デザイン学研究
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53 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 佐藤 達哉, 小木 元
    原稿種別: 本文
    2006 年 53 巻 4 号 p. 1-6
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    熊本県工業技術センターでは,ユニバーサルデザイン導入支援の一環として,2002(平成14)年度より,県内の企業,デザイナー,大学等と当センターによるワーキンググループを形成し,情報機器の開発に携わった。そして,県内企業の実態に合わせたユニバーサルデザイン導入を図るために,ユニバーサル性の概念を取り入れることとした。この概念によって,現状のデザインで対応できているユーザーグループや残している課題を把握し,開発を繰り返しながら,少しずつより多くのユーザーグループに対応し,問題を解決していくというユニバーサルデザインの段階的な導入を試みている。今回,この情報機器の試作段階において,そのユニバーサル性について評価を行ったところ,デザインに対する75項目の要望や改善点について把握することができた。また,この評価の事例を通して,今後のユニバーサル性評価と県内企業のユニバーサルデザインの導入について考察を行った。
  • 佐藤 達哉, 中村 哲男, 松川 知宏
    原稿種別: 本文
    2006 年 53 巻 4 号 p. 7-12
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    熊本県工業技術センターでは,ゴムチップ製の弾性舗装材を製造,販売するつちやゴム株式会社と共にワーキンググループを形成し,歩行者系道路舗装材のユニバーサル性向上について検討することになった。検討にあたり,歩行者系道路の快適性と安全性を歩きやすさと転倒時の安全性と設定した上で,実際の歩き心地などと関連づけるための物性値の測定を行った。その結果,次のような舗装材の素材特性を得ることができた。1)ゴムチップ系の舗装材は,クッション性や透水性,衝撃吸収性に優れているものの,車椅子走行性は低い。2)アスファルト,コンクリートブロックは,クッション性,衝撃吸収性はあまり良くないが,すべりにくい。車椅子は走行しやすい。3)レンガ,タイルは,クッション性,衝撃吸収性が悪く,雨天時にはすべりやすい。
  • 田村 良一, 森田 昌嗣
    原稿種別: 本文
    2006 年 53 巻 4 号 p. 13-22
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本論文は,熊本県阿蘇郡小国町の地域ブランドを構築していくための端緒として,小国町と他の九州圏内11地域を対象として,地域イメージの構造などについて検討したものである。観光地の選定において「全体的なイメージが良い」ことが重視されていることがわかった。住民,一般者,来訪者を対象とした小国町の地域イメージと,一般者のみを対象とした12地域の地域イメージに関するアンケート調査の結果を因子分析した。その結果,地域イメージは文化度,親近度,閑静度の3因子で捉えられることがわかった。また前者の分析から,住民に比較して一般者,さらには来訪者の小国町に対する評価が高いことがわかった。後者の分析から,一般者を性別・観光年齢層別の4グループに分類して比較すると,小国町は評価のバラッキが大きく,因子空間上の付置の様子からも大きな特徴がないことがわかった。小国町から想起されるものやイメージとして,「杉」「温泉」「ジャージー牛乳」などが高頻度であげられたことから,これらをタッチポイントとして有効に活用することで,地域イメージの構築に結びつくと考えられた。
  • Seyed Javad ZAFARMAND, Kazuo SUGIYAMA, Makoto WATANABE, Kenta ONO
    原稿種別: Article
    2006 年 53 巻 4 号 p. 23-30
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    This paper presents the major outcomes of a comparative survey on aesthetic boredom of Mobile Phone (MP) in the contexts of Japanese and Iranian university students that is the second phase of a research experimentally founded on an inverse approach to product aesthetic durability, the particular indication of product aesthetic sustainability. Based on the results of first phase of research shown in the last paper, MP and the youth are decided as the object and subject age range for the research fieldwork on product aesthetic boredom, the opposite of product aesthetic durability. In this survey, the required data are gathered through the definite questionnaire to investigate the users' actual experiences of MP aesthetic boredom. The survey aims to extract, itemize and classify the causal elements and factors of product aesthetic boredom in terms of using MP in Japan and Iran to finally compare it between two countries' contexts.
  • 中西 啓
    原稿種別: 本文
    2006 年 53 巻 4 号 p. 31-38
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本研究はキャンパスプラザ京都で2002・2003年両年度に開催された芸術系大学学生作品展を事例とする、芸術展示デザインのパレルゴン析出の試みである。研究は形態分析・深層分析を併用するものである。分析ではアンケート自由回答を総休として扱い、個々人の資質に帰さない普遍的な分析結果を求めている。統計学を援用する形態分析からは、1)この展覧会の規模と演示のカテゴリーにおいて不満が強いことが示された。次に精神分析学を援用する深層分析からは、2)この研究事例におけるデザインのパレルゴンのひとつとして結界が析出された。3)このパレルゴンは展示するものに論理的にさし向けられる、他者の無意識的な言説によって画定されるものであることが分かった。そして両年度における結界を巡る言説意味内容の考察から、4)このパレルゴンは他者の無意識的な言説の意味内容が論理的・無矛盾であれば、その意味内容とは関係なく画定される可能性が示された。
  • Makoto WATANABE, Kunio IWATA
    原稿種別: Article
    2006 年 53 巻 4 号 p. 39-46
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    This study involved the car design development process by comparing an eleven Japanese car company 's design development process. Most Japanese car companies have huge design department and design-branches in abroad internationally. How do these companies manage design development across using multiple bases? Firstly, each company's development methods were gathered through interview with the general manager of the design department. As a result, the car design development process can be classified into four stages, "Advance Stage", "Concept Stage", "Main Stage" and "Tuning Stage". Secondly, role of diverse types design competitions within their design-branches and external design consultant were classified into three groups. Moreover, the design decision method can be divided into three groups, such as, "Consulted by the Project Team", "Decision by the Key Person", and "Entrusting to the Design Department". This study categorized the car design development process, "four stages", "three competition styles" and "three design decision methods".
  • Makoto WATANABE, Chul-Ho KIM
    原稿種別: Article
    2006 年 53 巻 4 号 p. 47-56
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    This study has clarified the relation between in-house design department and outsourcing, and was carried out for two Korean and seventeen Japanese electronics companies. Firstly, items of human resource strategy of in-house design department were gathered by hearing from the general manager of design department. Then, 31 items about human resource strategy were brought from this hearing. As a result of the analysis, human resource strategy was visualized by using of two axes: "Producer-Creator" and "Organized-Personalized". Secondly, items of the purpose and the role of the outsourcing were gathered. Then, 24 items about outsourcing were brought from hearing. As a result of the analysis, the purpose and the role of the outsourcing was also visualized by using of two axes: "Talent-Output" and "Routine-R&D". And finally, four indexes were brought from the relationship between two structures, which seem to be able to become one index for predicting a future in-house design management.
  • 石川 義宗
    原稿種別: 本文
    2006 年 53 巻 4 号 p. 57-64
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本稿の目標は、工作機械の導入によるシェーカー・デザインの変化を指摘することである。シェーカーの家具は簡素だが、制作された年代や場所によってわずかな変化が見られる。特に本研究は19世紀後半の変化に注目した。研究の方法として、エドワード・デミング・アンドリュースとティモシー・D・リーマンの研究に注目し、両者を比較した。その結果、以下の点が明らかとなった。(1)リーマン研究にアンドリュース研究の影響は見られるが、デザインに工作機械の影響を指摘したことはリーマンがアンドリュース研究よりも優れたところである。(2)リーマンは1870年から1880年にかけて、アームチェアーから挽きもの装飾が消滅したことを指摘したが、その装飾は機械の使用によって一時的に現れたものである。(3)リーマンはフィニアルのデザインが1860年以降の工作機械によって変化したことを指摘したが、実際にはそれと同様の変化が1860年以前に見られた。
  • 金 明蘭, 樋口 孝之, 植田 憲, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    2006 年 53 巻 4 号 p. 65-74
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    韓国では市街の景観整備において通りの舗面の個性化は端緒についたばかりである。優れたフットスケープデザインによる舗面の個性化は,機能性一辺倒に陥らない人間性豊かな歩行空間を構築する点で極めて重要である。本研究では,ヨーロッパ主要都市28ヵ所において歩行者専用道路の事例調査を行った。事例について空間の印象と舗面舗装の仕様の関係性について解析を行い,先に報告した日本の事例と合わせて考察を行った。その結果,舗面の個性化に向けた各様の表現方法として,沿道の建物群との調和,芸術的作品の導入,舗面の幾何的な構成による特徴化,地域産出材料の導入,地域固有の色彩の活用,自然環境との調和,地形への適応,外部空間の内部空間的変容,伝統的舗装技法の活用,地域の特徴を表象する視覚表現の導入,親環境素材の活用が抽出された。今後の韓国において通りの舗面の個性化を行うには,抽出された表現方法を参照し,地域特性ならびに通りの用途に適合するフットスケープデザインを実施することが肝要である。
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