日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
16 巻, 3 号
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表紙・目次
「科学教育一般」分科会
  • 原稿種別: 付録等
    2001 年 16 巻 3 号 p. App1-
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 小菅 諭, 鶴岡 義彦
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 1-6
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    科学的リテラシーとは, 一般教育としての理科教育によって育成されるべき市民的資質・能力である.その中の科学と外的諸要素との相互関係にかかわる理解に着目すると, 現行の理科教育は純粋自然科学中心であり, 科学的リテラシーの育成が不十分に感じられる.本研究では, 新聞における科学記事を理解できるか否かが, 市民としての最低限の科学的リテラシー(特に, 科学と外的諸要素との相互関係にかかわる理解)の有無の指標となり得ると考えた.そして, 純粋自然科学の有無と新聞における科学記事の理解度との関係を中心に調査し, 次の2点が明らかになった. ・純粋自然科学の知識は, それを扱っている科目を履修し, 学習すればするだけ得られる. ・純粋自然科学の知識を有していたとしても, 必ずしも科学的リテラシーを有するとは限らない.
  • 福井 智紀, 鶴岡 義彦
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 7-12
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    進化について確かな理解を有する者(進化学者)とそうではない者(大学生)との間の自然観・生命観・進化観の差異を, 調査結果に基づいて比較・考察した.その結果, 次の点について差異が示唆された.すなわち, 進化学者の方が大学生と比べて, 1)自然や生物を科学的に解明可能なものであると見なす傾向が強い, 2)自然の中における偶然の役割を重視する傾向が強い, 3)個体群的な思考をする傾向が強い, 4)自然やヒトを含む生物を進化・絶滅するもの見なす, 動的・可変的な自然観を有する傾向が強い, 5)人間中心的ではない自然観を有しているという傾向が強い, 6)進化は目で見ることも場合によっては可能であると見なしている傾向が強い. また, 7)大学生の方が進化学者と比べて, 自然や生物を感情的にあるいは過度に単純化して捉える傾向が強い, ということも示唆された.これらに加えて, 「進化論の受容測定尺度(MATE)」の各項目の結果は, 大学生の進化論の受容程度は進化学者に比較して低い, ということを示した.
  • 田村 高広
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 13-16
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    これまで、本単元の指導は電池の直列つなぎと並列つなぎで電流の流れる量が異なることを導線内にイメージを描かせて児童の認識を把握してきた。しかし、その根拠となる事実は豆電球の明かるさ・モータが回る速さ・電流計が示す値であった。それだけでは、児童に説明できないことが生じる。例えば、電池の直列つなぎは電池1個のときの電流量の倍にはならない。これは、電池の中の内部抵抗によるものだが、電流計が示す値だけを追っているとこの問題はわからない。そこで、本単元の学習に手回し発電機を取り入れることにした。手回し発電機は手応えや音の大きさなどから、電池の働きに置き換えて考えることができそうである。手回し発電機で実験した後の児童の電流に対する考えの変容を探る。
  • 小嶋 裕一
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 17-20
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    来年度から児童の興味関心に応じた学習を充実させるとともに、ゆとりをもった観察、実験を保障するために課題選択の学習が導入される。ものの運動の単元は、振り子と衝突の学習をどちらか行えばよいことになる。そこで、選択した後、終末はどのようにすればよいのか考えた。 この2つの学習は、方法や内容において似ている点が幾つかある。おもりの運動を調べる方法や重さやおもりの位置によって、周期や力が変化することなどである。そして、これらの共通点を見ていくことで、2つの事象についての考えをより深めることができると考えた。例えば、振り子の学習をしていた児童が衝突の学習をしていた児童の話を聞くことで、新たな振り子の性質に目を向けられるようになるであろうと考え実践を行った。
  • 中川 徹夫
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 21-26
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校の理科授業では, さまざまな水溶液が取り扱われる.その際, 教員には, 水溶液の調製や, 一定量の水に対して溶解する溶質の質量, 温度低下に伴い析出する溶質の質量の算出が必要となる.しかし, これらの計算を簡便に実行できる式はこれまでに全く発表されていない.そこで本研究では, 小学校教員が水溶液教材を手軽に扱うことができるように, 水溶液の濃度および水に対する溶質の溶解度に関連した一般式を誘導した.これらの式は, いわゆる水溶液の調製や溶質の溶解・析出の議論をする際の「公式」である.つぎに得られた式の有効性について具体的な事例に基づいて検証した.いずれの場合も今回誘導した式を用いた計算の方が, 従来の計算方法よりもはるかに容易であることが判明した.
  • 水落 絵梨, 中川 徹夫
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 27-32
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校理科の「物の溶けかた」の単元では, 再結晶について指導される.ホウ酸やミョウバンは, 水に対する溶解度の温度依存性が極めて大きい.それゆえ, 水溶液の冷却により容易に溶質を再結晶させることができ, 授業で積極的に用いられている.再結晶に関しては, 市販の教師用実験書や参考書には, 器具の取り扱いかたや発問のしかたに関する詳細な説明がなされている.しかしながら, 再結晶の定量的な取り扱いや再結晶が起こる条件等, 教師が理解しておかねばならない内容に関してはほとんど記述されていないという問題がある.本研究では, 溶質にホウ酸とミョウバンを選び, 溶解度式と冷却による溶質の析出量を求める式より, 種々の条件における溶質の析出量(再結晶量)を算出した.そして, 小学校理科授業で再結晶を効果的に指導する方法について考察した.
「総合的な学習」分科会
  • 原稿種別: 付録等
    2001 年 16 巻 3 号 p. App2-
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 西村 元一, 篠原 文陽児
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 33-38
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高度経済成長期以降の経済中心社会は会社人間を作り出し、地域における人のつながりは崩壊し、親子関係の希薄さをも生んだ。さらに少子化は、子どもと大人の交流だけでなく、子ども同士の交流をも減少させた。このような社会環境により、子どもの社会性は失われた。本実践は、子どもが社会性(社会適応力)を取り戻すにとどまらず、よりよい社会を作り上げようとする実践力(社会力)を育てることを目指している。その手段として福祉を題材にし、子どもたちと高齢者や障害者という自分と違う環境で生活する者との継続的交流を柱にした。その交流を通し、他者認識力や共生意識を養いながら、社会問題に目を向け、改善のためにできることを考えさせるようにした。また、継続的交流と保護者の協力を可能にするために、インターネットの利用を考えた。
  • 垣内 信子
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 39-44
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    学校現場では、総合的学習の時間にどのような力を子ども達につけさせるのかという議論よりも、この時間に何をどう活動させたらよいのかという教師の声の方が多い。学習指導要領をみると、総合的学習の時間で取り組む例として、国際理解、情報、環境、福祉・健康といった内容を提示している。これをどう解釈して実際の授業を構成していくかは我々教師の力量にかかっている。本稿では、児童にどういう力をつけさせるかという指導の原点に立ち返りつつ、特に環境教育を土台にして国際理解教育に関わる内容との融合を考え、小学校高学年の総合的学習の具体的なプランを作る。
  • 西村 安正
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 45-48
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    総合的な学習(環境)における生徒の主体的な課題追究にあたり、教師は、追究段階に合わせて積極的な支援を行う必要があると考えた。そこで、総合的な学習の授業において個々の生徒が追究活動を開始する前の15分程度、共通の学習活動や情報提供を行うことを試みた。実践後のアンケートにより、こうした試みが有効な方法と考えられる結果を得た。
  • 坂本 紹一
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 49-52
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    総合的な学習の時間と教科の関連について、実際に総合的な学習の時間を5年間実施してきた学校として、各教科ごとに見た総合的な学習との関係や関係の仕方を振り返ることを主とし、今後の両者の関連についての考えを述べる。
  • 庭野 義英
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 53-58
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「理科が好きな子どもを育てる」ためには「自然科学の感動・おもしろさ」を子どもに伝える必要がある。総合的な学習は、このような感動やおもしろさを伝えるには最適である。こうしたことを通して、知的成就感・達成感を得て、子どもの理科嫌い・理科離れが減少し、学校で起こっている多くの問題の解決にも役立ことが期待できる。現在、子どもが疑問を持つことが少なくなってきている。これは子どもだけでなく、教師にも当てはまる。そこで、子どもの疑問や質問、夢をたくさん出させるようにする。これを「知的・科学的ほらふきを育てる」と呼ぶことにする。
  • 平田 昭雄, 梁池 亜希子
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 59-64
    発行日: 2001/11/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    '60年代を中心に欧米で開発された20世紀の現代化理科カリキュラムは, 個別に見較べれば, 個々それぞれにかなり特徴的ではあるのだが, そのほとんどは程度の差はあるものの, いずれもその開発段階において科学者の探究過程を分析し, モデル化し, そこに構成原理を求めていたととらえられ, この点では相互に共通している。そして, このことから, いずれも人の科学的な概念形成過程においては極めて重要な, ある種の創造性の育成を, 自ずと意図するものになっていると言える。ところで, 一般に人の創造的な知的生産過程には, 発散的(divergent)な思考と収束的(convergent)な思考とが関与すると考えられている。新しい小中学校の学習指導要領によれば, 「自ら学び自ら考える力の育成」については大凡「総合的な学習の時間」がその中心的な役割を担うことになるのだろうが, そこには発散的な思考が多分に関与すると考えられ, 他方, 「基礎的・基本的な内容の確実な定着」については「理科」をはじめとする各教科の学習が今後はより一層の重責を担うことになるが, そこには収束的な思考が多分に関与すると考えられる。そうなると, 発見的な閃きを体験することができるような, 真に探究的な科学概念形成の過程, すなわち'60年代より追求され, 唱えられて久しい現代的かつ理想的な理科学習は, つまりは日本の新しい教育課程における「理科」と「総合的な学習の時間」とを効果的にリンクさせたところにこそ実現し得るような科学教育のデザインを模索することで, 漸く見出されることになる。
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