日本セキュリティ・マネジメント学会誌
Online ISSN : 2434-5504
Print ISSN : 1343-6619
33 巻 , 2 号
日本セキュリティ・マネジメント学会誌
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
巻頭言
研究ノート
  • 小泉 雄介, 早田 吉伸
    原稿種別: 研究ノート
    2019 年 33 巻 2 号 p. 3-10
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2020/01/26
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「個人データは21 世紀の新たな石油である」と言われ、AI 社会では個人データの利活用による様々なサー ビスの提供や社会的課題の解決が期待されている。国内外のガイドライン類では、個人データの流通や利活用 が社会・企業・個人にもたらす「価値」について様々な言及がなされているが、それが誰に対する価値なのか を峻別した整理が必ずしもなされていない。本稿でAI 社会において尊重すべき「価値」のうち、個人データ の利活用が「個人に対して」もたらす価値について、ガイドライン類から抽出した結果、「自由」「平等」「安 全」「利便」の4 カテゴリに分類できることが明らかになった。個人がデータ利活用と通じてこれらの価値を 追求すると、個人にとってベネフィットがあるのみならず、リスクも発生するというトレードオフの関係が見 られる。例えば、監視カメラを設置して不審者の画像を取得することは「安全」に役立ち、社会的にも受容さ れている。しかし、更なる安全を目指して監視カメラ設置台数を増やしたり公道で顔照合を行うことは、個人 の「自由」に対して重大な萎縮効果をもたらす。これらベネフィットとリスクの間のバランスをどのように取 るかは、国や社会の在り方によって変わりうる。AI 社会において、個人にとっての諸価値間のバランスをど のように取るべきか、また個人にとっての価値と社会や企業にとっての価値との間のバランスをどのように取 るべきかは、今後の重要な検討課題である。
解説
  • 藤川 真樹
    原稿種別: 解説
    2019 年 33 巻 2 号 p. 11-18
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2020/01/26
    研究報告書・技術報告書 フリー
    人工物メトリクスとは,人工物が持つユニークな特徴情報を用いて真正性(本物であること)を検証するとともに,人工物のクローンを作成することを困難にする技術である.特徴情報は人工物の製造時に自然偶発的に形成されるが,人為的に形成することが困難であるため,真正品を製造する事業者であっても狙った通りの特徴情報をつくることができない.このため,紙幣や有価証券などに用いられている偽造防止技術とは異なり,人工物の製造方法や特徴情報の形成方法を秘匿する必要がない.真正性の検証方法は大別すると2つある.1 つは,人工物中に形成された特徴情報をセンシングデバイスを用いて抽出し,既登録の特徴情報とのマッチングにより真正性を検証する方法である.もう1 つはPUF と呼ばれるもので,人工物に印加した刺激(チャレンジ)に対するレスポンス(特徴情報)を抽出し,既登録の特徴情報とのマッチングにより真正性を検証する方法である.最近では,人工物から抽出できる特徴情報の数を増やす試み(マルチモーダル人工物メトリクス)が行われており,真正性と偽造困難性がより高まるものと期待されている.
  • 石山 塁
    原稿種別: 解説
    2019 年 33 巻 2 号 p. 19-26
    発行日: 2019/05/31
    公開日: 2020/01/26
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年,製品やその内部部品に至るまで,個々の製造から流通,使用に至るまでの履歴を確認できるようにするトレーサビリティの確保や,偽造対策のニーズが高まってきている.従来,製造物を識別・認証するために,マーキングやタグの取り付けなどの加工が行われてきた.しかし,小型・精密部品などでは物理的な制約があることや,製造コスト,偽造技術の高度化など,様々な課題が浮き彫りとなってきている.こうした背景から,より簡便かつセキュアに,個々のモノを識別・認証できる技術が求められている.そこで,人工物が持つ個々に固有な物理的特徴(人工物メトリクス)を観測し照合することにより,個体毎の識別と認証(真贋の判定)を行う技術が注目されている.その中でも,スマートフォンのカメラなど広く一般的に普及しているデバイスで認証を行える画像認識を用いた技術は利便性が高く,製造から流通,使用に係る誰もが容易に利用できるという利点がある.本稿では,多種多様なモノに汎用的に適用可能な“物体指紋”を用いた画像認証技術について詳しく紹介する.“物体指紋”とは,モノの製造過程でその表面に意図せず自然 発生している微細な凹凸を画像として撮影したパターンである.同一工程で均一に製造されたモノでも個々に異なり,偽造も困難であるうえ,一般的なカメラで容易に撮影できるため,セキュアでかつ利便性の高い物体認証を実現可能である.機械や電子機器の部品,産業用設備から,医療器具,ベビー用品,医薬錠剤まで,様々なモノを識別・認証する応用例と,新たな認証媒体への活用などを紹介する.
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