日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
10 巻, 3 号
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表紙・目次
一般研究発表
  • 栢野 彰秀
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 1-6
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    優れた教育,優れた授業の在り方を探るために,多様な科学教育研究が行われている。そして,その研究成果を授業に反映させ,授業改善を行おうとしている。これらの授業改善の中心課題はカリキュラム構成の検討であると考え,科学教育に関する多様な研究をいち早く行い,その研究成果をカリキュラムに反映させ授業改善を積極的に行っているアメリカについて,米国各州カリキュラムの分析を通して,科学教育カリキュラムの構成原理を明らかにし,米国科学教育カリキュラムの最近の動向について論じた。
  • 野上 智行
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 7-10
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    1995年12月10日に神戸大学で行われた「21世紀の科学技術社会におけるライフスキル」に関する公開シンポジウムは,現代社会を「生活の工業化」の時代と捉え,社会そのものがテクノロジー化しており,新たな「ライフスキル」が希求されており,それは次のような特徴を持つものとされた。・知識や情報をマネージメントする能力(知識経営の能力) ・自己教育力 ・状況対応力 ・コミュニケーション能力 ・目標設定能力 ・意思決定能力 ・ストレスマネジメント ・セルフエステーム(肯定的自己概念)
  • 菅 孝明
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 11-16
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本校では二十数年間継続して理科を校内研修の中心に据え,様々な実践的研究を行ってきた。ここでは,その内の過去4年間の研究の一部を報告した。研究の主眼は子どもの意欲的主体的学習によって自己学習力を身につけさせる手立てを追求することである。その手法の一つとして,授業の中で子どもが理科の学習を楽しいものと感じて自身の学習方向を示唆する設計図(問題解決図)を書かせる授業実践を試みた。設計図は,ただ単に実験観察をさせたり,問題解決をさせたりするための形式的手立てではなく,そこには自分自身が学習課題を把握し,学習意欲を喚起し,自身の課題を解決する独自の方法を考えることで主体的な学習を成立させようとする意図がある。本文では,生活科と中学年理科とにおける実践例をもとに,設計図の性格とその効果について具体的に説明した。
  • 高沖 武
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 17-20
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校高学年から中学校にかけての教育課程(理科)の中にヒトを含めた生物の呼吸や光合成および燃焼がある。これらの生徒実験には空気中の酸素量をなんらかの方法で測定することが必要になる。最近,酸素センサーが開発され,空気中の酸素量を簡単に測定できるようになり,学校教材としても利用され始めた。そこで,従来の学校教材の検容法と新しい酸素センサーによる方法とを実験して,それらの教材性について比較検討した。検容計は装置が簡単で,安価なためグループ実験に適する。一方,酸素センサーの方は高価なため数多く準備することは困難であるが,クラブ活動などに適している。両者の特徴は,酸素センサーの方は呼吸のほか呼気や燃焼の実験もできるので,これらの相互理解に役立つ。しかし,光合成測定は,光照射による温度上昇が測定誤差になるため児童・生徒には困難であろう。その点,検容計での光合成測定は葉切片を二酸化炭素発生液につけることによって温度上昇を防ぐことができ,複数で使用して,温圧計をおくためこれらの誤差の補正が容易である。
  • 藤本 勇二, 渡邉 重義, 近森 憲助, 所 康子, 山下 伸典
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 21-26
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理科の授業形態および実験・観察の形態は,学習者の「個が生きる」うえで重要な役割を担っていると考える。すなわち,「個を生かす」ためには,すべての学習者が主体的に実験・観察に携わり,一人ひとりの見方や考え方が学習活動に反映するような授業形態を計画しなければならない。そこで,本研究では学習者一人ひとりが個別に実験できる教材として,簡易ガスビューレットを利用し,授業を行ない,小学校における個別実験・観察の果たす学習効果について調べた。また,授業では比例という学習内容について,算数科との連係を図り,教科の枠を越えた総合的な見方を養う授業展開を計画した。その結果,個別実験・観察は,①学習者の意欲や主体性などの情意的側面,② 定量的な測定などの技能的側面,③ 数量的なとらえ方に関する認知的側面において有効であることが示唆された。
  • 勢力 稔, 安彦 伸一, 所 康子, 村田 勝男, 山下 伸典
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 27-32
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高等学校新学習指導要領(理科)では,実験・観察を重要視した探求活動(1A,1B)・課題研究(II)が強調されている。また,自然科学が人間や社会とどのように関わり合いを持つかを認識し応用能力を育成することを目標としている。その実践応用として,学校で得られる知識と日常生活で得られる応用的知識とを有機的に関連させるための教材開発と授業実践を試み,今後の学習展開の基礎を検討した。
  • 小島 ふみ子, 小堀 美雅子
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 33-38
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,小学校理科において,児童一人ひとりが主体的に問題解決活動に取り組むことができるようにするために,単元の導入の工夫,柔軟な指導計画の立案,児童なりの観察・実験等への支援を授業改善のポイントに置き,それらについて,理科に関する児童の実態調査や第6学年B区分(2)「ものの燃え方と空気」の単元の実践を通して考察した。(1) 単元の導入として「七輪」を用いた体験的活動を取り入れたことは効果がある。(2) モジュール的な指導計画は児童の意識の流れに対応できる。(3) 実験や観察の時間を十分保障するとともに,問題解決への見通しを持った児童なりの実験を考案,実施できるように支援することは,児童の問題解決能力を育むうえでも大切なことである。
  • 藤原 孝洋, 河原 富夫
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 39-44
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,特性要因図を用いた,認知的方略に関する自己評価活動を行うことにより,問題解決への意欲を持続させることをねらったものである。小学校理科第5学年「物のとけ方」の指導において,研究仮説を「特性要因図を用いた認知的方略に関する自己評価活動を取り入れれば,問題解決への意欲を持続させることができるであろう」と設定し,検証授業を実施した。その結果,次のことが明らかとなった。(1) 特性要因図の導入によって,児童に問題解決への見通しを持たせ,問題解決への意欲を持続させることができたこと。(2) 特性要因図を用いた認知的方略に関する自己評価は,児童自身に自分の誤った考えに気付かせたり,考えを変容させたりすることに有効であることが認められたこと。
  • 内村 浩
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 45-50
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高等学校の理科教育において,ディベートを用いた学習を実践し,その教育的効果について,従来の学習方法と比較して検討した。その結果,次の点が明らかになった。(1) 理科教育におけるディベート学習には,次のような科学的態度を育成する効果があった。a) 科学理論を用いた「権威づけ」に対して,批判的に意志決定しようとする態度。b) 問題解決にあたって,他者の判断に依存しないで意志決定しようとする態度。c) 問題解決にあたって,探究の技法を用いようとする態度。(2) 知識獲得の効果については,講義を中心とした従来の方法と同等の効果があった。(3) ディベート学習には,生徒の学習対象に対するイメージを大きく変容させる効果があった。また,イメージの変容をより広い領域に転移させる効果があった。
  • 羽村 昭彦
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 51-56
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校理科気象単元において,新しい学力観に立つ指導と評価の実践を行った。教材の開発・工夫,指導法と評価の工夫・改善をとおして,気象単元での生徒の理解の実態と指導と評価のあり方を考察した。その結果,身近な気象現象の教材化や課題研究は生徒の内発的動機を喚起し,生徒の情意面での評価は高い達成状況になった。科学的思考,観察,実験の技能・表現では良好な達成状況であったが,天気図の作成や天気図をもとにした考察に課題があることがわかった。知識・理解については「湿度」「露点」「飽和水蒸気量」などの空気中の水蒸気量に関する概念の定着に課題があることが明らかになった。また,評価については観点別評価を行うことによって目標が明確になり指導に生かすことができた。
  • 大森 隆司, 木村 捨雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 57-62
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在の理科教育で行っている「生物の発生と成長」の学習において,生物学的な視点で自然認識を高めるだけでなく,人間を含めた生命科学としての認識を考えた視点に立つ新しい教材開発,カリキュラム開発を行うことが必要と思われる。そのために,本研究では児童の認識構造の特徴を知的認識と感性的認識の面から明らかにしていこうとするものである。調査研究Ⅰからは,発生・成長過程における各動物の固有な形態の理由について, どの動物にも共通する考え方をしている子どもが少なからずいることが明らかになった。しかし,遡上や渡りをその動物の成長過程などから考えずに,情緒的に受けとめたり,人工的に養殖しようと考える子どもや,その場かぎりの,矛盾する認識を併存させている子どもが多くいることもわかってきた。また,調査研究Ⅱからは,生物の多様性と共通性についての知的認識は,各動物の固有性としての認識ができているが,各動物の固有性にとらわれすぎて,多様性と共通性について一貫性を持って認識するまでいたっていないこと,また,感性的認識は知的認識とよく似た傾向を示すことが明らかになってきた。
  • 樋口 俊久, 木村 捨雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 63-68
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    教育現場において,社会科的な実践が比較的に多い生活科に対して,理科的な直接体験を強化した生活科カリキュラム「風と遊ほう」の開発と実践に関する研究である。地域教材として児童に馴染みの深い熱気球を導入にして,風(空気)と密接にかかわる"遊びやものの製作"を中心にした様々な直接体験活動によって,児童の自然に対する感性を磨きながら,自然認識形成を目指すと共に,創造性伸長の視点に立った授業設計と評価を行った。その結果,児童の反応は,素朴概念のみならず,素朴な感性を反映したものであることが明らかになると共に,直接体験によって知的な認識活動が行われていることが明らかになった。また,自然の原理を応用すること等によって,児童にとっての新たな発想転換が行われる事例を明らかにすることができた。これらのことから,理科的な直接体験を強化した生活科のカリキュラム構成理論の一知見を得ることができた。
  • 前島 孝司, 木村 捨雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 69-74
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日常的な事象・自然の事象の本質を解明していくには,探究の過程において,要素を分析する・因果関係的にみる・論理的に考える・抽象化・実証化・一般化という科学的な思考が必要となる。本研究では,この科学的な思考に対して感得する「よさ」が,理科の「よさ」のひとつと考えた。調査結果より,生徒が感得する「よさ」は,課題の構造特性や学習者特性により感得の程度,様相に違いがあることが明らかになった。また,小学校の理科では,具体的な事象を時間をかけて探究するのに対して,中学校では法則・原理の教授が先行し,法則・原理を説明するための事象が選ばれるという傾向があるように思われる。このことが生徒の理科学習に違和感(理科の学習と日常・自然の遊離)を生じさせる原因のひとつになっていると考える。自然の不思議さ,おもしろさ,美しさなどの自然の固有の振る舞いに「よさ」を感得するとともに,科学的な見方・考え方が伸長していけることが明らかになった。
  • 竹下 政範
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 75-80
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    一般に理科の学習を敬遠する傾向の強いY女子大学の学生の実態を理解するとともに,その女子学生が筆者の理科関係授業をどのように評価しているかを調べた。その結果,講義には視聴覚教材を取り入れることを希望し,講義よりも体験的学習に意欲を湧かせていること,また,小学校教員を志望する学生はより具体的・実践的授業を行うことで学習内容に興味を示し,意欲的に学習することが分かった。このような評価結果を基に小学校教員養成における理科指導改善のあり方を考察した。
  • 益子 典文
    原稿種別: 本文
    1996 年 10 巻 3 号 p. 81-86
    発行日: 1996/03/09
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    衛星通信の教育利用についての要望が高まってきている中,我々は総務庁との協力の下に「通信衛星利用による統計教育指導者講習会」を実施した。この講習会に参加した現職教員77名のアンケートを分析したところ,次の4つの知見が得られた。(1) 通信衛星による講義形式は,直接講義方式に次ぐリアリティーを持った講義形式である,(2) 講義による単位取得は通信衛星による講義が望ましい,(3) 学習成果の評価法は最も緊張感の少ない1回のみのレポート方式を好んでおり,(4) 研究内容については実践志向の内容に意欲を持ち,衛星通信に相応しいと考えている。
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