七島-硫黄島海嶺域から採取された2本のピストン・コアサンプルについてXRD, ATEM, XRF分析による鉱物・地球化学的研究を行った. 粘土鉱物学的研究から, コア全体でイライト, クロライトが卓越し, 一部の火山灰層を除きスメクタイトとカオリナイトは主要成分ではないことがわかった. また, 粘土鉱物組成の垂直的な均質さや各粘土鉱物の化学組成と形態的特徴は, これらの粘土鉱物は陸源砕屑性であることを示した. しかしながら, コアSt. 16に含まれるサポナイトの一部は, 海底で生成される自生の可能性と近接する海嶺から供給される可能性を指摘し, その運搬には黒潮以外の海流や水塊が介在している可能性を暗示した. 粘土粒子の鉱物組成は粘土鉱物と非粘土鉱物の割合が, St. 16で67: 33, St. 19で66: 34といずれも粘土鉱物の含有率比が高いことを示した. コアの地球化学的研究から, コアSt. 16では下部層 (130cm以深), 特に最下部で砕屑性鉱物の影響が強まった時期があったことを示している. 上部層では, 37~39cm層準でその影響の強まりを示すがその後は急激に弱まりを示す. 一方, 生物生産活動は最下部層で最小を示しそれ以降増加傾向を示しながら最上部 (間氷期) で最高となる. 南部で採取されたコアSt. 19では, 約22Ka以前で生物源炭酸塩因子と砕屑性鉱物による影響はピークに達する. 13Ka前後で生物源炭酸塩因子と砕屑性鉱物に正の相関性が認められ, 13Ka以降砕屑性鉱物による影響度が弱まるが, 有機物生産性は増大傾向を示し, 間氷期で高くなっていることを示した. 過去25,000年間の砕屑性鉱物の影響と生物生産活動は, 気候変化による風力と湧昇流の強度に連動していることを指摘した.
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