目的:我々は2009年9〜10月に、医療系学生と非医療系学生を対象とした補助犬と補助犬法の認知度に関する調査を実施し、医療系学生の補助犬法の認知度は5.8%で、非医療系学生の6.7%と相違なく、医療従事者の42.6%と比較して有意に低いことを報告している。今回、5年の経過により、医療系大学生の補助犬に対する認知度が変化しているかを調査して、補助犬の啓発を効果的に行う方法について検討した。
方法:2014年10~11月に兵庫県内の2大学の医療系学部の3回生を対象として、補助犬に関するアンケート調査を行い、2009年の調査結果と比較検討した。
結果:回答者数は197名(男13名、女184名)であった。医療系学生の補助犬法の認知度は49.2%であり、2009年の5.8%から有意に増加していた。しかし、補助犬と補助犬への接し方について知っている・説明できるのは21.5%であり、2009年の17.8%と比較して有意な改善は認められなかった。一方、補助犬への理解を促進するために効果的な方法として、学校での教育やメディアを通した啓発が変わらず多数を占めた。
考察:本調査の対象となった2大学の医療系学部では補助犬に関する教育を取り入れていることから、医療系学生の補助犬法の認知度向上に大学における教育が有用であると考えられた。一方で、補助犬への接し方に関する知識は向上していないことから、今後は、補助犬への具体的な対応方法について詳細に教育することが必要であると考えられた。
結論:大学における教育が、将来の医療従事者たる医療系学生の補助犬の認知度の向上に有効であるが、教育プログラムの更なる充実を図る必要がある。
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