともに今後の博物館におけるバリアフリー計画のより具体的な方向性を提示することを目的として, (1)日本の博物館のバリアフリーの実態を主成分分析およびクラスター分析を適用し, 博物館のバリアフリー対応実態の類型化を試み, (2)得られた4つの類型の特性と各々のバリアフリー対応状況との関係をクロス集計によって把握・分析したものである。その結果, 次のような今後の博物館におけるバリアフリー計画推進のための4つの方向性を得た。それらは, (1)人的資源の活用によるバリアフリーの活性化(2)移動のバリアフリーから情報のバリアフリーにより重点をおいたバリアフリー計画推進(3)視覚障害者へのバリアフリー対応強化(4)博物館職員のバリアフリーに対する意識の高揚の4つである。これらは, 博物館のバリアフリー対応類型の特性によって実施上のプライオリティの違いはあるものの, 共通して今後の博物館におけるバリアフリー計画推進に欠かせないものである。
  • 玉垣 庸一
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究はCGでの活用を目指して三色表色系の拡張を試みたものである。最初に、色光の空間Vnから加法混色系の色空間への線形写像Ψ^^-(等色写像)を用いて等色実験を記述した。色光空間の基底にも色空間の基底にも依存しない等色写像と、双方に依存する等色行列の中間的な表現として、色光空間の基底には依存しないが色空間の基底には依存するような線形作用素を新たに提案しセンサと名付けた。次に、写像の結果がゼロベクトルとなるような色光の集合すなわち等色写像の核をKerΨ^^-とするとき、同一の色感覚をもたらす一群のメタメリックな色光が同値類を形成して、色光空間Vnの核KerΨ^^-に関する商ベクトル空間Vn/KerΨ^^-の元となることを示した。これにより、加法混色系におけるグラスマンの法則は商ベクトル空間への写像の性質を反映したものであることが明らかとなった。
  • 玉垣 庸一
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    コンピュータ生成された様々な色立体を比較、評価する場としての色空間を構築する目的で、三色表色系にユークリッド計量を適用した。よく知られている適用例はマトリックスR--ユークリッド性の色光空間からその三次元部分空間のひとつである基本メタマ空間への正投影行列--であるが、基本メタマ空間に色立体を生成すると、等輝度面と斜めに交わる不自然な無彩色軸ができてしまう。その原因は等エネルギースペクトル単色光をアプリオリに正規直交基底としたことにある。本稿ではまず色光空間でアフィン投影を行う平行投影作用素を提案した。次に色光空間にユークリッド計量を導入し平行投影作用素の正投影行列表示を試みた。等エネルギースペクトル単色光とは別の正規直交基底を導入することによってマトリックスRおよび基本メタマ空間とは異なる新たな正投影行列と部分空間が得られ、無彩色軸と無輝面の直交化を達成することができた。
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