日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
30 巻, 3 号
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表紙・目次
発表
  • 古川 修治
    2015 年 30 巻 3 号 p. 1-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    学習指導要領において,高等学校数学科の目標は「数学的活動を通して,数学における基本的な概念や原理・法則の体系的な理解を深め,事象を数学的に考察し表現する能力を高め,創造性の基礎を培うとともに,数学のよさを認識し,それらを積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断する態度を育てる」(文部科学省,2008)とされた。その目標の改善点の1つに,「理解」を「体系的な理解」に変更したことがある。数学を様々な場面で活用できるようにするためには,知識を体系的に理解しておくことが必要である。今回の改訂ではこのことをこれまで以上に重視し,「体系的な理解」とした。体系的とは,「まとまりの中に組み込まれている」と定義される。断片的に知識を身につけるのではなく,既習の内容として身につけている既有知識と新しい学習を関連づけることで体系的な理解をすることを本研究の目的とする。5社の教科書を分析して,既有知識に基づいたとき,加法定理の証明法を3つのタイプに分類した。
  • 小埜尾 裕喜
    2015 年 30 巻 3 号 p. 7-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成21年に告示された高等学校の学習指導要領の改訂により,「確率・統計」分野に関しては以前より学習する量が増加した。しかし「数学B」では,「確率分布と統計的な推測」の単元を履修する学校がほとんどなく,統計教育にとっては,大きな問題となっている。この単元では,学習指導要領において,理解を促すため具体的な例や作業,コンピュータなどを用いて直感的に理解させることが求められている。そこで,本研究では,具体的な例において,アメリカの高等学校で実施されている「AP Statistics」を参考にし,「確率分布と統計的な推測」の中でも確率分布に焦点を当て,Excel上でのシミュレーション教材の開発および検討を行った。
  • ―ARCS モデルを活用した電子黒板の利用―
    河合 祐斗
    2015 年 30 巻 3 号 p. 13-16
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    基礎・基本を徹底し,自ら学び自ら考える力などを育成することにより,「生きる力」の知的側面である「確かな学力」の育成を図ろうとする考え方は,平成8年の中央教育審議会答申以来の一貫した考え方である。これはこのたびの新学習指導要領の改訂でも,重要な概念である。現在の高度情報化社会の中で生活している我々は,コンピュータやインターネット,携帯電話,スマートフォン,タブレットなどの情報機器を日常的に使用している。この時代の中で「確かな学力」を育むために教員がICTを有効に利用した授業を展開することが求められている。本研究では,ICTの中でも電子黒板に着目し,J・M・ケラー氏のARCSモデルを活用した授業実践・教育効果の検証を行うことを目的とする。
  • 森田 直之, 辻谷 甘寧, 中川 真優, 保坂 勝広, 鈴木 憲征, 川端 康正, 早川 信一, 金田 裕治, 足立 真理子, 佐瀬 菊造, ...
    2015 年 30 巻 3 号 p. 17-22
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    東京都立多摩科学技術高等学校(以下、本校)は、平成22年に開校した東京都でも比較的新しい高校である。本校は新規取得の土地に建てられた学校ではなく東京都立小金井工業高等学校(全日制は平成22年3月で閉課程。現在、定時制課程と施設を共用している。)敷地の旧グランド部分に新校舎を建築した。それに伴い、平成25年より旧校舎の解体工事が始まり、校舎敷地内の植栽の多くは伐採されることになった。旧校舎本館前にあった記念植樹として植えられたと推察されるメタセコイア(推定樹齢50年)もその対象となった。その事実を知った私たちは、生徒と教員が中心となり、本校経営企画室と連携しながらプロジェクトを開始した。伐採は致し方ないとしても人々の思いとともに植えられたと思われるメタセコイアを何らかの形で残すことはできないか、記念植樹のあり方について考察するとともに「伐倒記念植樹メタセコイア保存プロジェクト」を開始した。
  • ~生徒から生徒への伝承~
    中安 雅美, 新井 徹三, 鈴木 勝典, 保坂 勝広, 猪又 英夫, 金田 裕治
    2015 年 30 巻 3 号 p. 23-26
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    東京都多摩科学技術高等学校(以下、本校)は、スーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)の高等学校であり、本校の学校経営計画に科学教育の充実、プレゼンテーションスキル指導、部活動の活発化など多数の目標を掲げている。その目標を達成するため校内での研究成果発表会に加え、外部発表会でもSSH校として多数参加しその成果をここ数年の間に挙げている。しかし本校は公立の高等学校であるため、生徒たちの研究に携わった指導教員が一定任期を迎え異動をしてしまうことは否めない。この現状より生徒たちの研究が滞ってしまうことのないように、研究では欠かすことができない分析機器の使い方を教員から教員だけではなく本校の科学研究部化学物理班(以下、科研部化物班)の生徒から生徒へ伝承していくことができるかという効果を試みた。
  • 小野 塚葵, 辻 宏子
    2015 年 30 巻 3 号 p. 27-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、PISA2000及びPISA2003で好成績を残し、世界中からその教育方法が注目されたフィンランドの算数・数学教育の特徴について考察したものである。先行研究から明らかになった実態から、フィンランドの算数科授業でのICTの利用と教科書に注目して、授業視察と教師に対するインタビューと質問紙調査を行った。その結果、フィンランドの算数科授業におけるICT利用と教科書の特徴として、①定着を目的とする場面でのアプリケーションゲームの多用、②デジタル教科書と黒板が併用されていないこと、③教科書の構成が日本と異なることの3点を指摘した。
  • 長谷川 祐, 辻 宏子
    2015 年 30 巻 3 号 p. 33-36
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、「数学的リテラシー」という観点から、現代社会が成人に要請する能力・態度について整理したものである。OECD による PISA 調査の枠組みにおいては、実生活で算数・数学を活用できることとそこに向かう態度の重要性を示唆していた。また、政策立案という観点からも、成人・社会人に求められる能力として数学的リテラシーと重なる能力が示されていた。このように、数学的リテラシーを考えることで現在の算数数学教育に足りないものが示唆される。今後は、児童生徒の現状やカリキュラムのねらいと比較検討していくことが必要だと考えられる。
  • 伊藤 嶺太, 森山 瑛斗, 露木 啓人, 藤田 夏乃介, 伏見 章吾, 内野 裕介, 伊藤 光雅
    2015 年 30 巻 3 号 p. 37-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,サレジオ高専において展開しているプロジェクト教育への参加学生を対象にアンケート調査を行い,プロジェクト教育が学生へもたらす教育効果について分析した.本校では,学生が主体となり企画・運営を行うプロジェクト教育に取り組んでいる.エコランは,本校におけるプロジェクト活動の 1 グループである.本年度は,年度目標としていた Honda エコマイレッジチャレンジ 2015全国大会へ出場した.本グループにおける最終目的は,技術者としての素養の向上である.そのためチームによるものづくり活動にとどまらず,日程管理や PDCA サイクルの活用といった総合的な技能・技術を習得する必要がある.今回,プロジェクト教育への参加学生に対するアンケート調査の実施により,その分析から参加学生における製作技術が向上したこと,技術者としての素質の向上が明らかとなった.本発表では,本年度の活動状況と活動を通じて得られた学生への教育効果について報告する.
  • 木村 諒, 田代 祐己, 葛岡 英明, 久保田 善彦, 大槻 麻衣, 鈴木 栄幸, 加藤 浩, 山下 直美
    2015 年 30 巻 3 号 p. 41-46
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小中学生にとって天体の分野は特に学習が難しい領域である.これらの天体現象を理解するためには地上から観測する視点と,太陽系を俯瞰する視点を関連付けて理解する必要がある.そのためわれわれは地上からの視点を映すシミュレータ,太陽系を俯瞰して見るための地球儀やアバタと呼ばれる人形,太陽模型で構成されたタンジブル地球儀システムを開発してきた.システムを用いて実際に教育現場で実践を行ったところ,学習者はタンジブルなインタフェースの意味を考えずにシステムを使用してしまうという問題点が観察された.本研究ではこの問題を解決するため学習者の動きと同期して動くアバタを開発し,デザインベースドリサーチに基づき,教育現場にて実験を行った.その結果,適切な教示法をすることで学習効果が得られることが観察された.
  • 木村 優里
    2015 年 30 巻 3 号 p. 47-52
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は,成人の科学教育を「充実志向」の視点から検討するために,アマチュアの科学実践において好奇心がどのように存在しているかを明かにすることである.そこで,ハイアマチュアを対象に半構造化インタビューを実施し,M-GTAを用いて分析した.分析結果より,ハイアマチュアの科学実践は,好奇心だけでなく,独自のこだわりや社会的要因と密接に関係している活動であることが示された.そして,その活動過程で,好奇心が醸成されたり,愛着意識の活性化によってリソースが捻出され,さらに活動が継続するという互いに支え合う関係が構築されている.
  • 宮田 和美, 赤間 彩織, 堀舘 秀一, 舟生 日出男
    2015 年 30 巻 3 号 p. 53-58
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    美術作品の鑑賞教育において、対話型鑑賞教育が注目されてきた。従来のような知識伝達型の授業では、学生は受動的になるとともに、自身に内在化された一面的な解釈でしか鑑賞できない。このような問題を克服するため、より深い理解と創造力、高い思考力を培う事が可能な対話型鑑賞教育が普及した。しかし、対話型鑑賞教育には、教師が授業をコントロールできなくなりかねないというデメリットもある。そこで本研究では、着目箇所の共有を支援するシステムを活用し、対話型鑑賞教育のメリットを活かしつつ、デメリットを避け、学生により深い理解に基づく鑑賞スキルを身につけさせるために、学生に A)「作者の意図」による視線の誘導を実感させること、B)他の学生と着目箇所を共有させ、その差異を認識させること、教師が C)学生らの着目箇所を把握することで、説明を臨機応変に調整すること、の 3 点を実現することを目指した授業実践を実施した。
  • 池田 耕輔, 渡辺 雄貴, 加藤 浩
    2015 年 30 巻 3 号 p. 59-64
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、算数教育において、定義の概念的知識獲得を目的に、学習法の効果を検討した。都内公立小学校5年生と6年生に、分配法則計算の2種類の解法比較を行わせた。実験群の5年生には、図表活用方略とその方略を促すため、話し合いに聞き手と話し手という役割をもたせて、比較させた。ここで、分配法則の概念的知識獲得は、数学における分配法則の定義式を言語や図形を使って表現できることと定義し、式から言語、式から図形、図形から式を表現する3種類の問題で、概念的知識獲得の効果を測定した。その結果、実験群において、式を図形で表現する問題の事前、事後テストの差に、統計的な有意傾向がみられた。
  • 高橋 B 徹, 高橋 聡, 吉川 厚
    2015 年 30 巻 3 号 p. 65-70
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    問題発見は,問題解決の成否や質を決める重要な工程である.しかしながら,我々が問題解決工程のつまずきを分析するために開発した問題解決ワークシートを使った調査によると,問題解決の初学者が十分に問題発見を行えていない.そこで,問題解決ワークシートに加えて,問題発見を網羅的に行うツリー分析を学習者に行わせることで,問題発見の過程を明示化しどのようなつまずきをしているかを分析することを可能にする.この方法で以下のつまずきを分析することができると考えられる:①要素が整理されておらず MECE になっていない可能性がある;②子ノードが解決策になってしまっている;③子ノードが分類や原因になっていない(解決策を除く);④子ノードが問題の大枠を超えてしまっている;⑤発見された問題と解決策が対応していない部分がある;⑥発見された問題と解決策が矛盾している部分がある.実験にて,初学者に問題解決ワークシートの記入とツリーの作成を行わせたものを分析することによって,これらのつまずきを確認することができた.
  • ―中学校理科教員対象のアンケート調査の結果分析―
    西村 浩隆, 加藤 徹也
    2015 年 30 巻 3 号 p. 71-76
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    アメリカでは STEM 教育(科学・技術・工学・数学の内容統合教育)という考えのもとに,2013 年に Next Generation Science Standards (NGSS) が策定され,その中に「工学設計の過程(ものづくりの過程)」が明確に位置付けられている。これは試行錯誤を経て目的のものをつくるためのガイドラインである。しかし,日本の理科授業の場合,ものづくりは取扱われているが,学習指導要領や教科書の内容に「ものづくりの過程」の明示的な記述はない。そこで今回は千葉市の公立中学校の理科教員を対象として行った理科でのものづくりへの「ものづくりの過程」の導入に関するアンケート調査結果を中心に報告する。調査の結果,理科や学校教育にとって重要性・必要性はあること,安全性や子どもの概念適応の観点からは問題ないこと,また教材準備時間や金銭,授業時間数の観点から現状での実現は厳しいことがわかった。
  • 坂本 美紀, 山口 悦司, 西垣 順子, 益川 弘如, 稲垣 成哲
    2015 年 30 巻 3 号 p. 77-82
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    科学技術の社会問題(SSI)を扱った実践や研究が増加している.本研究ではこのうち,SSIに対する思考,特に意思決定や推論を評価した研究に焦点を当て,使用された評価フレームワークを概観する.主要学術雑誌に掲載された近年のSSI研究14編をレビューした結果,SSIに関する思考の評価フレームワークは,次の3タイプに大別できた.(1)思考の内容:SSIに関する思考に影響を及ぼす要因を思考の内容から捉えるもの,(2)思考の質:アーギュメント構造の観点から思考の質を評価するもの,(3)思考の内容と質の併用:思考の内容と思考の質を総合的に評価しようとするものである.フレームワークの比較検討から,以下のことが明らかになった.思考の内容の評価観点としては,Sadlerらによる推論パターンと,社会志向,科学技術志向といったカテゴリーによって推論の内容を評価する推論モードの2観点があった.思考の質の評価では,アーギュメント構成要素のうち,反駁や対立意見への言及を含むアーギュメントを,質の高いものと見なした研究が多かった.思考の内容と質の両面で評価する研究は,現時点ではまだ少数であった.
  • 観察カードを利用した観察行動の分析
    田中 維, 山口 悦司, 稲垣 成哲, 江草 遼平, 楠 房子, 奥山 英登, 木下 友美, 坂東 元
    2015 年 30 巻 3 号 p. 83-88
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    筆者らは,旭山動物園のアザラシ展示を事例として,「形態と機能を関連づける」観察支援のために開発した紙芝居の有効性を明らかにするために,ワークショップを実施した.ワークショップでは,紙芝居と,紙芝居を縮小した観察カードを併用し,子どもにアザラシを観察させた.本稿では,9 名の子どもを対象として,観察行動における観察カードの利用の有無と,利用方法を明らかにし,観察カードの有効性を検討した.その結果,27 件中 24 件の観察行動で観察カードが利用されていた.また,観察カードの代表的な利用方法として,観察中にアザラシの形態と機能に関する観察の視点を持つ「見比べ」が確認された.その他に,観察項目を確認する「思い出し」,観察した内容を他者へ伝える「提示」,他者の観察内容を知る「参考」があった.これらのことから,観察カードは形態と機能の観察支援に有効であることが分かった.
  • PACA 国際学校を事例として
    大黒 仁裕, 神山 真一, 山本 智一, 江草 遼平, 鳩野 逸生, 楠 房子, 稲垣 成哲
    2015 年 30 巻 3 号 p. 89-94
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,理科の授業において,複式学級の指導法の 1 つである学年別指導に反転授業を導入し,「第 4 学年 A(3)電気の働き」と「第 5 学年 A(3)電流の働き」について実施した授業への有効性を検討する.学年別指導とは,教師がそれぞれの学年の児童に異なる内容を指導する方法である.そのため,教師が一方の学年を指導している間は,もう一方の学年は自分たちで学習を進めていかなければならない.これを間接指導という.反転授業では, 動画と説明文からなる反転授業用教材を作成し,児童にオンラインで提供した.児童は,それを用いて基本的な学習を授業前に自宅で行った. これにより,児童は事前に知識を得た状態で,対面授業での発展的課題や実験に取り組むことができた.間接指導の際に反転授業の形態が児童の学習を支援したことを示す児童 4 名と教師の言語的行為・非言語的行為を抽出し,分析した.その結果,反転授業の形態は,(1)知識の活用を支援すること,(2)児童に実験手順を把握させ,学習を進めさせることが明らかになった.
  • 加藤 瑠理, 奥田 留那, 福光 真理奈, 小林 美緒, 三宅 志穂
    2015 年 30 巻 3 号 p. 95-100
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、 天王寺動物園 (大阪市) のアジアゾウをモチーフにして、 環境教材絵本を創作する研究に取り組んだ。 科学絵本に含まれる3つの観点 (Visual Simplicy, Narrative, Mystery ofthe World) について、 創作プロセスをふりかえることにより、 どのようなことが反映できたかを考察した。1) Visual Simplicy : 画用紙を切り貼りすることにより、 視覚的明瞭さが反映された。2) Narrative : 動物園で実際に会うことのできるゾウを主人公としたことによる親近感、 私たちの日常的なものが環境問題を引き起こしているという関係性が反映された。3) Mystery of the World : 天王寺動物園のゾウの固有な性格や特異な行動の 「謎」 を解き明かす展開が反映された。こうした知見の蓄積は、 環境教材絵本の開発をさらに進めるノウハウにつながるかもしれない。
  • —小学校第6学年「人の体のつくりと働き」における実践から−
    鈴木 由美子, 人見 久城
    2015 年 30 巻 3 号 p. 101-104
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校第6学年の「人の体のつくりと働き」において,血液循環に関するアナロジーロールプレイを用いた教授を行い,知識の定着とその保持について調べた。その結果,授業後,1年半を経過しても高い正答率を維持しており,ロールプレイが知識の定着と保持に有効であることが示唆された。
  • 4 年生「空気」・3 年生「かげ」の授業デザイン
    桑原 奈見, 出口 明子, 鈴木 由美子, 池澤 史步
    2015 年 30 巻 3 号 p. 105-108
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,科学絵本を活用した小学校の理科授業をデザインし,その授業実践を行った。開発した授業デザインは,4 年生「空気」及び 3 年生「かげ」に関わるものである。授業を実施した教師を対象としたアンケート調査の結果から,教師は本研究の授業を通した児童らの理解の向上を実感しており,科学絵本を取り入れた理科の授業は,児童らの理解支援に有効であると評価していることが示された。
  • 直井 龍太郎, 出口 明子
    2015 年 30 巻 3 号 p. 109-112
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,国内における粒子概念に関するラーニング・プログレッションズ研究のための基礎的検討として,Smith et al(2006) で示された物質の原子論・分子論に関するラーニング・プログレッションズと,我が国の学習指導要領,及び教科書に記載された内容との比較分析を行った.その結果,粒子に関する概念について日本の学習指導要領,教科書の記述内容,及び教科書に記載された観察・実験活動を統合したものは,Smith et al.(2006) のラーニング・プログレッションズの枠組みにおおよそ対応するものであることが示唆された.
  • 環境学習を支援するすごろくゲームの開発と実験的評価
    出口 明子, 関口 有人, 大久保 達弘
    2015 年 30 巻 3 号 p. 113-116
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,持続可能な開発のための教育を指向した環境学習の支援を目的として,里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解を支援する環境学習教材を開発した . 本稿では栃木県内の里山林を舞台に開発したすごろくゲーム教材「里山 Life・アドミンズ」の概要を解説するとともに,森林生態学の基礎を修得している農学部の学生及び大学院生を対象とした実験的評価の結果を報告する.
  • –虚像の理解を促す指導法の検討-
    大崎 貢, 久保田 善彦, 中野 博幸, 小池 克行, 小松 祐貴
    2015 年 30 巻 3 号 p. 117-120
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    全身を映すのに必要な鏡の大きさに関する課題の理解を促すため,拡張現実(AR)と Kinect を用いたシミュレーション教材を開発した。開発した教材を使って,中学校1年生に授業を実施し,主観評価と理解度調査を行った。その結果,生徒は教材について非常に好意的であった。授業によって形式的な理解は促進したが,多くは論理的な理解には至らなかった。今回の授業から,合同や相似などの数学的な概念と関連させた授業デザインの重要性とそれに合わせた教材の改善点が明らかになった。
  • 足立 将太, 御園 真史
    2015 年 30 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,「公式導出方略の指導」の効果を検討するために,「公式導出方略の指導」の前後における,学習者の学習方略使用に対する認知の変化を検討することを目的として,学習方略に関する質問紙調査を行った.質問紙調査の分析結果から,「公式導出方略の指導」によって,公式導出方略の使用可能性が増加し,公式暗記方略を使用可能性が減少した.
  • 板倉 汐里, 御園 真史
    2015 年 30 巻 3 号 p. 127-132
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日本の数学の授業で扱う問題解決学習は,well-structured な問題解決であることが多かった。本研究では,より ill-structured な問題の解決を目指して,数学Ⅰの内容でトラブルシューティング問題を作成した。その後,作成した問題を,3 名の数学専攻の大学生が解き,どのように解いたかについてインタビュー調査を行い,調査協力者が遷移した問題空間を可視化した。調査協力者は,誤りを指摘できたものの,問題の本質を理解するまでには至らなかった。
  • 岩見 拓磨, 御園 真史
    2015 年 30 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,教職課程を履修している大学生に対して,数学に対する価値観を尋ねる質問紙調査を行った。4 つの因子について下位尺度得点の多重比較を行った結果,意識の高さは,意味理解・練習≒道具的目的>学問としての数学>モデル化/活用の順であることが分かった。このことから,将来数学は必要であるという意識は高いのにも関わらず,それを日常的なレベルで数学的モデル化を行ったり,数学を活用するといった実践行動に移せていないことが分かった。
  • 野村 晃希, 御園 真史
    2015 年 30 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校数学科における証明指導ではフォーマルな証明を書く指導を重視し,証明の論理構造についての指導はあまり重視されていない。そこで,本研究では論理構造の理解のために,同期型 CSCL システム「Kneading Board」を活用し,論理構造を可視化する活動を提案する。本研究では 2 名で活動を行い,その有用性について検討した。その結果,論理構造を可視化する活動をすることで命題間の関係を意識するような発話が見られた。
  • 孔 泳泰
    2015 年 30 巻 3 号 p. 145-148
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本調査では、韓国において 2015 年に新しく改訂された理科学習指導要領(教育課程)の方向及びその特徴を探って見ることにした。改訂の方向は概ね 2009 年に改訂された韓国の教育課程が追求した‘創意的な人材の育成’ という基本精神を維持しながら、現場適用への過程で指摘された問題点を改善し、教育環境の変化にも積極的に対応するために国家・社会的な要求を反映し、未来社会が要求する創意・融合型な人材を養成できる小・中等教育課程を改善することに重点をおいてある。その具体的な内容な以下のように纏められる。ア)人文社会・科学技術に対する基礎素養の涵養、イ)自らの希望や才能が発揮できる生徒中心の教育課程の運営、ウ)未来社会が要求する力量の涵養が可能な教室授業の改善及び評価体制の確立、エ)教育課程と連携し、教育政策全般を総合的に見直す。
  • 鈴木 計哉, 瀬戸崎 典夫
    2015 年 30 巻 3 号 p. 149-152
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,授業態度記録システムによって集約した生徒の学習状況を可視化し,教員に提示した.さらに,半構造化面接法によって,授業態度記録の有用性について検討するとともに,教員の意識変化に注目した分析を行った.その結果,可視化された情報は教員にとって興味深く,教科横断的な視点で生徒の学習状況を把握できる点で有用性があることが示された.また,授業態度が良い生徒や悪い生徒だけでなく,何も特徴が出ていない生徒についても,見落とすことなく支援をする必要があるという回答が得られたことから,教員の意識に変化が見られたと考察した.一方課題として,授業をしながら入力することは容易でない点や,進路指導などで継続して使用していくために新たな仕組みが必要な点などが明らかとなった.
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