ビッグデータ時代、IoT 時代を迎え、企業においては、様々な大量の情報を活用して事業活動を行うことが
必須となっている。その情報活用のために、企業のシステム提供者は経営資源であるヒト・モノ・カネなどあ
らゆるものにID を付番し、そのID を使用して情報を収集、連携、分析、活用することを頻繁に行っている。
そして、システム利用者は、提供された情報システムを利用して、便利なサービスを享受している。
情報技術の進展と法制度の整備に伴って、ID を使用した情報活用のための情報システムは数多く構築され、
既に多くのID が付番・発行され、かつID は多種多様な意味で多義的に使用されている。しかし、このID の
発行数の増大とIDの多義的な使用により、便利なサービスが増えていく反面で、プライバシー保護の観点から
みると多くの課題が発生している。プライバシー保護の確立のためには、システム提供者は情報システムを構
築する際に、様々なID の特性を十分に理解した上で規律性を持ってID を使用し、情報システムの設計、開発
を行うことが必須である。システム利用者は、自分に対して付番・発行されたID とそのID に紐づいた個人情
報をしっかりと管理することが必須である。
そこで本稿では、ID 使用の視点から、現在の情報社会の抱えるプライバシー保護確立の課題について分析し
明確化する。そして、その課題解決策について考察し提案する。
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