中国雲南省エルハイ湖にて採取されたコア (全長42m) を用いて, 層相観察, 地球化学分析から藍鉄鉱の形成環境について検討した. 堆積物中には層状, レンズ状および斑点状の異なる藍鉄鉱の産出が認められる. SEM像観察から, 層状・レンズ状藍鉄鉱はノジュール化されていない微細な単結晶の濃集体で構成されていることがわかる. このことから層状・レンズ状藍鉄鉱の産出頻度が高い深度42.5-40, 37.5-36, 34.5-31.5, 24-20mの各層準では, 湖底水塊の貧酸素環境が示唆される. 同層準の全炭酸塩炭素含有量, 苦灰石量の増加も, 貧酸素環境を強く支持している. また, 同層準における石英量の相対的な減少は, 周辺地域の温暖・湿潤化を示唆する. つまり, 層状・レンズ状藍鉄鉱の形成は, 温暖・湿潤気候下における, 湖内の水温躍層の形成・維持による湖底水塊の貧酸素環境の出現と解釈される.
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