日本補助犬科学研究
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11 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
基調講演
シンポジウム
ユニバーサル社会と補助犬〜身体障害者差別解消法をふまえて〜
原著論文
  • 倉澤 悠雄, 三浦 靖史
    原稿種別: 原著論文
    2017 年 11 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2023/01/04
    ジャーナル フリー
    目的:私たちは医療系大学生の身体障害者補助犬(以下、補助犬)の認知度について報告しているが、社会福祉系学生に関してはこれまで調査されていない。そこで、福祉専門職の補助犬に対する理解向上を目的として、社会福祉系学生の補助犬に対する意識調査を実施した。 方法:2016年4月下旬に社会福祉系学部の大学生を対象に無記名式のアンケート調査を行った。 結果:回答者数は288名(男113名、女175名)であった。補助犬の認知度は、盲導犬が96.2%、介助 犬72.2%、聴導犬が34.7%であった。社会福祉系学生の補助犬法の認知度は2014年の医療系学生よりも有意に低く29.9%であった。補助犬同伴を44.1%は気にならないと回答した一方で、補助犬が気になる場所は飲食店が最も多く(28.1%)、理由として衛生面が最も多かった(25.7%)。補助犬の啓発に効果的な方法として、学校での教育が最多(75.0%)で、次いでメディアによる報道(55.2%)であり、医療系学生と同様であった。 考察:社会福祉系学生は、補助犬に関して学ぶ機会が乏しいことから、医療系学生より補助犬法の認知度が低いと考えられた。医療系学生においては、過去5年間で認知度の向上が認められていることから、社会福祉系学生に対する教育の取り組みが重要であると考えられた。 結論:社会福祉系学生に対して補助犬に関する教育を実施する必要がある。
  • 三浦 靖史, 嶋田 良介, 神沢 信行
    原稿種別: 原著論文
    2017 年 11 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2023/01/04
    ジャーナル フリー
    目的:我々は2009年9〜10月に、医療系学生と非医療系学生を対象とした補助犬と補助犬法の認知度に関する調査を実施し、医療系学生の補助犬法の認知度は5.8%で、非医療系学生の6.7%と相違なく、医療従事者の42.6%と比較して有意に低いことを報告している。今回、5年の経過により、医療系大学生の補助犬に対する認知度が変化しているかを調査して、補助犬の啓発を効果的に行う方法について検討した。 方法:2014年10~11月に兵庫県内の2大学の医療系学部の3回生を対象として、補助犬に関するアンケート調査を行い、2009年の調査結果と比較検討した。 結果:回答者数は197名(男13名、女184名)であった。医療系学生の補助犬法の認知度は49.2%であり、2009年の5.8%から有意に増加していた。しかし、補助犬と補助犬への接し方について知っている・説明できるのは21.5%であり、2009年の17.8%と比較して有意な改善は認められなかった。一方、補助犬への理解を促進するために効果的な方法として、学校での教育やメディアを通した啓発が変わらず多数を占めた。 考察:本調査の対象となった2大学の医療系学部では補助犬に関する教育を取り入れていることから、医療系学生の補助犬法の認知度向上に大学における教育が有用であると考えられた。一方で、補助犬への接し方に関する知識は向上していないことから、今後は、補助犬への具体的な対応方法について詳細に教育することが必要であると考えられた。 結論:大学における教育が、将来の医療従事者たる医療系学生の補助犬の認知度の向上に有効であるが、教育プログラムの更なる充実を図る必要がある。
  • 倉澤 悠維, 三浦 靖史
    原稿種別: 原著論文
    2017 年 11 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2023/01/04
    ジャーナル フリー
    目的:我々は2015年に本邦に国際線を運行する航空会社の補助犬使用者(以下、使用者)への対応状況について調査し報告しているが、使用者の海外旅行に関する調査の報告はこれまでにない。そこで、本研究では、海外旅行経験のある使用者から聞き取り調査を実施することにより、補助犬同伴での海外旅行の現状を把握し、課題を明らかにすることを目的とした。 方法:2016年4~6月に海外旅行経験のある使用者を対象に電子メールあるいは電話でアンケート調査を実施した。聞き取り項目は、使用者情報、補助犬情報、旅行の詳細、旅行前の準備内容、海外旅行における困難点や課題、その他である。 結果:回答者数は11名、2003年〜2016年5月までの旅行件数は14件、渡航先は7か国であった。旅行における困難な点として、7名が検疫手続き、3名が補助犬の排泄場所、3名が補助犬の体調管理や水分摂取制限、8名がその他と回答した。一方で、2名は問題がなかったと回答した。困難な内容に、旅行年次による違いはみられなかった。 考察:最も困難が感じられていた検疫手続きに関して、窓口や担当者が統一されていないこと、手続きに時間がかかることが理由としてあげられた。補助犬を同伴して円滑に海外旅行を行うためには、検疫手続きや排泄場所など多様な情報の収集が重要であることが示唆された。 結論:使用者が円滑に海外を旅行できるように、補助犬同伴に必要な情報提供を積極的に行う施策を実施する必要がある。
  • 徳備 夏子, 菊池 和美
    原稿種別: 原著論文
    2017 年 11 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2023/01/04
    ジャーナル フリー
    【目的】介助犬訓練事業において、医療福祉専門職種の協力体制を整えておく必要が求められている。OTもその一専門職種の中に含まれている。これまでにも、合同訓練、継続指導において関わることの必要性に関して唱えられているが、その実態は明らかとなっていない。OT の役割・可能性探ることを目的とした。 【方法】認定実績のある15か所のうち7か所の訓練事業者に勤める16名に、2016年7~9月に各介助犬訓練事業者でインタビューを実施した。ADL の項目ごとに内容分析を行った。 【結果】協力者のうち、14名が OTとの接点があることが明らかになった。ADL全ての項目で、OTに姿勢・動作分析に基づき、環境設定や自助具などの調整に関わっていた。一方で、一部の訓練事業者では、使用者からの情報のみで行っていた。 【結論】インタビューに協力した訓練士らは、使用者のADLやIADLの様々な面において、OTとの協働をしており、その有効性が認められた。
事例研究
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