日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
16 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
表紙・目次
一般研究
  • 大澤 弘典
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 1-6
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校における数学が,社会的な意思決定の場面でどのように寄与しうるのか。学校という場を考慮した社会的な意思決定を概観し,実験授業(対象:中学校2年生)を通して教材の開発を試みた。具体的な教材として,学校行事における順位決めの場面に関連しスケーティングシステム(以下SS方式と略記する)等を取り上げた。その結果,次の知見を得た。(1)本教材を通し,多くの学習者は意外性と驚きを感じつつ,社会的な意思決定の多様性を認識している。(2)また,論理的な説明や確率といった数学的な手法により,学習者は社会的な意思決定の処理活動,特にそれらの決定の際に生じるパラドックスの扱いや決定の妥当性を少なからず把握できる。以上より,本教材は中学校における新教材の一つになりうることが分かった。
  • 佐伯 卓也
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 7-12
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    1997年から山形大学理学部数理科学科の数学科教育法(3年次・2単位)を担当している。1999年から「話しかけ法・テキスト法(合わせて講話法と略称)」を学生の教授技術の向上を目指す訓練法として試行を繰り返して来た。2001年度の実践を踏まえた結果,講話法のメリットやデメリット等ある程度同定されてきた。さらに今回新しく類比教材の指導と演習を行った。それらの結果を紹介し考察する。
  • 今村 哲史
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 13-16
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    我が国の各学校における環境教育では、カリキュラム開発のための指針がほとんどない。1999年に北米環境教育協会によって示された「卓越した環境教育のための学習ガイドライン」について分析を行った。その結果、このガイドラインは、「質問と分析のスキル」、「環境のプロセスとシステムの知識」、「環境イシューズの理解と表現のスキル」、「個人と市民の責任のスキル」の4つの要素から構成されていた。我が国の環境教育においてこの学習ガイドラインが有益であることが明らかとなった。
  • 荻原 彰
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 17-20
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    アメリカの環境教育における価値観教授の方法について論じた。価値観の教授の方法は価値明確化と教え込みに大別される。このうち環境教育の主流をなしているのは価値明確化である。価値明確化の手法をとる教材の多くに共通する事項はオルタナティブスと多面的思考、討論の際の協調的雰囲気、価値対立問題に関与する人々の立場や価値観の分析である。一方、発展途上国の貧困問題とネイティブ・アメリカンの文化については教え込みの手法が多用される。貧困問題については、貧困の存在が人道に反するものとする考え方が圧倒的であること、ネイティブ・アメリカンの文化については、多文化教育との関連、環境思想との一致がその主たる理由であると考えられる。
  • 佐藤 俊徳
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 21-24
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    来年度から実施される新学習指導要領において,高学年に課題選択学習が導入される。そこで大切になってくるのが,選択に必要な情報を適切に提供し,子どもたちの主体的な課題選択を促すことである。この度の実践では,課題選択に至るまでの単元の導入部分に重点を置くことにより,一人一人の子どもがこだわりをもって自分の課題を追究していけるような学習の展開を試みた。
  • 阿部 健一, 丸山 貴士, 今村 哲史
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 25-30
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成14年度から完全実施される中学校学習指導要領『理科』では,目的意識を持って観察・実験を行うことを強調するなど,科学的リテラシーの育成を目指した教育の重要性を示している。本研究では,まず科学的リテラシーの要素のうちの「科学の本質」を取り上げ,その中の「科学の推測性」,「科学の予測性」に焦点化した指導プログラムを開発し,実践した。本プログラムでは,生徒の直感や考えを毎時間ワークシートに記入させ,実験を通してそれを検証した。また,2つの班でペアをつくり,互いに批判し合いながら活動を行わせた。授業後の生徒の自己評価では,「実験の結果を予想した」,「シンプルな実験を心がけた」等の意見が多数見られた。また多くの生徒が,「実験に必要な道具や器具を自分で考え出して楽しかった」,「条件設定や予測・推測の大切さが分かった」という感想を持っていた。このような結果から,本指導プログラムの有効性が明らかになった。
  • 松浦 良武, 片平 克弘
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 31-34
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「物質量」の単位であるモルは,「モル濃度」や「化学反応」などの化学の本質を考えていく上で非常に重要な単位である。しかし,多くの本のなかで,「モル峠」や「モルアレルギー」などと言われるほどモルを理解することは難しく,学習する際のつまずきの原因となっている。一方,高等学校化学におけるモルの指導方法については,長年,研究が行われてきてはいるものの,これといった方法が確立されているわけではない。さらに,モルについての先行研究の中では,教師の側に立った指導方法論に着目したものは数多く見られるが,生徒の実態を踏まえた上での実践的研究は少ない。そこで本研究では,従来のモル指導の問題点を明らかにし,生徒のモル概念獲得の実態を分析するとともに,これからのモルの導入のあり方について提言する。
  • 石井 実, 渡邊 広美, 阿部 信介, 梅津 一樹, 大村 睦, 酒井 直美
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 35-40
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    山形大学および山形県工業振興課主催で小中学生を対象とした公開講座「ふしぎ体験教室」が山形県産業科学館「発明工房」で開催され、その実験指導を行なった。講座内容は①導入と安全教育②実験実習③化学マジックショウの三部構成で行なわれた。参加生徒児童は18名であった。テーマは「ふしぎ化学実験-あなたも科学捜査官-」とし、受講者(小・中学生)はルミノール発光・薄層クロマトグラフなど4つの化学実験を通して「化学のふしぎ」を実体験した。
  • 馬場 賢
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 41-46
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成14年度から新学習指導要領が完全実施され,社会の変化に主体的に対応できる資質や能力を育成するために「総合的な学習の時間」が設けられる。本校では,学級や学年を活動の母体とした総合的な学習の時間を「学級・学年タイム」と名づけ,「学級や学年の仲間とつくる自然・社会・人をテーマとした総合的に展開される学習」ととらえている。活動のねらいのもち方・テーマの立ち上げについて,仲間との関わりを意識した支援の在り方などを実践例をもとにしながら紹介する。
  • 笹原 聡
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 47-52
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成14年度より新指導要領が完全実施となり,改訂のポイントのひとつである総合的な学習がスタートする。各中学校では,指導要領移行期にあたり,各校の現状に合った総合的な学習のあり方を模索している。生徒たちが総合的な学習の時間に取り上げる課題は,当然,教科の枠にはおさまらないものとなる。総合的な学習の課題は,さまざまな教科や分野と絡み合いながらも壮大なスケールで科学教育に発展する可能性を持っている。本稿では,特に生徒たちの総合的な学習における課題立ち上げの場面に着目して,その具体的な実践例を用いながら,科学教育へ発展する可能性を持つものを提示した。また,環境教育を意識した総合的な学習の課題例を検証した。
  • 鈴木 隆, 川邊 孝幸, 今村 哲史, 出口 毅
    原稿種別: 本文
    2002 年 16 巻 6 号 p. 53-58
    発行日: 2002/03/23
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,平成10年4月の改正により教育職員免許法の「教職に関する科目」に新しく導入され,その目的に"「課題解決能力」と「自己教育力」の育成"が謳われている「総合演習」を,これからの教員養成で,効果的に機能させるための一方策を報告する。まず,学生の課題解決に対する意識を解析したところ,「1課題1資料1解」で,「課題の深化」がないことが明らかになった。これは,徹底した「知識の集積」と「理論に基づく論理的思考」を体験していないこと及びその必要性を認識していないからと考え,「課題設定」,複数回の「プレゼンテーション」を体験させる場の設定及びその体験を認識させるために「教える」場の設定を中心に据えた授業システムを提案した。さらに,「課題設定」の方法,複数回の「プレゼンテーション」の効用について,試行例を報告する。
feedback
Top