デザイン学研究
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60 巻, 4 号
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  • ─先行オーガナイザを活用したエクスペリエンス・スナップショット法の提案
    林 佳音, 南部 美砂子, 岡本 誠
    2013 年60 巻4 号 p. 4_1-4_10
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,近年心理学や社会学の分野で注目されつつある経験抽出法に着目し,携帯電話を用い,与えられた課題についての気付きや経験を自己報告することができる支援ツール(mobile AP2)を開発した.しかし,様々な人々が自ら記録を取るためには,記録のノウハウや携帯電話の操作性などの調査環境を整備する必要がある.そこで本研究では,経験抽出法に基づいたエクスペリエンス・スナップショット法を提案した.この手法の有効性を評価するために,記録者はエクスペリエンス・スナップショット法を用いた評価実験を行った.結果から,エクスペリエンス・スナップショット法による記録は,単なる気付きを顕在化するだけではなくその背景を容易に把握することができ,記録した記事の構造化も容易に行えることが分かった.そのため,個人差をこえて,一定の質の記録内容を確保できるという長所がある.また,エクスペリエンス・スナップショット法は気付きや経験に関する情報を処理し,それらを記録する際の枠組みを提供するため,その内容の記憶を促進する可能性が示唆された.
  • - Verganti のイノベーションモデルに基づくデザインプロセスの展開
    杉野 幹人
    2013 年60 巻4 号 p. 4_11-4_20
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    イノベーション研究において、デザインドリブン・イノベーションの研究が進んでいる。デザインドリブン・イノベーションは、技術や市場ニーズではなく、デザインによって生起されるイノベーションであるとされる。
    しかし、先行研究では、デザインドリブン・イノベーションはデザインによって生起するとされるが、そこで具体的にどのようなデザインが求められるかは明らかではない。換言すれば、デザインドリブン・イノベーションにおけるデザインプロセスは明らかにされていない。
    本研究は、デザインドリブン・イノベーションの先行研究を確認した上で、事例分析を通じて、デザインドリブン・イノベーションにおけるデザインプロセスを提示することを目的とした。
    本研究の結果、デザインドリブン・イノベーションにおけるデザインプロセスの一つとして、ユーザーの転用に着眼することを起点とするプロセスを提示した。
  • - クオリティカルテ評価・診断システム構築に関する研究 (5)
    石橋 伸介, 曽我部 春香, 森田 昌嗣
    2013 年60 巻4 号 p. 4_21-4_28
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    ライフスタイルや価値観が多様化する中,都市部を中心として,モビリティのあり方が大きく変化してきている。本研究では,パーソナルモビリティに特化したデザイン評価指標およびデザイン評価・診断システムの構築に向けて,パーソナルモビリティに対するユーザーの価値構造を把握することを目的としている。都市部に暮らすユーザーを対象にアンケート調査を実施し,パーソナルモビリティに対する意識や利用環境における問題点,課題を把握することができた。インタビュー調査では,20歳以上40歳未満の若い世代に着目し,パーソナルモビリティに対する意識の掘り下げを行った。その結果,自転車,自動車,オートバイそれぞれの価値について,属性,機能的ベネフィット,心理的ベネフィットを上位下位の関係で図式化することによって構造化することができた。これにより,楽しみや愛着,快適さといった上位の価値と,機能的,心理的な価値要素との関係性についてパーソナルモビリティの種類によって違いがあることを明らかにした。
  • 落合 太郎
    2013 年60 巻4 号 p. 4_29-4_34
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    世界初となるユニバーサルデザイン信号灯の公道上における社会実験を2012年1月27日から3月30日の間、福岡県警察本部および福岡ビジネス創造センターと著者が共同で実施した。赤信号に特殊なLEDで埋め込まれた「×」印が健常者には気にならない程度の存在であるのに対し、色覚障碍者にはよりくっきりと見えて、止まれの意味が良く伝わるという基本コンセプトを提示した。アンケート調査では、有効回答数257の約94%が賛成意見であった。赤灯に「×」印は適合する組合せと受けとめられ、輝度差による図示には違和感が少なく、色覚障碍者が安全に運転できる信号は必要であるという総意を得た。一方「×」印は昼間より夜間で見えにくかったため、青色光の割合の再調整と当該LEDレンズ性能の改良点が見つかった。色覚障碍者から多数寄せられた意見からは3灯式より1灯点滅式信号灯が難問であり、優先するニーズであることが分かった。
  • 明土 真也
    2013 年60 巻4 号 p. 4_35-4_44
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    聴取音は、原音、音源、意味等を示し、心理、生理、活動等を誘引する。このような性質を「音の記号性」と呼ぶ。また、音の記号性が作用する場であるサウンドスケープの構成要素は、空間及び場所、音源、外界の音、聴取者、触媒、音の記号性が聴取者に作用した結果である。触媒とは、空間及び場所、音源、音、聴取者以外に、音の記号性に影響を及ぼす事物である。そして、サウンドスケープ・デザインとは、音に備わる種々の記号性が最適に作用することを目的として、これらの対象をデザインすることである。本論では、このサウンドスケープ・デザインの手法を報知音に適用することを試みた。その結果、触媒もデザインの対象であるという観点より、意味の触媒である文脈をデザインするという着想を得ることができたため、種々の文脈に応じたサウンドスケープ・デザインを提言した。
  • ─ピクトグラムの理解に関する認知心理学的研究
    北神 慎司, 高橋 知世, 林 文博
    2013 年60 巻4 号 p. 4_45-4_50
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T 0103)」に基づき,病院の診療科を表すピクトグラム17個を開発し,それらの理解に関する評価を目的とした調査を行った.その結果,全体の評価としては,ピクトグラムの意味がわかりやすいものが多かったものの,詳細に個別の結果を見ていくと,いくつかの理由でわかりにくいと評価されているピクトグラムもあり,その背景要因を検討した.まず,誤答率の高いピクトグラムは,最多誤答数が多いことから,誤った回答の傾向が一貫しており,ピクトグラムとして描かれるモチーフの代表性がわかりにくさの原因となっていることが示唆された.次に,無回答率の高いピクトグラムについては,上記と同様,代表性がわかりにくさの原因となっていることの他に,診療科に関する既有知識の欠如が,わかりにくさの背景要因となっている可能性が示唆された.これらのわかりにくさを解決するためには,デザイン的側面と認知的側面の両方から,改善策を講ずる必要があると考えられる.
  • ─ミャオ族・トン族・ブイ族・チワン族・ヤオ族の集落における実地調査に基づいて
    曽和 英子, 曽和 具之
    2013 年60 巻4 号 p. 4_51-4_60
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    雲貴高原は、中国「民族街道」と言われ、その多様な気候や地形において、様々な民族の多様な民族文化が展開されている。その中には、黄河中流域から移住したミャオ族など稲作諸民族も含まれている。
    本研究は、ミャオ族、トン族、ブイ族、チワン族、ヤオ族など稲作諸民族の集落における現地調査を通して、それぞれ民族の染めの伝承およびその地域特性を明らかにした。その結果、以下のことが明らかになった。(1)水資源が豊富な平地においては、黒染め、重ね染め、亮布づくりが盛んに行われている。一方で、水資源の乏しい山岳地域では、蝋纈染めが伝承されている。(2)トン族、ブイ族、チワン族は平地に多く分布し、古くから様々な染めの文化を形成してきた。ミャオ族は山岳部に多く分布し、上記の民族の染めの文化を吸収し、多様な地域性を生み出した。
  • ─デザインの発想過程における表示技法の役割とその効果に関する研究(2)
    伊豆 裕一, 佐藤 浩一郎, 加藤 健郎, 松岡 由幸
    2013 年60 巻4 号 p. 4_61-4_68
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    デザインの発想におけるスケッチの活用には,様々な効果が示唆されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対する,透視図法や曲面表現などのスケッチスキルの影響については明らかにされていない.筆者らは,プロダクトデザインにおける,スケッチスキルのデザインの発想に対する役割とそれぞれの効果の解明を目的に,一連の研究を進めてきた.前報では,学生によるスケッチスキルの修得プロセスの分析結果をもとに,スケッチスキルの構造モデルを提案した.本稿では,このスケッチスキルの構造モデルがデザイナーのスケッチの分析においても有用であることを検証した.具体的には,デザイナーと学生が同一課題に対して描いたスケッチの差異を比較した.そして,その差異と,デザイナー間における差異を明らかにすることで本モデルの有用性を示した.さらに,デザイナーによるスケッチの解析結果により,スケッチスキルとデザインの発想は,互いに影響を及ぼし合う可能性を示した.
  • 土井 俊央, 石原 啓介, 山岡 俊樹
    2013 年60 巻4 号 p. 4_69-4_76
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    ユーザインタフェースデザインのためにユーザのメンタルモデルを検討することは重要であるが,その検討は容易でなくデザイン開発プロセスで十分に検討されているとは言い難い.そこで本研究では,ユーザのメンタルモデル構築度合や特性を簡易的に想定するためのアンケートとしてメンタルモデル構築度合測定尺度を開発した.まず従来研究を参考にアンケート項目の候補を作成した.そして726名に対するアンケート調査とその結果から項目分析を行い,アンケート項目を選定した.また構成されたアンケートは,複数の観点から信頼性と妥当性を検証され,それらが十分に高いことを確認された.加えて,開発されたアンケート結果と機器操作実験の結果の比較検討を行い,その関連性を確認した.これらのことから,本研究において開発されたアンケートは,ユーザのメンタルモデル構築度合を想定するために有効な手法であることが考察された.
  • 鈴木 偵之, 石塚 昭彦, 中本 和宏, 小野 健太, 渡邉 誠
    2013 年60 巻4 号 p. 4_77-4_86
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究では子供向けデジタルサイネージのGUIデザインの指標を明らかにした。デジタルサイネージが持つ特徴のうち、大画面を有し、タッチ等によるインタラクションがある点、設置して利用される点を中心に調査を行った。
    子供の行動把握にはエスノグラフィ(行動観察調査)法を使い、子供特有の特徴を抽出するため、PCリテラシのある年齢(大人)についての比較調査を行った。結果の分析には、行動比較マップを用いた。これは子供と大人の行動を比較するために、子供と大人がとった行動の頻度をそれぞれ集計し、その結果をプロットしたマップである。このマップをもとに子供と大人の行動の共通部分と子供特有の部分について考察を行った。
    これらの結果、子供特有のデジタルサイネージの利用に関する特徴として、「目標設定」「ボタン等の操作部」「操作に対する満足」に関係する3つの観点にまとめられることが分かった。
  • -1950 年代におけるニューヨーク近代美術館及び国立近代美術館のデザイン展と「グッドデザイン」の考察から
    山崎 泰寛
    2013 年60 巻4 号 p. 4_87-4_96
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、1957 年に国立近代美術館で開かれた「20 世紀のデザイン展:ヨーロッパとアメリカ」(以下、20 世紀展)の開催経緯を通じて、同展のデザイン史上の重要性を検討する。ニューヨーク近代美術館(MoMA)のグッドデザイン展を参照した国立近代美術館の企画が、MoMA のキュレーターであるアーサー・ドレクスラーによって変更を迫られ、欧米の工業デザインの歴史を紐解く展覧会として開かれたことを明らかにした。
    また、グッドデザイン展を実施したエドガー・カウフマンJr.からドレクスラーへとMoMA のキュレーターが変わり、デザイン展の方針が転換したことをMoMA の要求の根拠に挙げた。商業的なグッドデザイン展と審美的な20 世紀展は性格を異にする展覧会であり、グッドデザイン運動の高まりの中にあった日本のデザイン関係者は戸惑っていた。また、米国文化の影響下にあった当時の日本で最初に開かれた本格的なデザイン展が、非商業的な意識に基づく20 世紀展として開かれたことで、日本のデザイン展の方向性が決定づけられた可能性を考察した。
  • 北村 充, 中本 和宏, 小野 健太, 渡邉 誠
    2013 年60 巻4 号 p. 4_97-4_104
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、日本デザイン振興会の主催するグッドデザイン賞におけるUIの評価方法について検討した。調査方法は、品質要素の考え方である狩野モデルに基づき、当たり前品質と魅力的品質を考慮した。まず当たり前品質の調査として、応募された機種のユーザテストを行った。ここからステップ数等、定量的なデータを取得し、受賞結果と照らし合わせ、評価項目の妥当性を検討した。次に、魅力的品質の調査として、応募者からのアピールポイント等を基に評価項目を求め、魅力的品質の側面から、同様の検討を行った。結果、当り前品質の調査からは、機種ごとの操作ステップ数では受賞に結び付くような差異が見られないことが分かった。また、魅力的品質の調査では、UIの特徴に関するグループと、UIデザインの方向性などが得られた。
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