本稿はクオリティカルテ評価・診断システム(1)の続報である。デザイナーや技術者などの作り手,経営者や営業者などの送り手,そしてエンドユーザーの受け手の3つのユーザーグループ間に存在すると考えられるデザイン評価のズレを明らかにするために,さまざまな製品の評価が行えるデザイン評価指標を構築し,評価調査を行った。デザイン評価指標は,デザイン賞の審査講評からデザインを評価する上で重要と考えられる事項を抽出し,これらを整理,編集し平易な短い文章で表現される指標をプロトタイプとして成立させた。その後,数回の実験を実施することにより,デザイン評価指標として構築した。そして,構築したデザイン評価指標を用いて評価調査を行い,ユーザーグループ間に存在するデザイン評価のズレを確かめることができた。評価のズレは,作り手を中心に頻繁にみられており,評価のズレを認識し,要因を考察することが製品開発に有効に役立つ可能性があることを示唆することができた。
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