日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
35 巻, 1 号
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表紙・目次
発表
  • ―私立A大学教育学部を事例に―
    坂倉 真衣, 渡邊 耕二
    2020 年 35 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
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    児童・生徒の「理数離れ」の原因の1つとして,教員の「理数離れ」が指摘されている.中でも,近年小学校教員養成の認定課程を有する私立大学数が増加しており,今後小学校において理数教育の中心的役割を担う私立大学教員課程に在籍する学生の理数科指導力向上を図る必要がある.本研究では,私立大学教育学部生の理数科学力を明らかにすることを目的とし,A大学教育学部の学生を対象に理数科指導力に関するテストを実施した.テスト結果より,中学校程度の内容の問題への正答率は理科,数学ともに50%程度であること,理科,数学ともに変数を扱い段階を踏んで解答する関数的な考え方を用いる問題を苦手とする傾向があること,理科において実験計画の妥当性を検討する問題は他の問題と関連づけられていない可能性があることが分かった.これらのことから,小学校教員を目指す私立大学教員養成課程に在籍する学生の理数科指導力向上に向けては,理科,数学ともに段階を踏んで思考を働かせる能力の育成を行い,関数的な考え方を強化すること,理科において理科の知識のほか科学的な考え方を用いて実験計画の妥当性を検討する能力を育てる授業が有効であると考えられる.

  • 邱 麗, 池田 文人
    2020 年 35 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究で提案する Reflection in Question (RIQ)とは,知識を理解するために学習者自らが問いを挙げる中で,挙げた問いに対する振り返り(リフレクション)を挟むことにより,学力の3要素を高めることを目指す手法である.本研究では学力の3要素の基礎となる知識の精緻化と思考の活性化に対するRIQの効果を検証した.すなわち,7回のRIQに基づく課題を通じて学習者の問いの質と量の変化を検証した.その結果,1 回目から7回目にかけて,低次な問いの量が減少し,高次な問いの量が有意に増加したことにより,RIQによる問いの高次化,ひいては知識の精緻化と思考の活性化とを促進されることが示唆された.

  • 宇田津 徹朗, 中山 迅
    2020 年 35 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
    研究報告書・技術報告書 フリー

    土壌中に含まれる植物起源土粒子であるプラント・オパールを,日本では身近なテフラ層を対象に過去の環境(火山噴火)を学ぶ教材として活用されている火山ガラスに加えることで,学習内容を環境からさらに農業という「人の営み」にまで拡張した教育プログラムを企画立案した.中学生を対象に当該プログラムを実践した結果,生徒は,現代の水田と弥生時代の水田土壌から共通してイネのプラント・オパールを検出することを通し,土壌から人の営み(稲作)の歴史の情報を引き出せることを学習した.また,プラント・オパールが加わることで,学習指導要領にある中学校の理科と社会の多岐の内容を横断していることも確認された.ここでは,当該教育プログラムの実践の詳細を報告するとともに「総合的な学習の時間」における適性についても言及する.

  • ―豚足の骨を活用した社会教育―
    枝村 美咲, 渡邉 重義
    2020 年 35 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
    研究報告書・技術報告書 フリー

    骨という視点をもち動物の観察を行うことで,動物の体のつくりや分類,行動を考えることができる可能性がある.熊本市動植物園において実地調査を行い,動物の観察を通した探究的な学びを構想した.調査の結果,①「立つ」「歩く」「座る・横たわる」などの「前後肢を使った行動」,②「指」「関節」などの「前後肢の部位」を観察できることが分かった.①~③の結果を生かして,動物の観察を通した社会教育としての学習プログラムを構想した.学習プログラムの具体化においては,豚足の骨の活用を組み込み,骨に着目した動物の観察を行うためのパンフレットを作成した.社会教育の観点から,来園者が楽しみながら学び,動物の共通性や多様性に関する理解を深め,日常生活や自分との関わりを見出すことを重視した.

  • 河野 慶太郎, 森藤 義孝, 甲斐 初美
    2020 年 35 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
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    学習指導要領の改訂により,中学校第1学年では,生物の生態や外部形態のみの内容による生物の分類の学習を行うことになった.このことにより,第1学年で扱う内容による学習だけではなく,第2学年と第3学年で扱う内容による学習も進めていく中で,中学校段階で目指すべき生物の分類に関する諸概念の構築をすることが必要である.そこで,植物の分類の学習に関する諸概念を構築するプロセスに焦点をあてることとし,適切な概念構築を図るため,小学校理科における植物の外部形態に関する諸概念(根,茎及び葉)について分析することとした.その結果,小学校段階で構築される外部形態に関する植物の根,茎及び葉の概念では,植物の根,茎及び葉を適切に区別できない可能性があることがわかり,大学生に調査してみたところ,中学校段階を終えても区別できないことがわかった.そのため,中学校段階では,第2学年で植物の内部構造の内容による学習を進める際,第1学年での植物の外部形態に関する内容を扱うことで,植物の外部形態に関する諸概念をより科学的に構築できるのではないかと考える.

  • 空間認識重視の数学教育の必要性
    渡辺 信, 青木 孝子
    2020 年 35 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
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    3次元の世界を空間認識しイメージすることは難しいといわれている.幼児は積み木で空間認識を自ら学び取り,その感覚は豊かである.しかし,小学校の指導では見取り図,展開図など,紙の上に描く訓練が始まる.紙の上に立体を描くことは,人類の歴史においても難しい問題であり,絵画画法によって大きな成果が見られた.この遠近法の出現は立体をそのまま見るという学習を忘れ去ってしまった.現在の数学教育において,立体感覚や,立体をそのままイメージすることの力は強化できていない.これは「未来を拓く科学教育(数学教育))において一つの課題である.この課題の克服を目指して行ってきた科学の祭典での例を示し,どのような学習が3次元空間のイメージを膨らませることができるかを示す.3次元の立体をそのまま見る訓練が必要である.

  • 野村 祐子
    2020 年 35 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
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    電気ストーブや照明器具などの取扱いにおいては,火がなくても可燃物が発火して火災に至ることがある.これらの火災に対する予防指導を支援するため,裸火以外の着火源による固体可燃物の発火現象を理解させるためのWeb教材を作成した.木や紙などの燃えやすい固体にゆっくり熱が伝わって急に燃え出す,高温表面や赤外線を着火源とする発火の仕組みを説明するため,虫眼鏡で日光を集めて白と黒の画用紙を焦がす実験を活用し、画用紙が発煙して穴が開くまでの過程と,炭化が進行して橙色の火炎が拡大する過程を,映像と時系列写真で繰り返し観察できるようにした.また,「ししおどし」に水が溜まって動き出す様子を観察する教材を作成し,水と熱を比較することによって,発火の有無を左右する「熱のつり合い」に着目できるよう図った.これらの教材を用いて小学校理科「光の性質」の内容を発展させる学習過程の提案を試みた.

  • ―中高理科指導法科目の受講学生の事例から―
    吉田 安規良, 岡本 牧子, 江藤 真生子
    2020 年 35 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2020/11/28
    公開日: 2020/11/25
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    「一人一台端末」という教育ICT環境を活用できる教員の養成には,教職志望学生のICT活用能力の実態を様々な観点から知る必要がある.そこで,休校中の遠隔授業を想定して,中学・高等学校理科教員志望学生34人の教材探索力を把握した.8割の学生が,学校の授業で一般的に行われる授業者による説明を代替できる動画を含むコンテンツを提示した.ICTを活用したモデル実験や家庭学習では実施が相当困難な実験観察の代替を意図した解答が10人から寄せられた.「教員のICT活用指導力チェックリスト」と照合した結果,学生は,動画や映像などを利用して児童生徒の理解へつなげること,知識の定着や技能の習熟をねらった個別最適化学習,児童生徒が自ら当該コンテンツにアクセスできるような指導,他単元や他教科など全体を通した活用を想定できていたが,児童生徒がコンピュータを使ってアウトプットすることは想定していないことが推察できた.

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