日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
35 巻 , 6 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
表紙・目次
発表
  • ―基礎科目を踏まえた応用科目への展開―
    藤澤 修平, 吉田 秀典, 林 敏浩
    2021 年 35 巻 6 号 p. 1-4
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    香川大学では,大学低年次における数理・データサイエンス教育を実現するため,基礎科目となる「情報リテラシーB」の開講,ならびに応用科目となる新たな科目提供というつの方策を実施する.本稿では,2020年度に開講した「情報リテラシーB」を踏まえ,今年度(2021年度)に開講する数理・データサイエンス教育の応用科目「データサイエンス×危機管理科目群」の展開について述べる.本学の四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構の協力のもと,「データサイエンスを活用した防災・危機管理」,「レジリエントな社会の構築とコンピューターシミュレーション」,「災害とデータサイエンス」からなる応用科目群を提供することにより,実社会に即した,データサイエンスの学びを深める数理・データサイエンス教育を拡充する.

  • 荒巻 美優紀, 中城 満
    2021 年 35 巻 6 号 p. 5-8
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,実験結果を数値で表す単元において,結果処理が異なる授業の比較を行い,考察場面の話し合いに与える影響を明らかにすることである.まず,小学校理科の授業における実験の結果で数値を扱う授業の中で,そのすべての結果を考察場面で用いる授業の結果処理の方法を分類した.その結果,「無秩序に掲示」「表に整理して掲示」「グラフに整理して掲示」の3つに分類された.その後,各授業の発話プロトコルと児童が記述したノート等の分析を行った.結果は次の通りとなった.「無秩序に掲示」された授業は,規則性は見いだせていたものの,他の班の結果を比較し吟味する場面や,誤差を把握している発言は見られなかった.「表に整理して掲示」された授業は,誤差について発言する児童は多くいたが,規則性を見いだすのに教師の促しが必要であった.「グラフに整理して掲示」された授業においては,測定誤差の把握と教師による若干の促しはあったものの規則性を見いだした両方の発言が確認された.以上のことから,結果処理の方法においては数値をそのまま扱うのではなく,俯瞰できる工夫やグラフを用いて可視化させることの必要性が示唆された.

  • ―パリンサーの対話的な教授行動を視点に用いて―
    松村 有祐, 中城 満
    2021 年 35 巻 6 号 p. 9-12
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    理科学習では,個々の主観的な考えを実験や観察の結果から考察し結論づける活動を通して,抽象化し,客観的な考え方へと変化させていく.その過程で教師は子どもの考えを抽象化に導く役割を果たさなければならない.パリンサーの対話的な教授行動の視点である「表現させる」「もどす」行動は,種類の分類が大枠的であったため,さらに分類の余地があると判断し,これらをさらに細分化した教授行動の視点を作成するため新たに授業分析を試みた.その結果,「表現させる」には「一答型」「多答型」「仮説型」「発見型」「選択肢型」に,「もどす」は「確認型」「連続型」「再考型」「切り返し型」「根拠型」に細分化されることが明らかとなった.異なる文脈の授業においても,この新たな細分化した視点で,同様の分類ができことから,作成した視点は,教師がとる教授行動を分析する際に有効であることが示唆された.

  • 渡辺 信, 青木 孝子
    2021 年 35 巻 6 号 p. 13-16
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    問題を解く解法はエレガントな解法を考えたい。いろいろな方法を考えて最も簡単な方法が好ましい。しかし、最近問題の解法に対して視点を変えた別解を考えることをしない。問題に対して解ければよいと考えるかもしれない。数学教育において問題はその単元で学んでいることの確認のためにあると考えられる。例題をまねをして解くことができる。用いる数学技能は狭い範囲で持っているすべての知識を総動員して問題を解くことはなくなってしまった。問題解決(Problem Solving)を重視する数学教育が消えてしまった。別解を考えることによって、問題に対して視点を変えてみることは数学教育にとって必要であると同時に、数学の面白さがある。いろいろな方法で考えることによって、エレガントな解法が見つかることは数学を楽しむことにつながる。数学を楽しむことが日常の数学学習に結びつける必要がある。

  • ―算数・数学教科書の教材からSTEM教材への再教材化を中核として―
    佐伯 昭彦, 金児 正史, 川上 貴
    2021 年 35 巻 6 号 p. 17-20
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,日本の算数・数学教師にとって教材研究の重要な参照源である算数・数学教科書を生かしたSTEM教師教育の枠組みの開発を目指している.本稿の目的は,その一環として,算数・数学教科書の教材からSTEM教材への再教材化を中核としたSTEM 教師教育プログラム構想を提案することである.STEM教師教育プログラムに関わる先行研究のレビューを通して,STEM教師教育プログラムをデザインする3つの指針を導出した.さらに,それらの指針を基に,数学教育の立場からのSTEM教師教育プログラム構想とプログラムの支援体制を提案した.

  • ―アンプラグド教材による思考過程の視覚化―
    松原 和樹, 服部 裕一郎
    2021 年 35 巻 6 号 p. 21-24
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    小学校においてプログラミング教育が必修化されたことからもわかるように,急速に発展する現在の超情報社会においてプログラミング的思考の育成は急務であり,世代や立場を問わず共通の課題でもある.しかしながら,プログラミング的思考を育む教材については,それらを使用するための専門性の習得や必要となる機器およびソフトウェアなどの環境整備が学ぶ上でのボトルネックとなることが多い.特に,シニア世代の生涯学習においてそれは顕著である.そこで,本研究ではシニア世代の生涯学習においても使用可能なプログラミング的思考を育む学習教材の開発を,主として,算数数学教育の観点から目指してみたい.特に,I C T機器の操作スキルなどを前提とせず,学習形態としても誰もが容易に学べるユニバーサルデザインの性質を持たせることに重点を置いたアンプラグド教材を開発する.本稿では,開発教材の概要およびいくつかの実践から得られた教材の機能性と課題を報告する.

  • 釆野 美咲, 隅田 学, 向 平和, 真木 大輔
    2021 年 35 巻 6 号 p. 25-30
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    国連が2015年に提唱した「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」を理念とする持続可能な開発目標(SDGs)は,学校現場でも徐々に浸透しつつある.また近年,非認知能力についても関心が高まりつつあり,認知能力と共にあるべき,これからの社会に子どもたちが必要とする力として注目を集めている.本研究は,SDGsの観点から科学的に考察し,主体的・対話的で深い学びを行うことで,理科やSDGsを中心とした課題に対する生徒の興味関心を高めると共に,その非認知能力との関連性を見出すことを目的とした.2020年7月に国立中学校の1年生を対象に,パイロット授業を実施した.遺伝子組み換え,植物工場,外来種,昆虫食をキーワードとして,生徒たちは学び合い,デジタルポートフォリオに記録した.この授業を通して,約9割の生徒が,植物,人間,生き物,地球環境は繋がっていると実感し,全ての生徒が理科の授業にSDGsの観点を含めることについて肯定的な意見を持った.

  • ―愛媛大学ジュニアドクター育成塾の令和2年度実施内容を中心に―
    向 平和, 中本 剛, 小助川 元太, 佐野 栄, 平野 幹, 阿野 嘉孝, 中原 真也, 山本 智規, 吉富 博之, 熊谷 隆至, 大西 ...
    2021 年 35 巻 6 号 p. 31-34
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    愛媛大学は,平成29年度に国立研究開発法人科学技術振興機構ジュニアドクター育成塾事業に採択され,プログラム開発を行っている.本事業は,科学技術イノベーションを牽引する傑出した人材の育成に向けて,理数・情報分野の学習等を通じて,高い意欲や突出した能力を有する小中学生を発掘し,さらに能力を伸長する体系的育成プランの開発・実施を行うことを目的とした5年間の支援事業である.当初3年間は応募件数が減少傾向であったが,カリキュラムポリシーを変更し,令和2年度は募集者数が大幅に増加した.また,コロナ禍で実施形態等を工夫して実施し,参加児童生徒の理数・情報分野の資質・能力の向上に寄与したと考えられる.費用面・人的リソースの限界を考慮しながら,地方国立大学がノンフォーマル科学教育活動を推進することで,地域の科学人材育成に貢献することが重要であると考えられる.

  • 上坂 祐大, 隅田 学, 池田 哲也
    2021 年 35 巻 6 号 p. 35-38
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    高校生が履修する化学基礎の各単元について, 苦手意識と探究心の実態及び観察・実験が与える影響に関する質問紙調査を実施した。観察・実験の経験が常に苦手意識の解消に結びつくわけではないものの、単元『物質量』については, 観察・実験を「実施した」と回答した生徒の方が「覚えていない・実施していない」と回答した生徒よりも有意に苦手意識が高いことが明らかとなった. 探究心と観察・実験との関係について, 全体を通した特徴的な傾向は示唆されなかったが, 単元『熱運動と物質の三態』では, 男子の方が観察・実験への参画度が高いことが示唆された. 各単元における苦手意識や探究心について、『金属と金属結合』, 『物質量』, 『酸・塩基と中和』で苦手意識を感じている生徒が多いことが明らかとなった.そして男女差について, 『金属と金属結合』で女子の方が男子よりも苦手意識が高い傾向が示唆された.

  • ―中和滴定の実験を事例として―
    山根 結実, 隅田 学, 掛水 高志
    2021 年 35 巻 6 号 p. 39-42
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,我が国において理系を選択する女子学生が増えてきている.しかし,世界基準からは大きく下回っており,日本の女性理系進学は低いことが懸念されており,平成29年度学校基本調査によると,自然科学系の学部・大学院に占める女性の割合は,人文・社会科学に比べて低いことが明らかになっている.本研究では,県立A高等学校普通科第1学年2クラス80名(男子40名,女子40名)で高校化学における中和滴定実験を事例とし,実験中の性別による役割分担の実態を明らかにすることを試みた.男子2名,女子2名の計4名の男女混合班で実験を行い,各作業のそれぞれの場面で,誰がどの役割を行ったのかを調べ,分析を行った.結果より,実験において,まず男子生徒が中心的な活動を行い,女子生徒はその様子を観察したのち,実験の中盤で中心的に作業に取り組む傾向が見られることが分かった.こうした傾向は,理科授業や実験に対する意欲や態度にも影響する可能性がある.これらより,暗黙の固定的な実験の役割分担や参画を超えた,より包摂的な理科実験や授業デザインの必要性が考察された.

  • ―「巻線機」から電磁誘導の実験を見直す―
    大隅 紀和, 梅本 仁夫
    2021 年 35 巻 6 号 p. 43-46
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    今日ではインターネットの普及が広がり、家庭にはIH調理器が使われ、交通機関の自動改札でICカードをかざしている。これらの状況から、基礎レベルの科学教育で改めて電気に対するappreciationを認識する取り組みが求められる。伝統的な電磁誘導の実験の展開にも、この角度から新しい工夫をしてみたい。鮮やかな電磁誘導現象を安全に楽しむために、筆者は、コイルをみずから手まきする巻線機の開発を続けてきて多彩な実験に使うことができる段階に到達している。本稿では、それらの事例を報告する。

  • ―手振り発電機の制作と実験―
    梅本 仁夫, 大隅 紀和
    2021 年 35 巻 6 号 p. 47-50
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    筆者らが工夫した「手まきコイルをつくる巻線機」は、本稿で述べる手振り発電機を制作するためのものとして取り組んだものだった。ここでは、手づくりする手振り発電機の巻線作業と、それに使う円形磁石、およびそれらを使った実験事例を報告する。あわせて負荷として使うLED豆電球の並列台についても紹介する。

  • 横田 康長, 赤松 直, 蒲生 啓司
    2021 年 35 巻 6 号 p. 51-54
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    中学校2年で学習をする気象の単元は「天気の変化」である。気象の学習で基本となるところは、雲の発生についてであり、飽和水蒸気量と露点、湿度および温度の関係が理解できていないことが雲の発生のしくみを理解する際のつまずきを招く。本研究では、飽和水蒸気量と温度と湿度の関係を生徒に理解させることを目的として、隈元の実験方法に改良を加えることで、飽和水蒸気量の温度依存から湿度変化を理解することを促す授業を計画し実践した。授業では、まず温度が高くなると湿度が高くなるという概念のもとになっている夏と冬の気象の特徴について、生徒へのアンケートを実施した。約4割の生徒が湿度に関する特徴を答えていた。次に、湿度計を入れた密閉容器を食器乾燥機で温め、湿度が下がることを確認した後でその理由を考えさせた。理由を正確に説明できた生徒は28名中9名であったが、グループ討議をすると、友達どうしで飽和水蒸気量のグラフを使って教え合う姿が見られた。

  • 蔵田 雅典, 隅田 学, 掛水 高志
    2021 年 35 巻 6 号 p. 55-58
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在,科学技術の進歩により動画共有サービスやソーシャルネットワークサービスが急速に普及し,教育市場においてもIT化が進んでいる.株式会社デジタル・ナレッジの「動画教材の利用に関する意識調査と動画教材の学習効果検証報告書(2013)」よると,動画教材を取り入れた新しい学習手法に注目が集まっている一方,既存の教材では学習者の需要・ニーズに応えられていないという現状が明らかとなっている.本研究では,学習者の理科に関するオンライン学習の実態を明らかにすることを目的に,愛媛大学の学生92名(教育学部・工学部・農学部・理学部)を対象にGoogleフォームを用いて「オンライン教材に関する使用経験・意識についてのアンケート」を実施した.その結果,多くの学生がこれまで理科分野において映像教材を使用して学習を行ったことがあることが明らかとなり,学習者の需要に応える映像教材作成の鍵となるいくつかの手がかりが明らかとなった.

  • ―既習事項の工夫による改善―
    坂本 延哉, 中城 満
    2021 年 35 巻 6 号 p. 59-62
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,既習事項の工夫を行うことが,誤概念の修正に有効であることを検証することである.研究の方法として,小学校4年「水の三態変化」をとりあげ,「水蒸気」が既習である授業Aと未習である授業Bについて,それぞれの予想(仮説)場面と考察場面の授業プロットの分析を行った.その結果,「水蒸気」が既習または未習,どちらの状態でも,児童は「水が沸騰したときに出てくるあわは空気である」といった誤概念を表出することが明らかとなった.しかし,考察場面において,「水蒸気」が既習である授業Aでは,予想(仮説)場面で表出した誤概念が修正されていたのに対し,「水蒸気」が未習である授業Bでは表出した誤概念を修正することができなかったことが明らかとなった.このことから,既習事項の工夫を行うことが,誤概念の修正に有効であることが認められた.

  • 窪 航平, 隅田 学, 掛水 高志
    2021 年 35 巻 6 号 p. 63-66
    発行日: 2021/05/22
    公開日: 2021/05/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は高等学校化学において,物質量に関する科学理解の形成を促進する理科授業を開発することを目指し,まず今回,予備調査として理科教員志望大学生83名を対象に物質量に関する簡単な問題及び定義に関する設問,身の回りにあるある数をワンセットとして考えているような単位概念に関わる設問をからなる3つのセクションの調査をGoogle フォームで実施した.その結果,基本的な問題では90%を超える正答率が得られた.物質量の定義に関わる自由記述形式の設問に対する回答と正答率が90%を下回った問題を総合的に分析した結果,粒子数が体積に影響するという誤概念を形成している学生がいること,基本的な定義を知っているにもかかわらず,それらの活用に問題があることがわかった.また,身の回りにあるある数をワンセットとして考えているものの例としては「クラス,卵,足,パック,カートン,ケース,チーム」などの表現が見られ,それらが単位概念の例として大学生にとって身近である事がわかった.

feedback
Top