デザイン学研究
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63 巻 , 5 号
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  • 熊澤 貴之
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_1-5_6
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究では、土地の者である住民とよそ者である大学生が農村地域における地元素材や特産品を活用する協働のアート作品の開発と制作を行い、アート制作における自己表現の幅とアート制作への参加が住民のまちづくりへの意識醸成に与える効果を定量的に検討した。その結果、協働のアート制作への参加は賑やか感と一体感といった一時的なまちづくりへの意識醸成に有意差のある効果を持つが、まちづくりへの興味、まちの特徴に関する意識形成、コミュニティの維持形成といった恒久的なまちづくりへの意識醸成に有意差のある効果を持たなかった。一方、協働のアート制作における自己表現は、一時的なレベルから恒久的なレベルまで住民のまちづくりへの意識醸成に有意差のある効果を持った。これらの知見から、農村地域の包括支援に向けた協働のアート制作によって、一時的から恒久的なまちづくりへの意識醸成に向け、住民が自己表現を楽しみながら、不参加者を巻き込んで参加者に変えていく取り組みが必要だ。
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  • 奥村 恵美佳, 久保 光徳 , 田内 隆利, 山中 敏正
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_7-5_14
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は13世紀における板蟇股の力学的合理性の解明を通して当時の設計者の力学的感性について考察することである。本研究では日本伝統建築において束の役割を担うために配置され構造材の役割を担う板蟇股の形態に着目した。蟇股の形態は時代や地域,作り手によって異なる設計がなされるため,建築物の建立時代を明らかにする指標の一つである。そして,中世は蟇股が構造材から装飾材の役割へと変容を遂げた変換期である。そこで本研究では,中世初期に当たる13世紀の板蟇股に掘りこまれた眼玉と呼ばれる二つの小さな凹みの意匠に着目した。13世紀に制作された板蟇股の3Dモデルを用いて木材の材料特性である直交異方性を考慮した非線形構造解析を行った。解析結果から,板蟇股に施された二つの小さな穴が応力集中緩和の傾向をもつことが示され,一見装飾的な印象を受けるこの眼玉が構造的な機能性につながる力学的合理性の上に成り立っている意匠であることの可能性が示された。
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  • 熊澤 貴之
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_15-5_22
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     水戸市中心市街地に存続している湧水地の地形や整備状況から湧水空間の快適性を規定する要因を特定し,湧水空間における人と水辺の関わり方の変容を分析することで,今後の湧水空間における整備における重視すべき点を検討した.その結果,湧水地の空間的特徴は,線上に点在する断片的な空間,崖線タイプの地形,環境管理の度合いや湧水地の広さや囲われ度合いであることが把握された.特に湧水地の空間的特徴に大きな影響力を持つものは,環境管理の度合いと湧水地の囲われ度合いであることを明らかにした.また,水辺と人の関わりを分析した結果,生活活動や農業活動が衰退し,生業活動は縮小し,信仰活動や創造活動は継続し,公園としての整備によってレクリエーション活動が増加し,現在では,防災活動や教育活動が新たに実施されてきていることが明らかになった.まだ実施数は少ないが,近年,見られるようになった教育活動や防災活動は,新しい取り組みとして徐々に認識されていることが確認された.
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  • 万 人立, 池亀 拓夫
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_23-5_32
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     18世紀半ばから19世紀にかけてイギリスで起きた産業革命は歴史上最大の転換期といわれている。そこには「自然環境破壊」や「劣悪な労働環境」といった今日と共通する問題が生じていた。これらの問題に対して、イギリスはさまざまな方策を駆使して乗り越えてきた。一連の流れは、後の<自然と歴史的環境を守る住民運動>ナショナル・トラストへと引き継がれていき、イギリスは今日のエシカル(倫理的)運動のマザーランド(発祥の地)として世界の注目を集めることになった。
     本稿では、第1に「世界のエシカルブランド」の現状について、第2に「中国におけるエシカル動向」の現状と今後の方向性について考察する。最後に、筆者(万人立)の母国・中国の今後の持続的発展のためには、エシカル(倫理的)という視点が不可欠であること、そうしてはじめて中国の産業が次世代型へと転換し、新しい社会の誕生につながることを提案したい。
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  • 峯元 長 , 土肥 真梨子, チョウ ショウセイ, 秋山 福生, 小野 健太, 渡邉 誠
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_33-5_42
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     前報『人流データに基づいた個人単位移動行動のモデル化』では,人の移動を4つのモード+切迫度で表す新しい人流モデルの提案を行った。本報では,前報で得られた新しい人流モデルをいかにビジュアライズすべきかについて論じたものである。
     静止画によるアイディア提案,次にパラメトリックデザインによるアイディア提案を行い,それらの提案に対して印象評価を行い,アイディアの絞り込みを行った。絞り込まれたアイディアに従い,調査により得られたサンプルデータを用いた3種類のプロトタイプを作成し,さらに再度印象評価を行うことより,最終提案に至った。
     最終提案は,各モードを異なる色で表現し,「直行」については,直線の軌跡を用いることにより表現し,「経路探索」は頭の形状を三角として,その三角が左右に回転することで表現し,「目的探索」について,頭の形状を丸として,軌道にsinカーブを用いたものとなっており,「直感性」,「見やすさ」の両方を満たす,新しい人流モデルに相応しいビジュアライゼーションが行えた。
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  • 吉岡 聖美
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_43-5_48
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究では,簡易な形の目口のパーツによって構成される顔アイコンを描画することによる気分の変化を調査する。加えて,描画した目口のパーツの形を分類し,気分の変化に関係する顔アイコンの特徴を調査することを目的とする。笑顔のアイコンを描画することによって,POMS短縮版における「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」が低下して気分が改善することが示された。描画した笑顔のアイコンは,目頭と目尻を下げて弧を描く形の目のパーツと,口角を上げて弧を描く形の口のパーツが多くを占めることが示され,心理的効果が期待できる笑顔のアイコンであるスマイルアイコンの特徴を確認した。一方,怒った顔のアイコンを描画することによって,「活気」が低下して,「怒り-敵意」は上昇し,気分が悪化することが示された。また,笑顔のアイコンは口のパーツの形によって表情が表される傾向にあり,怒った顔のアイコンは目のパーツの形によって表情が表される傾向にあることを確認した。
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  • 渡邉 萠, 中西 美和
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_49-5_58
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     「『愛着』がある」と表現されるモノは、そのユーザに長きに渡って高い心理的価値をもたらすとして、近年、プロダクトデザインに携わる従事者に注目されている。しかし、人がどのようにモノに対する「愛着」を形成していくのか、また、それを促す方法としてどのような実際的手段があるかは、明らかになっていない。そこで、本研究では、「愛着」の原義が定義される心理学理論に基づき、「愛着」の観点をプロダクトに埋め込むデザイン戦略を提案し、適用したときユーザの「愛着」形成が促されるかどうかを実験的に検証した。まず、心理学理論に基づき、「愛着」を形成する要件を検討し、これをスマートフォンアプリとして実装した。次に、ユーザを、アプリを使用するグループと、使用しないグループの2つに分け、製品に対する「愛着」の変化を、先行研究で明らかにした「愛着」検出指標(脳血液量変化、指突容積脈波)を用いて計測、分析した。その結果、提案したデザイン戦略が、ユーザのモノに対する「愛着」形成の促進において有効である可能性が示唆された。
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  • 曽我部 春香, 森田 昌嗣, 杉本 美貴
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_59-5_68
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     自転車通行空間に設置されている路面表示と任意標識に着目し、これらに用いられている方法等が抱える課題を明確化し、課題改善のための留意事項を示した。
     自転車通行環境整備モデル地区のWeb調査、平成24年11月に国土交通省及び警察庁から発行された「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」と平成27年度に発行された「金沢自転車通行空間整備ガイドライン改訂版」のガイドライン調査、関東エリア及び金沢市のフィールド調査の3つの調査を行い、自転車通行空間における路面表示と任意標識の課題を設置や表現方法、各地域での取組などの視点から総合的に明確化できた。
     地域独自のガイドライン整備の必要性と有用な地域独自のガイドライン整備を行うために、ガイドライン上に具体的に明記すべき7つの事項をまとめた。また、整備された自転車通行空間を良好に運用するための自転車通行教育・啓蒙の必要性についての新たな課題も見出すことができた。
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  • 猪股 健太郎, 李 奈栄, 荷方 邦夫, 長田 典子
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_69-5_74
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究では,デザイン解の実用性を高めるため,デザインコンセプトから連想されやすい情報を呈示することによるデザイン支援の妥当性を検証した。まず予備調査において,目的とするコンセプトから連想されやすい対象とその特徴についての情報が収集された。次のデザイン実験では,呈示される情報を参照してハンカチのデザインを行う群と,情報の呈示なしにデザインする群が設けられた。最後に評価実験において,デザインされたハンカチが目的としていたコンセプトをどの程度達成しているか評価された。その結果,情報による支援を受けたデザインの方が,そうでないデザインよりも目的の印象をより喚起できることが観察された。これらの結果から,コンセプトから連想される情報は,一般的な感性を考慮したデザインに有効であることが示唆された。
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  • 丸山 萌, 田内 隆利, 久保 光徳
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_75-5_80
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究は,日本の伝統的衣服であるキモノの形の意味を,ものから得られる情報を通して明らかにしようという試みである。キモノはほどけば布に戻るものとされ,「繰り回し」と呼ばれる作り替えが行われていたことが知られており,制作時から予め再利用を見込んだ形に作られていたと考えられる。キモノがどのように作られ,また作り替えられてきたのか,日常着として着用されていた2点のキモノの観察・解体によって調査し,制作および作り替えの過程と形との関係を考察した。
     資料の解体から,キモノの形に共通する構成の特徴は,狭い幅の布を用い,できるだけ裁断を少なくし,手縫いで作ることであるとわかった。作り替えられたキモノからは,共通の布幅を生かした各部の入れ替えの様子や,布の重なる部分や目立たない部分に痛んだ布や小さな端切れが巧みに生かされている様子が確認できた。調査より,キモノの形は,決まった量の材料を余らせずにできるだけ大きく使うことで作り替えの可能性を広げた,材料を最大限に生かすための形であると結論付けた。また,衣服としての形が一定であることにより,制作技術の習得と応用を容易にし,作りやすさを追求した形であると考えた。
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  • 小川 直茂, 三上 訓顯, 坂本 淳二
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_81-5_90
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     平成27年10月に厚生労働省が示した「患者のための薬局ビジョン」にもとづき,今後薬局の役割は薬剤の提供から,患者の健康維持・増進を総合的に支援する「健康サポート」へと転換を迎える。そうした体制の実施にあたっては,薬剤師が必要とする様々な情報を効率的に記録・管理・運用できるシステムのあり方について検討を深めることが極めて重要である。本研究では,薬剤師の意識調査と分析を通して健康サポート薬局の推進および効果的運用に向けた情報記録・管理・運用システム設計のための課題を明らかにすることを目的として研究に取り組んだ。
     調査結果についてカテゴリカル主成分分析と階層クラスター分析を用いて解析を行った。カテゴリカル主成分分析の結果5つの主成分が明らかになり,階層クラスター分析によって薬剤師の意識傾向を6つのグループに類型化することができた。これらの結果を元に考察を行い,多くの機関とのコミュニケーションハブとして機能するためのコミュニケーションモデルのシステム面での支援の必要性や,健康サポート業務の段階に応じて必要な情報に効率的にアクセスできる方法の検討など,システム構築に向けた複数の課題を明らかにすることができた。
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  • 柳橋 達郎
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_91-5_100
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     日本の地方自治制度の枠組みが構築されるとともに,「自治体紋章」という新しいグラフィックデザインのジャンルが誕生したのが明治時代である。本研究では,明治期から昭和期における日本の自治体紋章を,三つの期間に区分し,その変遷を造形的観点から捉え,考察を加えた。特に,仮名や漢字をモチーフに,文字を構成要素とする「文字型」図案をその対象とし,各時代の特徴的な造形方法を抽出した。第Ⅰ期(1889-1914)は自治体紋章の黎明期,第Ⅱ期(1915−1945)は都市における紋章の概念が浸透し,その様式が確立されていく時代であった。第Ⅲ期(1946−1992)では,昭和の大合併と相俟って,全国規模で大量の紋章制定が進められた結果,造形表現が定型化し,画一的なデザインが誕生することとなった。そうした自治体紋章図案の変遷を体系的にまとめた結果,紋章図案の骨格を担う造形モチーフが,時代とともに移り変わってきたことを確認した。各時代の「型」が存在し,自治体紋章は,時代性を備えたシンボルマークであったといえる。
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  • 李 志炯, 崔 庭瑞, 小山 慎一, 日比野 治雄
    63 巻 (2016) 5 号 p. 5_101-5_108
    公開日: 2017/03/10
    ジャーナル フリー
     文字の太さは人間の感情や態度などと関係がある。たとえば,文字を読む際に太さが変化しても文字の意味が伝わるのは同様であるが,受ける印象には差が生じる。そのため,正確なコミュニケーションの実現のためには文字の太さと印象の関係について検討する必要がある。そこで,本研究では明朝体,ゴシック体の2書体それぞれのひらがなとカタカナを対象に文字の太さ(レギュラー,セミ・ボールド,エクストラ・ボールド)による印象の変化についての検討を加えた。その結果,明朝体のひらがなの場合,レギュラーでは柔和性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは柔和性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。一方,明朝体のカタカナ・ゴシック体のひらがなおよびカタカナの場合,レギュラーでは先鋭性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは先鋭性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。これらの結果により,文字の太さごとの印象の特徴および文字の太さによる印象の変化が明らかになった。
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