LINE などインスタント・メッセンジャー(以下IM)は,今日どの世代にとっても欠かせないコミュニケーションツールといえる。その一方,使い方には世代間で差があるともいわれている。I M 利用行動と性格特性の関係を経年で追うため,今回,予備調査としてI M使用実態について質問紙調査を行った。Google Formsを使い,主として大学1,2年生141名から回答を得た。その結果,LINE,Instagram,X がよく使われるツールだったが,親しい人にはLINE,それほど親しくない人にはInstagramも使う傾向がみられた。約88%の人が,15歳までにこれらのツールを使い始めていた。使い始めた頃と現在を比べると,慣れて使う機能に変化が起きたことに加え,コミュニケーション行動に二極化がみられた。つまり,より積極的になる方向とより消極的になる方向があった。今後は,大学生だけでなく中高生も対象者とし,より具体的なI M利用行動を追う必要性があることが示された。
LINE に代表されるインスタント・メッセンジャー(以下IM)コミュニケーション行動と性格特性の関係を経年で研究するため,今回はIM使用について予備調査としてインタビューを行った。2023 年秋,15歳10名、18歳5名、21歳12名に対し,複数人もしくは単独のインタビューを行った結果,以下のことが明らかになった。よく使われるツールはLINEとInstagramで,前者はより親しい人,後者はそれほど親しくない人に使われる傾向があった。15歳ではこれらのツールはやり取りを楽しむために使われるが,21歳では必要事項の連絡手段の側面が強くなった。多くが中学時代までにスマートフォンを使い始めるが,15歳では使用開始年齢が他の年齢より早かった。いずれの年齢でも,親や非常に親しい友人を除いて,誤解が生じないようやり取りの際にはとても気を遣っていた。以上より,別報のWEB調査で明らかとなったいくつかの事実が改めて確認された。今後は,仲間への同調だけでなく,共感性や失敗などの観点から研究を進めることとした。
近未来の日常生活では、人と複数のロボットが共生すると予想されている。人は複数の機械が動く工場内ではなく、自然のゆらぎある動きの中でリラックスできると考えられている。そのため、これら複数のロボットに自然に近いゆらぎある統合制御を適用して、人が快適に感じるデザインの追求が必要と考え研究目的とした。日本の伝統芸能「能」の拍には自然に近いゆらぎがあり、能楽師の演出が加わった人工的な緩急の大きい絶妙間の拍と、自然に近い緩急の少ない定間の拍がある。本研究では、先ず「能」の絶妙間と定間に西洋の「クラシック音楽」を加えた3つの拍の差を検証した。その後、複数のロボットが動く近未来の生活空間を想定したCG映像を、能(絶妙間、定間)とクラシック音楽の拍による統合制御で、人が快適に感じるかを検証する比較実験を行った。実験結果から、能の拍はクラシック音楽より顕著に不規則であることと、クラシック音楽より能の拍を適用した複数のロボットが動く生活空間のCG映像を人々が受容する傾向にあることを明らかにした。
本研究は,江戸時代を通じてみられる文字模様染織のうち,江戸時代前期に流行した寛文小袖における文字模様および文字散らし模様と,後期に流行したとされる反故染模様の比較を通じて,図案構成上の文字の視覚効果について論じるものである。本論では,各文字模様を「構図指向性」と「運筆集積性」という二つの側面から考察し,その結果を軸としてこれら要素が各文字模様の変遷において果たす役割について分析した。比較を通じ,江戸時代前中期の寛文小袖における文字模様および文字散らし模様では文字は絵模様に調和し,構図指向的な画面が見られること,一方,江戸時代中後期の反故染模様では文字は運筆集積性が強調され,複雑な視覚効果を示していることを明らかにした。以上から,本論では,構図指向性と運筆集積性というキーワードが文字模様と呼称される各模様群における文字の在り方を論じる際に重要な指標となりうることを述べた。
本稿は,中国広東省汕頭市澄海地域において長らく使用されてきた「潮汕紙銭」が人生儀礼においていかに使用されてきたかを現地調査,ならびに聞き取り調査によって確認し記録するとともに,地域文化の形成における紙銭の特質を明らかにすることを目的とした。調査・考察の結果,以下の知見を得た。(1)当該地域において紙銭は人生儀礼において欠かせないものであり,人びとは誕生・成人式・結婚・葬式といった人生の各段階において使用する紙銭を区別し,紙銭によって社会的秩序内での生と死を明確化した。(2)紙銭は生と死における一連の人生儀礼において,個人を中心とした人間関係を構築するとともに,個人と集団の関係の形成に寄与してきた。(3)紙銭の使用により,共同体への加入と社会的役割が個人に与えられ,そのことを通じて,個人が所属する社会的秩序内での地位を識別し自覚を促すと共に,社会秩序を共有させ,紙銭文化の伝承を促進する役割を果たした。
本稿では,中国広東省汕頭市澄海地域にて行われてきた年中行事における潮汕紙銭の使用実態を概観し,それらに表出する紙銭の特質を明確化することを目的としたものである。調査・考察の結果,澄海地域における年中行事にみられる紙銭の特質は以下の3点にまとめることができた。(1) 多様な祭祀を演出し,人びとの豊かな創造力を顕示する,(2)一年の区切りを明確化し,生活のリズムを顕在化する,(3)人びとのつながりを明示・強化し,コミュニティの結束力を高める。紙銭のデザインとその使用により,人びとは鬼神への畏敬と先祖への敬意を表現し,コミュニティ内で共に遵守すべき生活規範と社会秩序を形成し維持している。この営みにおいて,人びとは自らの生活様式に適応する形に紙銭を再構築し,各地域で独自の生活文化を築き上げている。紙銭の特質の明確化を通じて,人びとの紙銭文化に対する再確認と再認識を促進することは,村落の自律と自立の発展にとって極めて重要であると考えられる。