デザイン学研究
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55 巻, 3 号
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  • 孫 大雄, 宮崎 清, 樋口 孝之
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 1-10
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本小論は、小池新二の1940年代における活動を小池自身が綴った文章を基本的資料としながら、顧みたものである。欧州で展開されていた近代造形運動の思想・方法に心服して自ら創始した「海外文化中央局」に集結した諸資料の分析・紹介をすでに1930年代から続けていた小池は、1940年代に商工省工芸指導所専任技師・企画室長に着任してから、旧来の「工芸」を超える「新たな工芸」の勃興・発展の必要性を、執筆活動のみならず、各種展示・博覧会の企画などを通じて世に訴えた。「工芸への訣別」を唱えた小池が「工芸」の先に描いた新しい地平こそ、工業時代の到来のなかで「工業の人間化」を図るインダストリアル・デザインの世界であった。小池のこの期における活動は、日本におけるインダストリアル・デザインの社会的な普及に大きく寄与した。
  • 星野 浩司, 金 大雄
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 11-20
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    現在、国内には約5,360館もの文化施設があり、その多くが入館者数の減少と財政削減による人材や予算の不足という深刻な問題を抱えている。国内ミュージアムは、これから学校を中心に地域との連携を積極的に図り、永きに渡り足を運んでくれる愛好者の育成を必要とする。教育現場では、1998年に学習指導要領が改定され、「鑑賞」指導の項目が新たに加えられた。「鑑賞」指導は専門性を必要とするため、さまざまな模索が続けられている。本研究では、熊本県立美術館のデジタルミュージアム内にアーカイブされた画像データを基礎とするWEB鑑賞教材を新たに開発し、その教材を用いて現場教師による実践授業を行っている。また、カークパトリック「四段階評価法」による効果測定では、"バーチャル"なデジタルミュージアムが、教育現場とミュージアムとの連携による「鑑賞教育」の新たな手法の一助となる可能性を示唆した。
  • 森部 公一郎
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 21-30
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    情報化社会の進展によるネットワークや映像周辺機器の発展を背景に、高等学校普通教科「情報」においても、様々な情報の融合形態である映像情報の表現教育が望まれている。そして、それらの情報を処理するための能力を培っていくために、記憶の体制化を促進する図式的オーガナイザーを応用した状況マップを活用することが考えられる。著者は、これを心的表象の結束を強化し保持することで、学習者が具体的な映像制作に臨む際の礎になるためと仮定し、映像制作において状況マップが学習者に対してどの程度効果があるかを検証する。さらに、状況マップ作成時に生じる問題点も明らかにする。今回、高等学校普通教科「情報」を受講中の生徒を対象に調査及び分析を行った。その結果、状況マップを利用した状況モデルはある程度有効であった。しかし、状況マップ作成時の文章表現から映像表現への変換、イメージの収束と拡散、内容構成の理解の問題など解決しなければならない多くの点が明確になった。
  • 久保 光徳, 寺内 文雄, 青木 弘行, 古沢 克仁
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 31-36
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    軟質ポリウレタンフォーム製のシートクッションを持つ自動車用シートに着座するヒトの基本的な振動挙動を,有限要素法に従ってモデル化された3次元のデジタルヒューマンにより再現した。本研究では,自動車用シートに着座するヒトの振動特性と乗り心地との関係を明らかにするために,実シートに対する乗り心地評価実験と,その実験条件を再現したデジタルヒューマンーシートモデル振動系のシミュレーションを実施し,両者の比較・検討を行った。結果として,実シート実験において,2,4Hzでは上下方向の振動を支配するシートの材料物性値が乗り心地に強く影響を与えるのに対し,6,8Hzでは前後方向の振動を支配する材料物性値が乗り心地に影響を与えることが示唆された。この関係は、デジタルヒューマンを用いた振動シミュレーションにより,6,8Hzでの上下方向加振に対する前後方向振動の連成振動によるものであることが明らかとなった。
  • 千川 文子, 比留間 伸行, 多田 好克
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 37-44
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    描画に苦手意識を持たない幼児を対象に,紙への描画と電子ペンを用いた描画ソフトによる描画活動の比較を,定量的に分析した.定量的な分析が可能な時間見本法と質的な分析が可能な事象見本法を連携して遁用する手法を用い分析を行なった結果,両描画活動の類似点,相違点,そして描画ソフト特有の行動について,以下のような考察を導くことができた.(1)描画時間,使用した色数,そして描画中の注目点は,ツールの種類に依存しないことより,馴染みのあるクレヨンのような描画特性を損なうことなく,コンピュータでも描画が出来る,(2)描画ソフトでは,色アイコンを見たらすぐに色変更を実行するが,紙への描画では,色変更以外の行動にも時間をかける傾向があった,(3)幼児の作業記憶における認知特性より,すでに選択されている色を忘却し,もう一度同じ色選択アイコンをクリックする描画ソフトの特性による不自然な行動が判明した.
  • 王 海冬, 宮崎 清, 植田 憲
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 45-54
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    中国の少数民族のひとつであるオロチョン族は、狩猟を生業とした移住生活のなかで、きわめて特徴的な生活文化を形成してきた。なかでも、白樺の樹皮である「樺皮」を材料としたさまざまな生活用具には、彼らが長い歴史のなかで培ってきた生活の知恵が豊かに内包されている。本稿では、伝統的な樺皮活用品に関する資料の収集に基づき、機能による分類を行い、形状、材料、作り方、内容物の相互関係から、伝統的な「樺皮」を用いたものづくりの意匠特質を考察し、以下の特質を導出した。(1)白樺を不必要に伐採しないことや枯らさないための掟が遵守されており、樺皮活用品にはオロチョン族の自然と人間の「共存」「共生」を願う生活哲学・生活文化が表出している。(2)日常生活用の樺皮活用品は使い方と機能により「住」「行」「遊」「食」「衣」「業(狩猟)」「業(採集)」「神」の8つに分類される。共通する特徴は、「変形しない」「割れない」「防湿性が高い」「軽量である」「耐久性が高い」などである。(3)樺皮活用品は単に日常生活に必要で欠かせないものであるのみならず、それにはオロチョン族の人びとの審美意織や生活理念、信仰などの諸側面における象徴的意味が包含されている。
  • 大森 峰輝
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 55-62
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、建築学を専攻する学生がどのように住戸間取り図を理解・把握しているのか、学習期間による差異、そのプロセスや方法等の傾向を注視特性の分析結果を基に評価・考察した。その結果は、以下のようにまとめられた。1)建築学を専攻し始めて間もない学生が、間取り図を理解することは容易ではない。しかし、学年進行(習熟度)に伴ってそれをより正確に理解・把握できるようになることを客観的に確認した。2)低学年の視線軌跡・注視した場所は特定部分に集中する傾向があった。これに対し、高学年ではそれが分散的傾向を示し図面全体を視ている被験者が多かった。3)低学年は部分情報を組み合わせて図面全体を理解・把握し、高学年になるほど寸法と居室名を基に全体像を捉えた上で細部をも理解していくというプロセスを採るようになる傾向が示唆された。
  • 中西 啓
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 63-72
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、国立民族学博物館における特別展「2002年ソウルスタイル」に言及する文献に記された、鑑賞者による誤読の言説を分析対象とする言説分析の試みである。博物館展示には博物館・デザイン・鑑賞の三領野が関与すると考えられるが、各々の領野は曖昧で明確には区分し難い。本稿では、博物館展示において領野が曖昧である原因を析出することを試みる。分析には、精神分析学の知見の中から、主体の無意識的な領域の構造を説明する切断の論考の展開を試みた。分析からは、本事例の展示において、(1)デザイン学領野が全ての展示対象の部分であることが確認された。(2)博物館学領野において象徴化される展示対象の部分と、デザイン学領野において分離される展示対象の部分が等しいことが析出された。分析結果の考察から、(3)本事例の展示においてデザイン学領野が曖昧である原因は、本事例の展示における精神分析学的な構造にあることが説明された。
  • 金 美英, 日比野 治雄, 小山 慎一, 李 震鎬
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 73-80
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は、韓国・釜山広域市の都市景観の色彩に対する住民意識を調査分析したものである。釜山広域市が行う都市景観の色彩に関する事業の推進および持続的発展方策の検討に向けての基礎的な知見を得ることを目的として質問紙による意識調査を行った(回収率は750件中373件、約50%であった)。調査の結果、都市景観の色彩に対する住民の関心度は高く、都市景観の色彩に関する問題について認識していることがわかった。また、釜山広域市の都市景観の色彩に関する管理指針の必要性について肯定的に受け止めている住民が多かった。都市景観の色彩に関する事業に対し、市が基本的な方向を明確にし、整備を行うことを望んでいると答えた人の割合が高いことが明らかになった。釜山広域市では、上記の住民の要望を反映し、市が都市景観の色彩を整備するための体系的な条例を設定することが望ましいと考えられた。
  • 羅 彩雲, 宮崎 清, 楊 静, 植田 憲
    原稿種別: 本文
    2008 年55 巻3 号 p. 81-90
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、台湾における伝統的な寝台「紅眠床」の制作技術に関する諸特質を、中部地域の職人からの聴き取りを通して明らかにしたものである。また、本稿は、職人からの聴き取りと文献資料との比較・考察を行い、台湾における伝統家具「紅眠床」に関する史料作成を志向したものである。本稿では次のことを明らかにした。(1)「紅眠床」を構成する部材名称は、機能特質を表現しつつも、職人の居住地域によって異なっている。(2)「紅眠床」の用材は時代によって変化するが、とりわけタイワンヒノキが「紅眠床」の歴史と密接に関係していた。(3)「紅眠床」の製造工程は、職人の営業形態によって異なるプロセスになっていた。(4)「紅眠床」の寸法規格は独特な単位に基づいており、職人の居住地により、その演算方法が異なっていた。(5)伝統家具「紅眠床」の制作は、時代とともに分業化が図られ、個々に専門技術を有する職人の連携によってなされるようになった。
  • Pei-Jung CHENG, Jen YEN
    原稿種別: Article
    2008 年55 巻3 号 p. 91-98
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    In design studies, many researchers argue that the designers need to perceive a great deal of visual stimuli to generate ideas in the ideation process, but how the behaviour of searching for or retrieving relevant precedents influence designers' ideation procedure seems a key issue to be explored. Therefore, this study chiefly examined the role of Searching-retrieving (S-R) behaviour throughout the ideation process through the methods of in-situ observation with six practicing graphic designers, so as to explore how designers search for reference materials to generate ideas. The findings show that first, most designers spend about one-third of their ideation time to search for or retrieve relevant reference materials and the designers tend to have this behaviour from the beginning to the end. Second, the behaviour of creating new sketches has a strong connection with searching and retrieving behaviour in the designers' ideation process, and the interaction between these two behaviours is a necessarily connective activity for designers to form ideas in the designing procedure. Third, the designers' searching and retrieving behaviour in the pre-stage and mid-stage mainly supports the function of ideas conceptualizing.
  • Mitsunori Kubo, Fumio Terauchi, Hiroyuki Aoki
    原稿種別: Article
    2008 年55 巻3 号 p. 99-102
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    The aim of this study was to clarify the basic relationship between the physique of subjects who sat in an experimental seat and the effect of cushions installed on the seat. The experimental seat was vibrated perpendicularly so that the subject could experience the same vibrational conditions as he/she would experience when riding in a car on an actual road. The cushions were rectangular parallelepiped in shape, so that the effect of the shape but not the thickness could be neglected in considering the basic relationship. The two male subjects selected for these experiments had different physiques: one had a large physique, while the other was thin. As a result, it was suggested that the cushions would increase the differences in the dynamical characteristics due to vibration between thin and solid-built subjects. The thin subject tended to be more affected by changes in the properties of the backrest than the large person.
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