症例は在胎35週2日,出生体重2,890gで出生した男児.日齢1に腸閉鎖症の診断でTreitz靭帯から60cm肛門側にて腸瘻造設を行い,術後は静脈栄養を併用しながら成分栄養剤を用いた経腸栄養を継続していた.日齢9頃より貧血の進行を認め,鉄欠乏性貧血は否定的な所見であった一方で,好中球数の低下と血清セルロプラスミンの著明な低下(13.7mg/dL)を伴っていたことから銅欠乏性貧血と診断し,銅を多く含む栄養剤を用いて経腸での銅の補充を行った.補充開始後は,血清銅,セルロプラスミンはすみやかに上昇傾向を示した.日齢57に腸瘻を閉鎖した後は完全母乳栄養下で貧血の進行なく日齢73に退院となった.早産児のため,胎児期における体内への銅の蓄積量が不十分であったことに加えて,腸瘻からのhigh outputに伴う吸収障害が関与し,新生児期に銅欠乏による貧血を呈したものと考えられた.腸瘻を有する新生児,特に早産児においては銅欠乏にも注意した管理を行う必要がある.
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