デザイン学研究
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71 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 烏蘭 吉亜, 青木 宏展, 植田 憲
    2024 年71 巻1 号 p. 1_1-1_10
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

     本稿では,現地調査を通じて収集した二弦擦弦楽器をサンプルとして,多変量解析によりその類型を材料の観点から明確化するとともに,それぞれの類型ごとの特徴を考察することを目的とした。その結果,82点のサンプルは「身近な自然材料を活かした固有型」「合成材料で補完した踏襲型」「人工材料を汎用した複製型」「機械で加工した量産型」の4つに分類された。また,内モンゴルの社会環境とモンゴルの人びとの生活習慣の変化に対応した,それぞれの年代区分における二弦擦弦楽器の特徴は次のようになる。(1)明代から1960年代までは,地域特有の自然材料を獲得しものづくりが行われてきた。(2)1960年代から1980年代までは,人工材料が一部の自然材料に代わって使われ始め,さらに舞台の演奏性を向上させるためにさまざまな試みがなされた。(3)1980年代から21世紀初頭にかけては,人工材料や輸入材が広く普及し,伝統楽器として認知されるにつれ,二弦擦弦楽器の形や使用材料が標準化された。(4)21世紀初頭以降,非物質文化遺産保護運動の高まりに伴い,二弦擦弦楽器の伝統性を強調するために,動物の皮や雄馬の尾毛など使用材料の規範の明確化が重視されるようになった。

  • ―中国・内モンゴル・ホルチン地域のチョールを事例として
    烏蘭 吉亜, 青木 宏展, 植田 憲
    2024 年71 巻1 号 p. 1_11-1_20
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

     本稿は,内モンゴル·ホルチン地域における「チョール」と呼ばれる二弦擦弦楽器の制作過程と保管方法に内包された文化的特質を明らかにすることを目的としたものである。調査・考察した結果,以下が明らかになった。(1) チョールの制作過程は,自然資源循環システムに対するモンゴルの人びとのかかわり方の表れであり,日々の生活の中で伝承され,遊牧生活ならではのものづくり文化が形成されてきた。(2)チョールの制作に使われる材料には精神的な象徴性が如実に表出している。チョールはモンゴルの人びとの思いを具象化するための媒体であったと考えられる。(3)チョールの制作・保管においては,「資源循環」・「資源利活用」・「持続可能」といった知恵が生活の中で共有されることで,当該地域の人びとの共通の価値観が醸成されており,そこには人と自然の「共生」・「共存」・「融合」関係が体現されている。(4)チョールの制作・保管によって,モンゴル人にはものを「一生使う」という考え方が育まれてきた。

  • 三輪 正幸, 久保田 百合, 小野 健太, 渡邉 誠
    2024 年71 巻1 号 p. 1_21-1_28
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

     趣味養蜂家の多くが巣箱の小型化や軽量化を求めていることから、国内で多用されるラングストロス式巣箱に比べて、巣箱のサイズや重さが半分以下に小型化した巣箱を開発した。開発した小型巣箱は、セイヨウミツバチの飼育時に趣味養蜂家が活用することを前提とした。小型巣箱は、複数の巣箱をさまざまな方向に接合可能な構造を採用することで、ミツバチの個体数の増加にも対応が可能で、飼育者の好みの形に変化させることも可能であった。製作した小型巣箱でセイヨウミツバチを飼育して実証実験を行った結果、巣箱内の温湿度やミツバチの個体数といったミツバチの生育上、問題がないことが確認できた。また、得られたハチミツの生産性や品質についても、ラングストロス巣箱で飼育した場合と遜色なく、作業性についても同程度であった。

  • ―紙および動画での有効性の比較
    土井 俊央, 山本 彩智, 瀬戸 大地, 清水 義孝
    2024 年71 巻1 号 p. 1_29-1_38
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

     本研究では電化製品の操作マニュアルにおいて,ユーザのメンタルモデルのうちStructural modelに対応する「しくみについての概念情報」を提示することの効果を,紙および動画のマニュアルを対象に検討することを目的とした.そのために,電子レンジについての説明を以下の4つの異なる条件で提示し((1)マニュアルなし条件,(2)従来マニュアル(しくみの概念説明なし)条件,(3)紙によるしくみの概念説明がある条件,(4)動画による概念説明がある条件),その説明の違いがユーザの製品理解度に及ぼす影響を検討した.実験参加者の自己評価や製品の理解度を問うテストの得点などの指標に基づいて,4条件間の比較を行ったところ,製品のしくみに関する概念説明がある条件の方が製品の理解を促進することが示唆された.また特に,動画による理解度促進効果が大きいことが示された.

  • 伊賀 聡一郎, 鉄川 弘樹
    2024 年71 巻1 号 p. 1_39-1_48
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

     本研究では,デザインワークショップにおけるストーリー創造プロセス理解を試みる。また,複数人と個人での創作プロセスの違いについて把握する。具体的には,ストーリー創作プロセスを模したゲームを利用した実験環境を構築し,実験を通じてオンライン環境における質的な分析を行った。分析の結果,次のような3 点が明らかとなった。(1)個人条件とペア条件においては新たなアイデアの観点が生まれて以降のプロセスに違いがあることが分かった。(2)ペア条件のストーリー創作において,認知空間共有のための議論のタイミングや,相互の創作に向けた方略の違いが,ストーリー作りに影響することが示唆された。(3)ストーリー創作の方略にミスマッチがある場合にはペア間の内面的な協働がうまく進まない可能性があることが示唆された。これら本研究のインプリケーションに配慮することにより,ストーリー創作を狙ったデザインワークショップのセッションにおける協働効果を高められると考える。

  • 森 絵美, 松本 正富
    2024 年71 巻1 号 p. 1_49-1_56
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

     本研究は,デザイン分野が医療現場に貢献できる範囲を探る一環として,院内デザイナーに必要とされるスキルを明らかにすることを目的に,院内デザイナー自身を対象として半構造化インタビューを実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる評価を行った.結果,一般的概念のデザイン力,新規の専門職としてのアピール力,医療知識に裏打ちされたコミュニケーション力,理解しやすい医療情報への翻訳力,利用者と病院職員双方に対する理解,時代に合わせた広報媒体への対応力,真正性を高めるための情報収集力,の7つの概念が抽出できた.さらに,これらの概念は,病院内外への情報伝達,利用者と医療専門職の仲介,情報選定のための医療知識,医療専門職とのコミュニケーション,の4つの自己認識されたスキルとしてカテゴライズされた.総じて,院内デザイナーの資質として,医療専門職との関係構築によって正確な情報を集約し,双方の立場を理解して利用者への仲介に意識を払い,わかりやすい情報の伝達へと繋がるスキルの関係性が示された.

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