日本では,1970年代以降,地域づくり・町づくり運動に対する住民意識の高まりとともに街路景観に配慮した道路整備が行われ,歩行者に視覚的楽しみを与えるフットスケープデザインが各地の代表的街路や商店街において展開されるようになった。日本各地の25ヵ所の通りについて文献調査ならびに実地調査を行い,調査対象としたフットスケープデザインについて以下の知見が得られた。(1)ブロック工法として石材のほかに磁器質・陶器質のタイル材の利用が多くみられる,(2)ブロックエ法ではパターン展開に工夫が施されている,(3)地域性を表現するために絵タイルの使用例が複数みられる,(4)休息,ショッピングなど,通りの利用目的に合わせてFSDによるイメージが形成されている,(5)官と民が協調した道づくりが良い成果を導いている。総じて,舗装材やデザイン展開の技法などが多様であり,地域性を演出する配慮がなされている。事例を解析することからデザイン開発の方法論を確立していくことがこれからの課題である。
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