デザイン学研究
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最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 片山 めぐみ
    2019 年 65 巻 3 号 p. 3_1-3_6
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー
     本稿では、筆者が設置企画に携わり運営サポートを手がけてきた、北海道寿都町のコミュニティ・レストラン、「風のごはんや」のプロジェクト概要を報告するとともに、利用者調査を通してコミュニティ・レストランで育まれるソーシャル・キャピタルについて考察した。平成24年から27年の間に計3回の来店者アンケート調査を実施し、来店理由、通い続けるようになった前後での精神的変化について経年変化を調べた。調査結果から、困りごとを相談するような親密な人間関係ができたという声は聞かれなかったが、親密な関係ではないがまったくの他人でもない関係性が紡ぎ出す、パーソナルネットワーク理論の「弱い紐帯」のソーシャルキャピタル醸成を読み取ることができた。4年間の経年調査で、最初は「美味しい」「安い」という理由で来ていたのが、時間を経ることによって、スタッフや客という立場の違いを超え、その場にいる人々が互いに場の意味合いを形成していったと考えられる。
  • 土井 俊央, 村田 厚生, 三村 友洋
    2019 年 65 巻 3 号 p. 3_7-3_14
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー
     カメラモニタシステムを搭載した自動車開発のための基礎的研究として,有効・安全なサイドミラー代替ディスプレイの設計条件を検討するための2つの実験を実施した.いずれの実験においても被験者には,ドライビングシミュレータによる模擬運転作業と後続車確認作業の二重課題を行わせ,後続車確認作業における反応時間・正答率とトラッキング誤差を計測した.実験1では,ディスプレイサイズ(3.5インチ,5インチ,7インチ)と設置位置(ドライバ正面,ハンドル両脇,車内左右端)に着目し,最適な設計条件を考察した.反応時間の観点から,特に5インチ以上のディスプレイサイズでかつ視野角の小さい位置が好ましいことが明らかになった.実験2では,バックミラー一体型ディスプレイの正答率向上のために触覚警報提示の有効性を検証した.反応時間,正答率いずれの観点においても警報を提示した条件が有意に優れており,警報提示システムと組み合わせることでバックミラー一体型ディスプレイの有効性を担保できることが示された.
  • 下村 萌, 森田 昌嗣, 平井 康之
    2019 年 65 巻 3 号 p. 3_15-3_22
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー
     厚生労働省は現在,ネウボラと呼ばれるフィンランドの子育て支援をモデルとして少子化対策に取組んでいる。本研究の目的は,サービスデザインの視点からフィンランドのネウボラで行なわれる子育て支援サービスを評価し,その課題を明らかにすることである。サービスの要件を明らかにするために,ネウボラに関する既往研究の調査,社会システムの調査,ネウボラサービス提供者にインタビュー調査を行った。次に,ネウボラのサービスをユーザーの視点から評価するため,ネウボラユーザーにインタビュー調査を実施した。これらの結果を比較し,現状のネウボラサービスとユーザーニーズの一致点と相違点を分類し,相違点の中から (1)ユーザー(子どもと家族)中心,(2)保健師との対話を通じた共創,(3)孤立させない連続したインタラクション,(4)多面的な物的サポート,(5)人をつなげる全体的な視点の5つの課題が明らかになった。これらの課題の解決策の一つとして,ネウボラを男性が参加しやすい子育て支援サービスとして再考する必要性があげられる。
  • 林 依蓉, 三橋 俊雄
    2019 年 65 巻 3 号 p. 3_23-3_32
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー
     本研究では,台湾原住民タロマク族が現在も暮らしの中で実践している狩猟について,自然を利用するだけの活動にとどまらず,精神的・文化的な意味で自然と深く関わってきた「遊び仕事」の観点から考察する。
     調査では,タロマク族の30〜70代の猟師経験者から,狩りの技術やプロセス,禁忌・儀礼,自然観など,狩猟活動の諸側面について聞き取りを実施し,伝統的狩猟文化の実相について探求した。その結果,彼らの狩猟文化には,身体的活動を通して得られる生きがいや誇りはもとより,彼らが目指す真正な猟師像,'agamocoやSangaなどに見られる象徴性,共同体的規範としての分享の精神など,部族内における誇りや喜びの源泉となり得る「遊び仕事」の社会的・精神的な価値が内包されており,彼らが守り次世代に伝えようとしている狩猟という「遊び仕事」の特質を示すことができた。また,そこには,民族の誇りや民族自立に繋がる彼らの強い想いを見て取ることができた。
  • 大澤 隆男, 古谷 純, 池田 稔, 熊谷 健太
    2019 年 65 巻 3 号 p. 3_33-3_42
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー
     国内電機メーカは需要の変化に伴い事業戦略の見直しが進んでおり,企業内デザイン組織はその対応からより適切なデザイン価値の提供が求められている。日立製作所デザイン本部は製品価値を高めるプロダクトデザインから,ユーザの経験価値を高めるエクスペリエンスデザインへとデザイン価値を向上させる組織改革を進めてきた。
     本稿は2005年から2010年に行った日立製作所のデザイン改革を「Will:組織の思い」「Must:組織の義務」「Can:組織の技量」からなる枠組みで整理した。「Will:組織の思い」では危機意識から将来ビジョンを描き実現の行程を共有し,「Must:組織の義務」で事業ニーズと成果評価を分析しデザイン満足度を上げ,「Can:組織の技量」で経験価値を創出するデザイン基盤を整備した。これ等の活動でデザイン本部は技術ポートフォリオを変え,B2B事業の貢献を高め顧客協創によるイノベーション創出を担う組織に変貌した。本事例から電機メーカのデザイン組織改革におけるWMCモデルのフレームワークの有効性を考察した。
  • 森下 あおい, 中村 顕輔
    2019 年 65 巻 3 号 p. 3_43-3_48
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー
     服飾デザインの現場やデザイナー教育では,体形を客観的に把握しつつ創造性を高めるため,平均体形にデフォルマシオン(意匠的変形)を施した基準体形像が用いられる.しかし従来の研究は若年層のものに限られ,シニア層については未着手である.本報ではシニア女性の体形の多様性および体形を美しく見せる理想を反映した基準体形像を提案する.このため,3次元計測装置により集団計測したシニア女性53名の体形写真をデザイナーに観察させて体形分類を行い,シニア体形の特徴を顕著に有する3つの体形分類とそれらの代表体形を抽出した.3つの代表体形を別のデザイナーに見せて描かせたデザイン画に対して2次元骨格モデルを適用し,デフォルマシオンを定量的に分析することで基準体形像を抽出した.また基準体形像の妥当性を専門家の評価により確認した.
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