フィリピンのセブ島西岸のタニョン海峡において表層堆積物中の粒度組成, 重金属濃度 (Cu, Zn, Pb, Co, NiおよびFe), 有機炭素濃度 (TOC), 炭酸カルシウム濃度 (CaCO
3) を分析し, 解析を行った。表層堆積物は主に砂以上の粒径の粗い粒子で占められ, TOCの値は, 0.08~2.71%であった。また, 堆積物中のCaCO
3濃度の高かった地点 (>10~60%) は現生のサンゴ礁地域である。
Ibo市沖の表層堆積物中の重金属濃度 (Cu≧700ppm, Zn≧100ppm, Pb≧10ppm, Co≧30ppm, Ni≧20ppmおよびFe≧5%) は高かった。また, 重金属濃度の濃縮係数 (EF) はIbo市沖およびその近くの Sapangdaku 川河口の表層堆積物中で値が大きかった。前者は過去の鉱山活動による人為的な影響を, 後者は河口域での泥質粒子の急速な沈積を, それぞれ反映していると考えられる。また, 表層堆積物中の重金属濃集には, シルト・粘土含有率とFeイオンの存在が重要な役割をしていることが示唆される。
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