【目的】当科の90 歳以上の手術症例の治療成績およびリスク評価法について検討した.
【方法】対象は90 歳以上の42 人44 例.検討1:患者・手術背景,術後経過,術後合併症,転帰などの治療成績について検討した.検討2:全身麻酔29 例の術後生存時間,術後合併症とE-PASS との関連を検討した.
【結果】検討1:手術内容は大腸癌が12 例(27.3%)と多く,悪性疾患は20 例(45.5%)に認めた.緊急手術は10 例(22.7%).術後合併症は12 例(27.3%)中21 件認め,創感染,肺炎,廃用症候群の順だった.術後死亡0 例,在院死亡3 例だった.検討2:術後生存時間は,良悪性別では有意差なく,術後合併症が生じると有意に短縮した.術後合併症を生じた群はE-PASS が高値だった.
【結論】90 歳以上の手術では,E-PASS が高値な症例は術後合併症を生じやすく予後も不良だった.E-PASS は,超高齢者の術前の生理機能や手術侵襲を総合的に評価でき,術後合併症の発生リスク評価法になると考えた.
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