デザイン行為では,通常デザイン要求が言語表現で与えられるが,それを視覚空間的形態イメージに変換する過程がデザイン思考過程であるといえる。デザイン要求を表す目標表現は,デザイン思考における探索空間を限定するといえるが,実際のデザイン行為においては,同じデザイン要求であっても,その解釈の相違によって,結果としての視覚空間的形態表現も異なる。本研究では,「子供用のイスのデザイン」というデザイン要求を学生に課した実験により,その要求を解釈したコンセプトにおける言語表現の概念構造と,それに対応する視覚空間的形態表現との関係を,認知意味論のカテゴリー階層構造という視点からとらえ,デザイン要求の解釈の仕方の違いが形態表現における創造性とどのような関係があるかを確かめた。その結果,与えられたデザイン要求の解釈において,意味空間カテゴリーの中心的な解釈よりも,周縁的解釈の方が,作品の形態表現における新規性が高い傾向があることが分かった。
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