トマトの養液栽培において,青枯病菌および青枯病拮抗菌とリジンやシュクロースを添加し,トマト根の微生物群集と青枯病発病抑制効果との関係,青枯病菌DNA量と青枯病発病との関係を調査した。青枯病拮抗菌とリジンやシュクロースの添加によって,トマトの生育や収量を低下させずに発病率は低下し,発病率が最も低かった拮抗菌K20およびリジン添加区では,リジン添加によって新たな細菌種が増殖することがわかった。正準対応分析(CCA)によって,拮抗菌K20およびリジン添加区に特徴的なDGGEバンドが見られたことから,これらのバンドに相当する細菌種が発病抑制に関与したと考えられた。細菌と同様にリジンやシュクロース添加区では新たな糸状菌種が増殖したが,CCAの結果からこれらの糸状菌種は発病抑制に関与しなかったと考えられ,拮抗菌K20およびリジン添加区で見られた高い発病抑制効果に及ぼす影響は,トマト根の糸状菌群集よりも細菌群集の方が大きいと考えられた。また,播種後6週のトマト根の青枯病菌DNA量が青枯病発病率に相関することが示され,青枯病発病リスク評価に有用である可能性が示唆された。
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