中学校数学に資料活用領域が新設されてから,量的データを基にした指導法の開発や教材論についての研究は多く行われてきた.データを解析する上で時系列にまとめることも重要な観点である.しかし,算数・数学教育における統計教育の中では,時系列データの扱いは,小学校での折れ線グラフ,2次元表の学習だけになっている.このような現状に,本研究は,中学校1年生の正の数・負の数の活用の授業の発展として,時系列データ(奈良の桜の開花日)を基にした判断を行う授業を計画した,時系列データの解析を行うための特別な概念を教える授業を行うのではなく,生徒のプリミティブ(素朴)な概念を引き出すための授業設計を行った.授業では,3つの課題と8つの資料を用意し,グループ活動を行い,生徒たちの判断を発表させ,相互に意見交流を図った,実践では,生徒たちは,資料をプリミティブ(素朴)な概念を用いて解析を行い,クリティカルに判断した.
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