δ
13C
org,TOC/TNおよび花粉相解析に基づき,日本海東縁における上部更新統と完新統に含まれる有機物の起源を明らかにした.上部更新統~最終氷期最寒期の堆積物は低いTOCとTN, 高いTOC/TN比,そして軽いδ
13C
orgに特徴付けられ陸源有機物起源を示す.これは,低海水準期において海岸線が前進し河川の流入が強化され陸源物質が海盆に直接もたらされたためと考えられる.最終氷期最寒期にみられる陸源物質の影響は後氷期において海水準の上昇,海成有機物生産の増加により次第に減少した.完新統は高いTOCとTN,低いTOC/TN比,重いδ
13C
orgに特徴付けられる.これは,海水準の上昇にともないプランクトンを豊富に持つ温暖な海流が流入したためと説明される.
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