堆積学研究
Online ISSN : 1882-9457
Print ISSN : 1342-310X
70 巻 , 2 号
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カバー·ストーリー
論説
  • Mamiko Yoshida, Hirobumi Inoue, Koichi Hoyanagi, Yukio Yanagisawa, Mas ...
    2011 年 70 巻 2 号 p. 63-79
    発行日: 2011/12/26
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
    岩手県南部の北上市に分布する中新統~鮮新統の石羽根,竜の口,本畑層は,エスチュアリーと河川環境での堆積を示している.また,1回の海水準上昇と引き続く低下で堆積した地層で,低海水準期堆積体,海進期堆積体,高海水準期堆積体に区分できる.その周期は約100万年と推定できる.河川成堆積物からなる低海水準期堆積体では陸源有機物片を多く含み,有機物は低い安定炭素同位体比(δ13Corg)を示す.引き続くエスチュアリー環境を示す海進期堆積体では,上方に向かって,海棲有機物が増え,δ13Corgの値が大きくなり,さらに全有機炭素量も増加する傾向にある.海進初期ではこれらは,小さな増減を4回繰り返しているが,やがて最大海進面に向かって安定して増加するようになる.最大海進面より上位の高海水準期堆積体では陸源有機物量が増大し,δ13Corgと全有機炭素量は減少し,陸域からの物質供給が増加したことが示される.珪藻化石の淡水種,汽水種,潮間帯種,沿岸性種,外洋種の比率変化も同一の海進海退の繰り返しを竜の口層中に記録している.したがって,竜の口層の海進期堆積体は短周期の4回の海進海退と引き続く海進から構成され,一方,高海水準期堆積体は1回の海退を示す.これらは数10万年周期の海水準変動に対応するかもしれない.
  • 山下 翔大, 中条 武司, 西田 尚央, 成瀬 元
    2011 年 70 巻 2 号 p. 81-92
    発行日: 2011/12/26
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
    2009年10月に三重県伊勢湾に襲来した台風18号により,伊勢湾に流入する櫛田川では出水イベントが発生した.それに伴って櫛田川河口に発達する干潟環境において発生した大規模な地形および底質の変化を観察するとともに,洪水起源堆積物の特徴,堆積様式および保存ポテンシャルについて検討した.櫛田川河口干潟では,分岐流路の氾濫によって砂嘴が破壊される,大量の陸源有機物および泥質堆積物が砂質潮汐低地上に堆積するといった大規模な地形および底質の変化が生じた.また,洪水起源堆積物の試料を採取し,肉眼観察および走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行ったところ,砂質な破堤堆積物(堆積相1)および泥質なfluid mud堆積物(堆積相2)の2つが識別できた.特に堆積相2は,砂州のトラフ部などの地形的閉鎖域に厚く堆積しており,2010年4月の事後調査においても残留している様子が観察できた.さらに,砂質潮汐低地地下の堆積物を観察すると,過去の洪水に起因すると考えられるfluid mud堆積物がレンズ状に多数存在していることが明らかとなった.これらことは,砂州のトラフ部などの地形的閉鎖域に堆積した洪水起源fluid mud堆積物は再サスペンジョンによる流出を免れ,河口干潟の地層中に保存されることを意味している.
研究報告
  • 小松原 純子, 木村 克己
    2011 年 70 巻 2 号 p. 93-103
    発行日: 2011/12/26
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
    埼玉県熊谷市から東京都北区付近にかけて分布する荒川低地の沖積層堆積モデルを確立するための調査の一環として,埼玉県川越市下老袋地区でボーリングコアGS-KSO-1を掘削した.コア試料の堆積相·物性·元素分析結果·放射性炭素年代に基づいて調査地点での沖積層の堆積環境変遷を明らかにした.
    GS-KSO-1で観察された堆積物は下位より更新統と沖積層に区分される.沖積層の堆積環境と年代は下位から,礫質河川-砂質河川流路-氾濫原(約9000年前),後背湿地~塩性湿地-潮汐低地(約8000年前),後背湿地(約7000-6000年前),河川流路-氾濫原(約6000年前~現世)である.
    荒川低地は中川低地に比べて最大海氾濫面の年代が1000年から2000年ほど古いが,これは堆積物供給量が多くて早期に埋積が進行したためと考えられる.
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