環境問題に対して自発的な生活スタイルの改善を促す根本的な方法の一つとして, 身近な日常経験から得られる体験的な知識を広範囲な現象に広げることが可能になる学習方法について提案する。個々別々に発展し相互の関連が見えにくく, 全体としての見通しを失う近代科学の学問分野の体系ではなく, 自然の体系に基づいてあらゆる知識の再編成を行う。自然界の最も基本的な法則を確認し, それから自然の各階層がどのように成り立っているかを明らかにし, 個々の分野で扱われてきた従来の教材をどのようにすり合わせれば, 統一的な自然像として自然認識に関する感覚が得られるかを明らかにする。これによって, 学習者を教材の断片的な記憶の強制から開放し, 法則を媒介にした感覚の形成により, 学習者に環境問題改善への意識改革の裏付けとなる自然観が醸成されることが期待される。次期教育課程より施行される総合的な学習の時間を利用した発展が望まれる。
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