トマトの根から分離された糸状菌のうち,トマト半身萎ちょう病に対して高い発病抑制効果を示した非病原性F. oxysporumの3菌株を用い,それらの発病抑制機構について検討した。各菌株をそれぞれ土壌に加えてトマトを育苗した場合,いずれも根および胚軸から高率に再分離された。発病抑制は,菌の育苗土への添加,浸根処理,汚染土への添加,のいずれの処理によっても認められたが,汚染土へ添加する場合は病原菌密度よりも高い濃度を必要とした。F. oxysporumに対するトマトの反応をみるために,処理後経時的に胚軸部の導管内におけるチローシスの形成状態と根の抽出液の抗菌性について調査したところ,いずれの反応も認められなかった。しかし,これらの菌の存在下で育てた苗に病原菌を接種すると,日数の経過とともにチローシスを含む導管の割合が増加し,また接種7日後に得た根の抽出液はV. dahliaeの胞子発芽および発芽管の伸長を阻害した。これと同様の反応は抵抗性品種(Tropic)に病原菌を接種した場合にも認められた。
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