本研究では,公共空間における作り手,送り手,受け手といった異なるユーザーグループ間の評価のズレを可視化し,潜在的なニーズを抽出するため,クオリティカルテ評価・診断システムの構築を目的としている。本稿では,第3稿で構築した空間評価指標および評価手法を用いて評価実験を行い,評価データの収集および分析を行った。評価実験では日本人観光客と韓国人観光客を被験者とし,両国の玄関口となる港および駅を対象として合計4箇所の評価を行った。その結果,地域性に対する感じ方の違い,ユニバーサルデザインへの関心度の違いを抽出することができた。また,案内サインについての共通の問題点も複数抽出することができた。さらに,その結果を用いて学生によるデザインワークを行い,コンセプト立案やアイディア展開での活用を試みた。
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