日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
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5 巻, 6 号
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表紙・目次
〔一般研究発表〕
  • 松本 伸示
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 1-6
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は、グラフ理論におけるグラフを使って科学カリキュラムを描画し、その解析・開発を行おうとする一連研究である。今日、グラフを応用した研究はかなり広い分野において行われ、着実な成果を収めつつある。その最も代表的な解析手法の1つにカリキュラムの階層構造を調べるISM法がある。しかし、この方法だけでは、カリキュラムをグラフで表した構造の中に強連結部分が存在すると、その連結部分は同一の階層レベルとして表記されるのみで、それ以上の情報を得ることは難しい。また、各教授要素のカリキュラム全体に対する役割の解析といった部分についても解析したい場合がある。そこで、本小論では、これらの点も考慮して、グラフの連結度の考え方を取り入れ、強連結、片連結、弱連結における強化点、中立点、弱化点となる各教授要素を調べ、カリキュラムの解析を試みた。
  • 國本 景亀
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 7-10
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現職教師の証明の捉え方を調査し、次の結果を得た。(1) 現職教師の95%が帰納型説明を数学的証明ではないと捉え、91%が演繹的説明を数学的証明と捉えており、数学的証明とは何かに対する理解が図られていること。(2) 現職教師の70%前後が、特殊な代表例による説明や操作的説明を、演繹型説明 (根拠を明確にした説明) と捉えており、それらの説明が形式的証明を生成したり、納得させたりする役割を持つものと捉えていること。証明指導においては、2, 3の事例から定理を発見し、すぐに形式的証明に移る指導がしばしば見られるが、その間に、内容的一直観的証明の段階を組み込むことによって、形式的証明を生成したり、それに対する確信を育成することが重要であろう。
  • 小山 正孝
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 11-14
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、計算場面での見積りに焦点を当てて、小学校の児童を対象にした調査結果を示すとともに、それに基づいて、現在の指導の問題点を明らかにし、見積りの指導に対する示唆を述べるものである。調査によって明らかになった主な点は、概数や四捨五入についての現在の指導は、① 計算のおよその答えを見積るときには正の影響を及ぼしているが、② 具体的な問題状況で、目的に応じて暗算によって処理しやすい概数をとることにおいては負の影響を及ぼしているということである。このことから、現在の指導の問題点として、概数や四捨五入の指導が形式的になされており、児童の柔軟な思考をある一定の型にはめる傾向があるということを指摘できる。そして、今後の見積りの指導に対して、児童が見積りの場面に応じて、目的に合うように柔軟に数を丸めて、適切な判断を下すことができるようにすることが大切であるということが示唆される。
  • 山崎 敬人
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 15-19
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では, メンデルの法則を中心とした「遺伝」の学習の取り扱いについて, 日本とドイツの教科書を比較し, 両者の特徴について考察した。その結果,「遺伝」という単元を構成する内容項目には日本とドイツで共通している点がある一方で, 幾つかの相違点が認められた。これらの相違点から, 日本では「遺伝の法則」に関する一般的, 理論的な理解が重視されているのに対して, ドイツでは「遺伝の法則」の基本を理解するとともに, この法則を生活場面においてより実際的, 応用的に深め, 利用していくことも重視されていることがうかがえた。また,「遺伝の法則」または「メンデルの法則」と一般に呼ばれている科学的「法則」のうち, 日本で「優性の法則」と呼ばれているものが, ドイツでは「斉一の法則」と呼ばれており, その意味内容が異なること, それに伴って取り扱われる遺伝の題材や学習の展開の仕方に違いがあることが明らかになった。
  • 世波 敏嗣
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 21-24
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    イギリスの初等教育では、インフォーマル教育が行われ、教科が枠組みを越えて関連させられたトピック学習が行われてきた。しかし、1985年、英国教育・科学省によって「サイエンス5-16方針声明」が公表され、科学教育の水準維持・向上が目指された。その際、「全てのものに実際的科学を (Practical Science for All)」との主張がなされた。そして、1987年に「全国共通教育課程5-16諮問文書」が公表され、次いで、1988年教育改革法が制定され、義務教育の改革が始められ、翌1989年の「全国共通教育課程における科学」によって、義務教育における科学教育の改革が始められた。そこでは、早くも初等教育の科学教育において、情報工学というひとまわり広い視野から、コンピュータやそれに関わる内容が捉えられようとしている。
  • 池田 秀雄
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 25-27
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    我が国の中等教育内容への遺伝分野の導入過程について、大正期における教授要目、教科書及び文部省教員検定試験の内容を検討した。教授要目には、遺伝の分野は含まれていないにも関わらず、大正3年頃から、博物通論の教科書の中に遺伝分野が急速に導入されていった。また、文部省教員検定試験の問題として、大正2年に遺伝分野が出題された。
  • 磯崎 哲夫
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 29-34
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    歴史的な教育改革と称せられる今次の教育改革において、イングランドとウェールズのすべての義務教育公立学校への共通的な教育課程を導入する「全国共通教育課程」が、1989年度より順次実施された。この全国共通教育課程では、すべての児童・生徒が学習すべき基礎教科が設けられ、科学は、数学・国語とともに義務教育段階を通じて中心的教科として位置づけられた。そして、"地球の科学"である広義の意味の地学 (Barth Science) が、学校における科学教育の必要不可欠な一分野として国家レベルで認められた。わが国の小学校低学年に相当する幼児学校では、すでに全国共通教育課程が実施されている。こうした地学を含んだ科学教育の特色は、子ども達の身の回りの世界について親しむという情緒面のみの学習で終わるのではなく、コミュニケーション活動や探究活動における科学の方法も重視されている。そして、何よりも子ども達自身による"learning by practical activity"が大切にされていることが注目される。しかし、こうしたことは、過去の実践でふるいにかけ培われてきた伝統を、蔑しろにするものでは決してない。
  • 日置 光久
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 35-40
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    土を対象とした子どもの遊びについて、継続的に観察・記録を行い、その発展について考察を行った。結果は五つのまとまりから構成されている。最初の二つのまとまりは、子どもの遊びの広がりと種類、およびその変容の記述に関するものである。三つ目は、一日における子どもの遊びの事例に関するものである。最後の二つは、遊びにかかわる子どもの人数の変化、年齢の構成割合、および遊びの持続時間に関するまとまりである。本研究は一つの事例研究であるが、興味ある子どもの実態が遊びの種類やその変容および異年齢集団の構成と変容の両面から浮かび上がってきた。
  • 小倉 康
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 41-46
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    教育課程は、各教科、道徳、特別活動などがおのおの独立に成立しているのではなく、教育目的達成のために、各教科等の目標と教育目的との関係、及び、各教科等の相互の関係が明確にされた上で、教育活動全体が目的達成のための一つのシステムとして機能すべきものである。子どもの経験は、本来連続して成長、発展するものであり、各教科等の関係は必ずしも固定的なものではなく、目的達成に資する教材があれば、教科の枠を超えて学習に利用できる。本研究は、体験重視の新設「生活科」を含む新たな教育課程において、その目的を効果的に達成するために意図された「生活科」と他教科等 (道徳、特別活動を含む) との関連性を明確にしようとした。研究のはじめとして、「生活科成立経緯における合科的指導との関係」、「生活科と他教科等との関連に関する文部省の見解」、「文部省指定生活科研究推進校の実践研究報告に見られる関連性の取扱い」の3点から考察を行った。
  • Virgilio U. Manzano
    原稿種別: Article
    1991 年 5 巻 6 号 p. 47-52
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 戸北 凱惟
    原稿種別: 本文
    1991 年 5 巻 6 号 p. 53-56
    発行日: 1991/05/18
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    戦後のフランスの小学校理科はめまぐるしく変わり現代化 (modernisation) を図ってきた。改革の流れは観察主義理科、総合活動主義理科、科学技術主義理科へと改められてきた。その過程で最も大きな変化は小学校1学年でこれまで行われていなかった低学年理科が新設されたことである。「科学とテクノロジー (sciences et technologie)」がそれであり、我国の「生活科」に比べると、理科固有の内容が多いのは当然であるが、そのほかテクノロジーにともなう内容が多い。植物、動物、野外活動、自分の成長といった内容では健康保持や責任感などの公民的な取り扱いも行われている。
〔パネルディスカッション〕:『地域の自然と社会と教育:生活科の理論と実践』
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