博物館と学校との連携について,現状ではどのようになっているのかを調査することを目的として,兵庫県立人と自然の博物館を訪問した.本研究では,訪問した際に実施したインタビューと入手した資料をもとに,どのような組織構成で運営されているのか,博物館職員は学校との連携についてどのような考えをもっているかについて,考察することを目的とする.人と自然の博物館は,兵庫県の「学習推進員制度」のもと,児童・生徒の対応をする職員として「学習推進員」を設置していた.しかしながら,1998年に「学習推進員制度」が廃止されたために,独自に「ミュージアム・ティーチャー」を設置することになった.博物館と学校とが連携していくためには「ミュージアムティーチャー」のような,子どもたちの扱いに対するベテラン職員の配置が不可欠である.博物館と学校が連携を図るためには,こういった人材の確保と雇用体制の確立,人数の確保を図るシステムを整備することが必要になるだろう.また,組織事業のために必要となる人材を積極的に確保していくために,組織長に裁量権を持たせることや,社会の流れをくみ取った事業展開ができるような組織作りを可能にするしくみも取り入れることが望まれると考えられた.
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