土と微生物
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49 巻
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  • 佐野 善一, 中園 和年
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 1-7
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    サツマイモネコブセンチュウの微視的な生存場所を土壌構造との関連から検討した。2期幼虫(幼虫)を接種した黒ボク土を25℃で30日間保存し,分析ふるいと2層遠心浮遊法の組み合わせにより,土壌団粒の内部と外部別に幼虫を分離し,個体数と体内貯蔵養分量の推移を調べた。1)口径0.25, 1.0, 2.0及び4.0mmの分析ふるいを用い,注水しながら団粒を粒径0.25mm以下とそれ以上に仕分け,0.25mm以下の団粒部分から分離された幼虫は団粒外部に存在する幼虫として区別した。0.25mm以上の団粒は1.0〜2.0mm, 0.25〜1.0mm,0.25mm以下に順次分解し,その過程で分離された幼虫を内部に存在するとみなした。2)団粒内外の幼虫の割合は線虫の接種方法によって異なり,卵のうを接種し土壌中で直接ふ化させた方が,水中でふ化した幼虫を土壌に接種した場合に比べて団粒内部における割合が高かった。保存後の生存率も前者で高く30日後の生存率53%に対して,後者では42%であった。3)いずれの接種方法でも,幼虫は団粒内部において体内の貯蔵養分を維持しながら長期間生存し,逆に外部では急激に貯蔵養分を消費して速やかに死亡した。
  • 佐野 善一, 中園 和年
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 9-16
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    団粒の粒径が1〜4mm,0,25〜1mm及び0.25mm以下の土壌,及び各粒径の土壌を原土の構成比(重量%)に混合した黒ボク土壌にサツマイモネコブセンチュウの2期幼虫(幼虫)を接種し,25℃で保存した。所定期間後に団粒の内部と外部から幼虫を分離し,体内貯蔵養分と個体数の推移を調査した。1)口径0.25, 1.0, 2.0及び4.0mmの分析ふるいを用い,注水しながら土壌団粒を粒径0.25mm以下まで順次分解し,団粒の外部と内部別に幼虫を分離した。2)幼虫は内部に侵入することができる,粒径の大きい団粒(粒径1〜4mm)から構成される土壌では多くの個体が長期間生存したが,粒径が小さく内部に侵入できない団粒(0.25mm以下)から構成される土壌では急激に貯蔵養分を消費して速やかに死亡した。3)幼虫はふ化後10日までの間に団粒内部に移動する傾向が認められた。団粒内部では多くの幼虫が大量の体内貯蔵養分を維持しながら60日間以上生存した。しかし,外部では急激に貯蔵養分を消費して死亡し,30日以上生存する個体は少なかった。
  • 丸本 卓哉, 高木 滋樹, 北村 章, 石田 大作, 田中 秀平
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 17-25
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    (1)F. oxysporumに対する5種類の拮抗放線菌と土壌中で放線菌密度を高める有機物とを組み合わせた拮抗微生物資材(資材A)は現地圃場のダイコン萎黄病発生土壌を用いたポット試験と枠試験,および現地の本病発生圃場において,フザリウム病害を抑制した。資材Aをクロルピクリンと併用すると,本資材の病害抑制効果がさらに高まった。(2)資材Aはダイコン根域および根部のF. oxyspoyum密度に影響を与えていることが示唆された。(3)資材Aは土壌への施用量が多いほど高い効果を示す傾向にあるが,ダイコン根域に集中して施用すれば少ない施用量でも高い効果が得られることが示された。(4)資材Aを他の多量の有機物と併用した場合,資材Aの病害抑制効果はこれらの有機物に大きく影響され,病害の発生を助長する場合があることが認められた。(5)資材AはF. oxysporumに起因するイチゴ萎黄病およびホウレンソウ萎凋病に対しても,抑制効果を持つことが示された。
  • 高木 滋樹, 北村 章, 丸本 卓哉, 田中 秀平, 西山 雅也, 石田 大作
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 27-33
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    (1)拮抗微生物資材A(資材A)の土壌施用によるダイコン萎黄病(病原菌Fusayium oxysporum f. sp. yaphani)抑制の機構を土壌静菌作用の観点から調査した。(2)土壌を47℃で90分間熱処理することにより,土壌中のF. oxysporum厚膜胞子密度を比較的正確に測定する方法を考案し,全F. oxysporum密度と厚膜胞子密度の動態調査に用いた。(3)ポット試験の結果,資材A施用とダイコン播種の時期により萎黄病抑制の程度が異なった。資材Aは全F. oxysporum密度には影響をあまり及ぼさないが,厚膜胞子密度を高めることが明らかとなった。また,ダイコン播種時に厚膜胞子密度が高く,菌糸など活性型菌体の密度が低い実験区で萎黄病抑制効果が高い傾向が認められた。(4)シャーレ内土壌における実験から,資材Aの施用は土壌静菌作用を強め,F. oxysporumの厚膜胞子発芽と菌糸生育を抑制することが明らかになった。その結果,土壌中の厚膜胞子密度は高く維持されることが推察された。(5)以上の結果から,資材Aのダイコン萎黄病抑制効果の発現機構の一つとして土壌静菌作用が考えられた。
  • 庄司 正, 横山 和成, 大倉 利明, 浜田 竜之介
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 35-42
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    海岸砂丘地において土壌生成に伴って起こる微生物群集の発達について,希釈平板法でコロニーを形成する細菌群集の多様性に着目して検討した。海岸線から内陸に向かって,土壌の発達程度が異なる地点(裸地(Pd. 1, Pd. 2 B),草地(Pd. 2),林地(Pd. 3, Pd. 4))から分離した細菌菌株の炭素源利用パターンの多様さに基づく多様性評価を行った。61種類の炭素源の利用の有無を炭素源利用パターンとして1と0の2値データに変換し,UPGMA法を用いてクラスター分析した。分離細菌菌株の多様さの程度をクラスター総距離と平均クラスター距離を用いて多様性指数として算出した。草地(Pd. 2)の細菌群集の多様性は植物が生育していない地点(Pd. 1とPd. 2B)より明らかに高かった。草地(Pd. 2)の多様性はA層が生成している林地(Pd. 3, Pd. 4)と同程度の値であった。以上により,海岸砂丘地の未熟土における細菌群集は植物の定着によってはじめて多様化するものと考えられた。
  • 渡辺 巌
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 43-50
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    40年近い筆者の土壌微生物研究の歴史を通じて,問題にしながら,解決できなかったことを述べた。これらは根粒形成能を失った根粒菌の分離と同定,硝化作用とその菌数の関係,実際に農薬を分解している微生物の直接顕微鏡観察,実際に窒素固定をしている菌の確定,アゾラ共生菌の分離などである。最近の分子生物学的手法や電子計算機の進歩によってこれらの問題を解決する方法がみえてきた。
  • 野口 勝憲
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 51-67
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    微生物資材の現状を把握するために研究の状況を整理した結果,病害防除についての研究が最も多くされており,次に脱臭・堆肥化・有機物分解が多く,特に畜産廃棄物関連の研究が多くなされており,環境問題への関心が高いのがわかる。拮抗菌については,使用菌の種類から使用法などについてまとめた。最近の特許を調査した結果,病害防除が圧倒的に多く,次いで害虫防除,生育促進,養水分吸収促進,有機物分解促進,土壌改良,除草,その他であった。次に微生物資材開発メーカー側の今後の課題として有効菌の選抜と同定, 追跡法の確立,使用菌の定着・活動条件の解明,効果維持・保存性を高めた資材化が必要であり,試験・研究機関・行政の課題として,微生物資材の基準作りとその評価法の確立,法の整備などの必要性を述べた。
  • Keishi Senoo, Norikuni Oka, Hidenori Wada
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 69-73
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
    Effect of Mn^<2+> on the growth and γ-HCH (γ-1, 2, 3, 4, 5, 6-hexachlorocyclohexane)-decomposing activity of a bacterium, Sphingomonas paucimobilis SS86, in liquid culture medium was examined to estimate the usefulness of Mn^<2+> as a regulator of microbial inocula in the environment. A low concentration (10 mg L^<-1>) of Mn^<2+> completely inhibited the growth of strain SS86 in diluted nutrient broth. The inhibitory effect of Mn^<2+> on the bacterial growth which was observed in a pH range of 6.0-7.5 was relatively weak under low pH (6.0) conditions. Gamma-HCH-decomposing activity of SS86 was also suppressed by Mn^<2+>, but the lowest inhibitory concentration of Mn^<2+> for the γ-HCH-decomposing activity was higher than that for bacterial growth. Mn^<2+> is considered to be an effective agent for the control of the growth and activity of bacterial inocula in the environment.
  • Motoaki Tojo
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 75-78
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
  • 江沢 辰広, 松田 陽介
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 79-80
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
  • 岡部 郁子
    原稿種別: 本文
    1997 年 49 巻 p. 81-
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
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