日本補助犬科学研究
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5 巻 , 1 号
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シンポジウム
原著論文
  • 小林 由佳子, 安田 かつら, 中村 透
    2011 年 5 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/09/21
    ジャーナル オープンアクセス

    日本盲導犬協会所属のラブラドール・レトリバー273頭(1歳未満199頭,1歳から3歳61頭,3歳以上13頭)に眼検査を実施した。眼異常として認められた白内障については混濁の発症部位により分類した。

    白内障は1歳未満の28頭,1歳から3歳の7頭,3歳以上の11頭に認めた。このうち,1歳未満で11頭,1歳から3歳で3頭,3歳以上で1頭に認めた後嚢下極部と縫合線上の皮質混濁は,レトリバー種において遺伝性が示唆されている型の白内障であった。

  • 大井 美奈, 水越 美奈
    2011 年 5 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/09/21
    ジャーナル オープンアクセス

    動物病院は,盲導犬の健康管理や怪我・病気時の治療を行なうだけでなく,これらに関する使用者への指導や訓練施設との連携した働きが求められている。しかし盲導犬の実働数は全国で1000頭あまりであり,受け入れたことがない動物病院も多い。このような背景から,今後の更なる盲導犬の普及を願う中で,受け入れる側の間違った先入観を取り除き,盲導犬使用者が動物病院をより利用し易いようにするために,盲導犬使用者10名とすでに補助犬を受け入れている動物病院5件に盲導犬の受診について非構造化インタビューを行った。調査の結果,使用者がうれしいと感じる対応や不都合に感じる点のほとんどは一般の飼い主も共通して感じるものであった。盲導犬使用者が利用しやすい動物病院とは,特別な施設や配慮が必要な特別な病院というよりも,どんな飼い主も利用しやすい,つまり誰にでも快適な動物病院であると考えられた。

  • 甲田 菜穂子, 森岡 那絵, 久保 ますみ, 和田 孝文, 吉川 明, 中村 博文, 篠田 林歌
    2011 年 5 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/09/21
    ジャーナル オープンアクセス

    全国の盲導犬使用者団体を対象に質問紙調査を行ない,活動実態と課題を調べた。団体では,居住地域での会員同士の交流・情報交換などの内部的な活動は多くみられたが,盲導犬協会を始め,行政や企業といった外部団体と連携をしている団体は限られていた。しかし団体は,内部的な活動では解決が困難な盲導犬使用に際しての課題や改善策を指摘した。団体は,必要に応じて盲導犬協会と連携すれば,盲導犬事業の現状を知り,協会の課題解決のノウハウを得ることもできるだろう。それはその後,行政,企業や一般人への働きかけにもつながる。活動を外に開くことによって,居住地域に盲導犬使用に関心を持つ視覚障害者が増え,盲導犬の効用を享受する視覚障害者が増加すれば,団体の内部的な活動も活性化が望める。盲導犬使用に興味のある視覚障害や新規盲導犬使用者への個別相談,使用者のマナー研修などの充実も重要である。盲導犬使用者がより快適な盲導犬使用を主体的に実現するために,団体の活動には意義がある。

事例研究
  • 福井 良太
    2011 年 5 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/09/21
    ジャーナル オープンアクセス

    こんにち,我が国には1,000頭を超える盲導犬が活躍しているが,盲導犬普及率(人口100万人あたりの盲導犬ユーザー数:普及率)には最大8倍もの地域格差がある。この論文では,各都道府県における,I.盲導犬支援団体(支援団体)の有無,II.盲導犬訓練施設の有無,III.人口密度,をそれぞれ調べ,都道府県別の普及率との相関関係を検証することにより,この問題の背景について理論的説明を試みた。結果として以下のことが確認された:I.支援団体のある地域では,ない地域に比べて普及率が2倍近く高い。II.盲導犬訓練施設のある地域の平均普及率(8.1)は,ない地域のそれ(9.2)よりもやや低い。III.人口密度の低い地域ほど,普及率が高い傾向にある。考察では,支援団体が地域の盲導犬普及啓発に大きな役割を担っていること,盲導犬訓練施設が支援団体の活動を抑制する可能性のあること,低い人口密度と少子高齢化が普及率に影響を与える可能性があること,が示された。

  • 磯貝 歩美, 柴原 永佳, 篠崎 真理, 遠藤 大輔, 水上 言, 櫻井 友衣, 打越 一美, 高柳 友子
    2011 年 5 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/09/21
    ジャーナル オープンアクセス

    介助犬使用者である肢体不自由者が介助犬と生活する際に,排泄処理は大きな課題であるが,その方法は確立されていない。本調査では,排泄処理の現状を把握し,今後介助犬希望者にとってより良い排泄処理を提案するための基盤作りを目的とし,介助犬使用者11名を対象に,排泄場所,排泄処理方法など,排泄処理に関するアンケート調査を実施した。調査の結果,排泄の際には全ての使用者がペットシーツを使用していることが分かった。一方で,排泄場所や排泄処理の方法は使用者によって多様であった。障がいの種類や重度が様々である介助犬使用者の「最良の排泄処理方法」を一概に言うことはできず,希望者と介助犬の各々に対応した排泄処理方法を選択していくことが重要であった。

  • 櫻井 友衣
    2011 年 5 巻 1 号 p. 60-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/09/21
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    介助犬は,歩行介助動作にも適応している。脳卒中後片麻痺による歩行障害は,歩行時の転倒からくる不安が非常に強く,その不安から外出の意欲と頻度の低迷がみられる。認定を受けた脳卒中後片麻痺の介助犬使用者が介助犬と一緒に歩く時に用いるためのハーネの制作を訓練事業者だけでなく,リハビリテーション専門職との連携で行った。ハーネスの機能面では,握りやすいようにクッション性のグリップの取り付けたり,片手でも装着しやすいようにバックルを取り付けるなどの簡易化だけでなく,アルミ製の骨組みを使用する軽量化も行った。リハビリテーション専門職からは,「歩行速度には著しい変化はみられないが,歩行姿勢が真っ直ぐになりより自分の足だけで歩行できている」という評価を受けた。使用者本人からも「介助犬が横にいてくれるだけで安心して歩ける」といった意見もでた。今回のハーネス製作を受け,歩行介助の対象障害が様々な為にリハビリテーション職との連携が不可欠であると考えられた。

現場報告
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